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2016年02月12日16:59

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今月のLC外伝ネタバレ

いざ最終決戦へ!
愛ゆえに染まる。正義ゆえに堕る。

老双子編:第7話 変容

ハクレイたちは一気に教皇の間にむけて跳んだ。
「教皇の間が見えた。このまま行けるところまで行くぞ!」
「おう!」
その時、下の宮から攻撃があった。
「危ない…!」
フランキスカとアルコンが防ぐ。
「攻撃…!?」
「人馬宮からか…!」
フランキスカと白銀たちが降りる。
「俺たちに構うな!お前たちはこのまま教皇の間へ行け…!イティア様とゲートガードを頼んだぞー!」
「アルコン…、フランキスカーッ!」
人馬宮に降りたフランキスカたちを射手座が迎え撃つ。
「神聖な十二宮を無遠慮に侵害する羽虫かと思えば、何をしている、フランキスカ」
「なぁに。その神聖な十二宮が害虫の巣になったっていうんでな。駆除しに来たんだよ。あんたのところはどうだ?射手座のアエラスよ!」
「私には害虫は今まさに降ってきたように見える」
アエラスの顔にも蝶の紋が浮かんでいた。
「ハハ!あんたのそういう操られても真面目な所、嫌いじゃないぜ!いつもならば…」
セージとハクレイは教皇の間に向かった。
「受け入れ難い光景ですね…。仲間同士で争うなど…。射手座も本来は情に厚い男。こんなの最もイティア様自身が憂いていたことのはずなのに…」
「大丈夫さ、セージ!俺達は皆を元に戻すために戦っているじゃないか。こんなことで聖域の皆の心が離れるわけがない!それこそイティア様がずっと俺達に教え続けてきたことだろう!?皆、本当は良い奴だ…!ゲートガードも…イティア様も…」
「…ええ。兄上はずっと近くで皆を見てきましたからね。そんな兄上だから、イティア様は祭壇星座を授けたのでしょう」
『…そうだ、俺は祭壇星座で…、教皇に何かあれば俺が教皇の守った聖域を守らねばならない。たとえそれが、貴方と戦うことになったとしても…!』
教皇の間に二人は着いた。フェアリーが舞い飛ぶ中、奥に進むと、扉の前に男の姿があった。
「…やはり、お前は最後まで立ち塞がるのだな…。そこをどけ!俺達はイティア様に会わねばならん。ゲートガードよ」
ゲートガードが答える。
「ここは通さんよ…。ハクレイ…。イティア様は今その体を小宇宙を整えるべくこもっておられる。それまでは命にかえても誰も通さぬ」
「…もう、良いだろう、ゲートガード…。これ以上、俺たち仲間同士争って何になる…!?それにお前はもう俺の聖火で小宇宙は殆ど残っていない…!何故そこまでしてイティア様のために戦うのだ…!?ゲートガード!」
ゲートガードが笑う。
「……。…愚かだからよ」
ハクレイとセージはそれぞれ驚きを顔に出した。
「人として最も優れようと黄金となった…だが、白銀のお前如きに小宇宙を奪われ、聖衣ももはやただの鉛同然よ。…分かったのだ…。どこまで行っても私は人間…愚かな本質は変えられん。だからこそ…世界と私には導きが必要だったのだ…!」
ゲートガードの体から黒いフェアリーがあふれた。
「なんだ…!?小宇宙を失ったはずのゲートガードから…」
「強大な力が溢れて…」
その力に二人は弾き飛ばされた。
「うわあああーッ」
『違う…!この力…フォースソアの生命力などではない…!この冷たい凍てつく力は…!死界の、力か!』
「くっ…、兄上…!」
セージがハクレイを守る。
「すまん、セージ…!」
「いえ、黄金聖衣の分、私の方が耐えられます故…!しかしこの力、普通の人間が耐えられるものではありません…!一体、彼はどこから…」
「我が星座(アリエス)は暗い死の闇より生まれる生命の象徴。理解したのだ。私の力はつきつめれば死につながる。全てはこの蝶達(フェアリー)が教えてくれた。今、私の身の内は彼らの誘う深淵へと通じている。戦ってみせる…。小宇宙などなくともォォ!」
「よせ、ゲートガード。自ら堕ちるつもりか…!?」
「本望よ…!…平和の礎となるのならばな!」
ゲートガードの力をふもとで待つアテナとクレストも感じた。
「教皇の間より死界の力とは…。皆は無事なのでしょうか…」
「僭越ながらアテナ様…、今は気を散らす時ではありませぬ…」
「…そうでしたね。ごめんなさい、クレスト。今は、目の前の同志のことを考えねば」
二人の前には、獅子座、蠍座、双子座が現れていた。
双子座が言う。
「アテナ様、クレスト様、どうぞ道をお譲りください」
「私たちはこれより地上を制圧します。そしてイティア様が貴女に代わり地上を支配するのです」
獅子座に続き、蠍座が言った。
「貴女を傷つけたくはない…どうか!」
アテナは微笑み、そして毅然と告げた。
「いいえ。貴方たちを一歩も聖域寄りだしません!」
