新日鐵住金見学

本日、新日鐵住金の君津工場へ見学に行って来ました。
いつもの大人の社会科見学です。

新日鐵住金の「鐵」の字ですが、あえて旧字を使用しているそうです。普通に書くと「鉄」で金を失うと書くので縁起が悪いからだそうです。
ちなみにパソコンで新日鐵住金と打つと勝手に旧字に変換してくれます。さすがでかい会社は違います。
新日鐵住金の工場見学は年間に3万人程訪れる人気のツアーですが、今日は運よく私たち2人だけの貸し切りツアー状態でした。

感想としては、でかい、とにかくでかい、でかすぎてどのくらいでかいのか分からないと言う感じです。
敷地面積は東京ドーム220個分とか言われても大きすぎてピンときません。しかもこれがすべて埋め立てで作った土地なのです。

これだけ敷地が大きいだけに工場の敷地内には車道があり信号、道路標識も普通にあります。敷地内用の路線バスも運行されていて、ガソリンスタンドまであります。これは敷地内だけを走る車両があるので、そのためだそうです。

さらに運搬用の鉄道まで走っています。これは工場内だけの路線で在来線とはつながっていません。鉄道の全長は70kmほどで山手線1周よりも長いそうです。線路幅は全て広軌（新幹線と同じレール幅）でした。あと工場の敷地内であっても鉄道を動かす人には何かしらの資格が必要なようです。
この敷地中に従業員が関連会社も含めて18000人程度います。
ここまでくると工場と言うよりは1つの街です。下手な地方都市よりも人口が多いです。

見学の方は最初はお約束の映像での紹介から始まりました。
その後は移動ですが、工場内が広すぎるので車に乗っての移動です。
見学中も次の目的地まで「車で渋滞にはまらなければ15分ほどです」とか言われるレベルの大きさです。
見学中はヘルメット着用で、インカムのイヤホンを付けて回りました。工場内だと説明などが聞き取りにくい事も多いのでインカムはありがたかったです。
熱中症防止のために自販機で飲み物を買いましたが、工場内の自販機にはアルミ缶は一切ないそうです。全てスチール缶です。中には工場内オリジナルのエネルギードリンクまでありました。

私たちが見学したのは、廃プラスチックのリサイクル工場、高炉、厚板加工の3カ所です。
意外でしたが製鉄だけでなく、廃プラスチックのリサイクルも行っています。熱分解することで油、コークス（製鉄の材料）、ガスに分離されるそうです。ここで出るガスは発電に利用しているそうです。
これ以外でも工場内では発電施設があり、ここで作られた電力は東京電力を通して一般家庭でも使用されているそうです。しかも千葉県の南側半分程度をまかなっていると言っていたので、とんでもない発電力です。

次に行ったのが高炉。写真が高炉です。写真でみると「ふ〜ん」と言う程度でしょうけど、実際に見るととんでもなく大きいです。高さが100ｍ以上もあります。
ここで液体状にした鋼鉄の元を液状のまま運搬車両に詰めて工場内を運搬します。写真下の方に小さく映っているのが運搬用の鉄道車両ですから、いかに高炉が大きいかが分かるかと思います。
2枚目の写真が鉄道部分をアップにしたもので、奥の赤く光っているのが液体状の鋼鉄です。この線路が横に10本以上も並んでいます。
3枚目の写真が運搬用の車両。湯気が出ている車両の中には1両につき300トンほど液状の鋼鉄が入っています。ちなみにトーピードカーと言うのだそうです。トーピードの意味は魚雷ですが、形が魚雷に似ているのでそう呼ぶそうです。

最後に行ったのが厚板加工。
厚板加工とか書くと軽く感じますが、凄かったです。暑さ30cmほどの真っ赤に熱した鉄板（鉄板とは言いつつ重さは20トン、縦横10ｍ以上とかの大きさです）これをローラーで押さえつけて徐々に薄くして伸ばしていく工程です。ちなみにこの工程の建物だけでも長さが1600mほどあるそうです。
工場内はとにかく暑い。外に比べると+10℃ほどと言われましたが、工場内では鉄を冷やすために水を大量に鉄板に吹き付けているので、ほとんどサウナ状態です。
鉄板は見学通路から何十メートルも離れた所を移動しているにも関わらず、自分たちの横を通過する時には一気に暑くなります。巨大なストーブが自分のすぐ隣を通過しているかのような感じの暑さです。
これに大量の水を吹きかけるのですから、水蒸気爆発かと言うほどの勢いで蒸気もでます。まさに鉄工所と言う感じの場所でした。

これで見学は終了でした。「鉄は国家なり」と言う言葉がありますが見るとこれは実感しました。

あと高炉はRPGに出てくるラスボスが居そうなダンジョン感が半端なかったです。