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2016年09月22日03:53

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【読んだ本メモ】アゴタ・クリストフ『悪童日記』(ハヤカワepi文庫 堀茂樹訳)

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第二次大戦末期のハンガリーに疎開した双子の兄弟が日々の出来事を記しているスタイルの小説です。
この双子が曲者つうか 、したたかというか。
良く言えば、強く生きていく話です。

映画にもなっている。


文体が独特で、というのも、作中で兄弟が「こういうルールで書こう」と定めたスタイルで書かれているのだ。
わざと感情を出さないようにした文体なので、兄弟の真意については想像の余地が大いにある。
戦争の渦中にある国で、独特の倫理観を持って育つ兄弟と、とりまくまわりの大人たち。
善悪は定まらぬものだけど、この双子の生き方は正しいものだろうか。
こんな特殊な時代だったら正しいか。
いろいろ考えながら読むことになる。

続編が二作、タイトルは『ふたりの証拠』『第三の嘘』いずれも同じハヤカワepi文庫から出ているそうなので、そのうち探して読みます。

この本は読書会の課題本だったので読み、この作者も初めて知ったのですが、とても興味深い経歴の作家でした。
この「悪童日記」には具体的な時代・場所のことは記されていなくて、おそらく大戦末期の状況や文脈から推し量るにハンガリーだろうということです。


ここで第二次大戦期のヨーロッパの歴史を振り返ってみようと思って取り出したのがこの本だ。
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『どくそせん』
イカロス出版・内田弘樹(著)・EXCEL(イラスト)

参考資料として読書会に持ったくらいお気に入りの本なんですけど、女のコたちは内心引いていただろうな……

第二次大戦の欧州東部戦線、ナチス・ドイツとソビエトの戦いに着目して解説した本です。
独ソ戦だから、どくそせん。
帯に「美少女系独ソ戦解説本の最高峰!!」って書いてますけど、美少女系独ソ戦解説本なんてこれくらいしかないよね……
表紙がアレな感じですが、内容はガッツリしていて、独ソ戦の入門書ながらしっかり学べる。
イラストが豊富だけど、ネタがマニアックというか、細かいというか、分かる人にしか分からないものがたくさんある。

「悪童日記」後半の時代と考えられる1944年あたりのところを読んでみると、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドと立て続けにドイツの同盟国は戦線から脱落……
ハンガリーのブダペストを巡る凄惨な戦い……
ナチス・ドイツがまわりの国々を巻き込んで破滅に向かっていく。

この本には「独ソ戦の歴史を学ぶことを通して政治・戦争がどんなものなのか、客観的に考えることができるのではないか」というようなことが書かれているけれど、一理あるだろう。
アジア太平洋戦争史は本で読んでいるとどうしても主観や思い込みが入ってくるからね。
他国の歴史を通してこんな戦いがあったのか、どうして戦争になったんだろうと、考えてみるのがいいかもしれない。


同じイカロス出版の萌え季刊ミリタリー雑誌『MCあくしず』も毎号買っていて、こっちも全力で萌え萌えですが、内容は濃い。
喫茶店とかでは広げにくい本ですが、兵器の話も出てくるので僕は平気で広げます。←兵器と平気を引っ掛けたルーザーギャグ

9/21に発売したばかりの最新号をさっそく買いました。
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今回のにはタイムリーなことに、1956年のハンガリー動乱のことが書かれたコラムがありました。
「悪童日記」終盤で、(それと明記はされていないけど)ソ連軍が侵攻してきましたね。
枢軸国側で戦って破れたハンガリーは、第二次大戦後もソビエトの占領下に置かれる。
ソ連支配への鬱憤が1956年に全国規模の蜂起となってバクハツして、民衆とソ連軍との戦闘になったという。

「悪童日記」の双子はハンガリー動乱のころで20代前半くらいか、アイツらどうしてたんだろうな〜と思いながらコラムを読んでいました。
続編の小説っていつくらいの時代の話になるんすかね。
気になるなぁ。

しかし僕はまだ読んでないのでネタバレはしないでくれよ!!
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