「仕方ありますまい…。平和の時代のために、お命頂戴するのみ…!」
獅子座がライトニングプラズマを放つ。
「ダイヤンモンドダスト・レイ!」
クレストの技が光速拳を弾いた。
「光速拳を光の乱反射ではじき返すとは」
「これがクレスト様の氷の凍技…!」
「情けないぞ、黄金達よ。洗脳されているとはいえアテナ様に拳を向けるなど…」
「クレスト…。それでも私は分かっているのですよ。彼らが本当は真の聖闘士だということを…!」
アテナがニケの杖からクレストに力を注ぐ。
「くっ…」
「アテナ様、クレスト様!…御免…!」
「去れ、死界の蝶(フェアリー)よ…!「彼ら」の聖域からな…!」
クレストがオーロラエクスキューションを放つ。
「うおおおおーッ!」
『イティアよ。我々は互いに長く生きた。それ故、少し分かる気もするのだ。維持出来ぬ平和への虚しさ。自分の人間としての限界も。所詮、我等は過去の亡霊。だからこそな。去らねばならん。いつか必ずな』
クレストの声がイティアに届く。
「…去る…。神のようにか…?」
教皇の玉座に座り、天秤座の盾に寄りかかってイティアは力を蓄えていた。
「未熟な世界を無責任に…、未完成の…老いゆくだけの人間に任せて…。それでは世界は変わらないのだ…!永遠に…!」
血の涙をイティアは流した。玉座の間の扉の前ではゲートガードとセージたちの争いが続いている。
「人はどうしたって争い合ってしまう。まるで人間は見離された子供だ。争い奪うという教育しか施されていない。調和などどこにもない。だからこそ、私は見捨てない。これこそが平和に通じる道だと、ただ信じる」
ゲートガードの黄金聖衣はとうとう漆黒に染まった。セージは倒れ、かろうじてハクレイは残った。
「馬鹿が…。聖衣が…漆黒に…。死界の者になったか…。これではお前はもう死人と変わらんではないか…。何故だ…。何故お前たちはそこまでして…人間を、自分を否定してしまったのだ」
ハクレイが涙を流す。
「…俺には分からんよ、ゲートガード…。お前達のいう調和とは何だ!?そうして人間を捨ててまで必要な調和とは何なのだ!?」
「お前には永遠に分かるまい…。黄金から逃げたお前にはな…!」
「…そう、なのかもしれない。俺なりにずっと考えていた。調和の意味を、地上の平和を…、聖域の使命を…。…だがこれだけは言える。俺達聖域がバラバラなうちは…絶対に地上は平和にならない。俺達が差別し合い否定し合えば、ましてや俺達が…、いや…聖域が…!人間に絶望している限りはなー!」
「そんな理想論を語る間に、どれだけの者が傷ついていると思っている…」
ゲートガードの心の奥底には孤児となった幼い自分の姿があった。
「真に絶望を知る者こそ強く平和を願えるのだ…!」
「ならばどうしてそれを語ってくれなかった…!?俺が白銀を選んだからか…?…俺は…お前ととこに戦いたかったのに…!」
ハクレイとゲートガードが真正面からぶつかり合う。だがゲートガードの胸を撃つ直前で、ハクレイは拳を止めた。
「…だが。お前はその道を選んでしまった…」
「…そうだ。お前が白銀を選んだようにな」
ゲートガードの体が崩れていく。
「ゲートガード、体が…」
「死界に身を委ねたのだ、覚悟の上よ…。小宇宙を失った戦士など使い捨てで十分…!」
「……。俺はそう思わん…!」
「……。お前はいつもそうだな。力の劣る者にも、今の私にですら、平等に心を砕こうとする。その先にはお前の作る平和や調和があるのかもしれぬ。…だがな。私を見ろ。人間はお前が思う以上に闇深いだろう?」
漆黒の闇の気をまとったゲートガードが笑む。
「…ッ」
「私はイティア様が250年秘め続けた哀しみと怒りに同調した…。そこに後悔はない。結局、私にはあの方以外の人間を信じることができなかった。もしお前があの方が諦めた理想をもってそれを覆せるのなら、それこそがあの方の解放となるかも知れぬ」
ゲートガードの体が消える。後には、漆黒に染まった牡羊座の黄金聖衣がオブジェ形態で残された。
教皇の間の扉が開く。
「教皇の間の…扉が開いた!う!?」
カッと光が走る。奥から天秤座の武器がハクレイめがけて飛んできた。
「うおおおおーッ」
◆教皇イティア完全復活!次号、激戦クライマックス!


作者コメント:新しい仔猫が来ました!ほたてちゃんです。人懐っこくて仕事場の人気者です。


次回で終わりでしょうか。他の黄金聖闘士も続々と出てきました。射手座のアエラス…射手座まで敵ってのはインパクトありますね。顔はシュラ系。洗脳に強そうな双子座も敵に。双子座…顔は見えないけど黒髪です。未登場は、乙女座、山羊座、魚座、かな。
3月8日に単行本15巻が発売。「教皇セージと祭壇星座のハクレイ。聖域を支えた二人の老双子の物語」そして3月18日にLC画集発売です!

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