mixiユーザー(id:4632969)

2015年09月12日16:52

2055 view

今月のLC外伝ネタバレ

◆共に育った兄(ハクレイ)と弟(セージ)。勝つのは絆か、それとも…!?

老双子編第2話 浸食

チベット、ジャミール。
ある日、ハクレイとセージの兄弟はジャミールの長に呼び出された。
「聖域へ…ですか?私達、双子が?」
長が言う。
「そうだ。聖域の教皇がお前達2人の才能と素質を見抜いた。もともと我らジャミールの一族は聖衣の修復師として聖域を裏から支え続けた。栄誉あるお招きよ」
セージが考え込む。
「……」
「お言葉ですが、長…!」
ハクレイが言う。
「私ハクレイと弟のセージは、ジャミールの長である貴方の後継として今まで修行を積みました。それこそ戦術、兵法、神学、聖衣の修復まで。それを突然、志を変えろと言われても…」
「だからこそ聖闘士の目で世界を見てきて欲しいのだ」
「!」
「閉ざされたこの地では分からぬ。我々が命をかけて守る地上の価値を。人々が、命がどれほど尊いか。そして、それらを守る為、同じように命を燃焼させる者たちと友となる喜びを」
「友…」
「……。分かりました」
セージが答えた。
「私達は必ずや聖闘士となりこの地へ戻りましょう」
「! おい、セージ!」
「兄上、修業だけでは見えない世界がきっとあります。直に体験して感じることがきっと私たちの心を、器を強めてくれる。それが喜びでも悲しみでも。…それに…、兄上はジャミールだけに縛られるべき方じゃない!」
「…セージ…」
「もっと自由に笑って走っていて欲しい。私はそんな兄上を見るのが好きだから」
ハクレイの手をセージが握る。
「どこまでもお供します!」
赤面したハクレイはセージの頭を抱きかかえて拳でぐりぐりと押さえた。
「お前なァー、生意気だぞ!セージのくせに!」
「痛い痛い!兄上、痛い!」
「そうだな。お前と一緒ならどこだって楽しい。賢いお前と無鉄砲で腕力頼みの俺。最強だな!」
セージが笑う。弟の手をハクレイは取った。
「聖域で大暴れしてやろう!なァ、セージ!俺達は…どこまでも一緒だ!」
そして今、ハクレイは死界の気配を漂わせたセージを見つけた。
「馬鹿な。お前、こんなところで何をしている…。セージ!」
黄泉比良坂から霊魂が舞い戻っている。
『死界の穴、黄泉比良坂から大量の霊魂が呼び出されている…。このままでは…』
「兄上か…。貴方こそ何故ここに…」
「聖域で流れている噂の真相を探る為だ。聖域の内部で冥王軍へ寝返った者がいるというな。死の匂いを辿るとお前がいた。これ以上、妙な真似はやめておけ」
「妙な真似、とは」
「黄金聖闘士として誤解を生むことはするなということだ!今すぐ黄泉比良坂を閉じろ!」
「できませぬ」
「極秘の任務か?」
「兄上よ」
「!?」
「貴方は白銀の立場でありながら黄金の私に意見なさる気か?」
「セージ!?」
「兄と言えど身の程知らずとは正にこのこと。黄金の行う神聖な任務の邪魔をするのなら…」
セージの掌で鬼火が燃える。それはハクレイの体にまとわりついた。
「くっ…積尸気鬼蒼焔!魂達が燃える…!」
「消えてください、兄上…。祭壇星座のハクレイよ。黄金の時代の為に」
鬼火がハクレイを焼き尽くす。だがその時、炎が形を変えた。
「!?これは…炎が形を変えてゆく…。…!まさか…」
積尸気が開き、炎と霊魂が吸い込まれていく。
「積尸気が開いた…!炎と霊魂が死界に戻っていく…これは…!」
炎の中からハクレイが姿を見せた。
「兄上…!発火の直前に積尸気を開いて身を隠したのか…!」
「セージよ…。忘れてしまったか?俺は白銀といえどかつてお前とその蟹座の聖衣を争っていたのだぞ。内なる小宇宙は黄金と同等!力比べでは決してお前に引けをとらん!」
「!」
「黄金の時代と言っていたな、セージ。それが一体どういう意味か。お前がどうして変わってしまったのか。魂から直接聞かせて貰うぞ、セージ!積尸気冥界波!」
セージの魂が肉体から分離する。その魂に、死界の蝶フェアリーが群がった。
「蝶…!?セージ…お前の魂は今…!」
さらにフェアリーはハクレイに攻撃を加えた。
「ぐあああーッ!な…何だ、この蝶はーッ!こいつら…体を蝕むようにどこかへ連れていこうと…。一体…」
顔に蝶の文様を浮かび上がらせたセージが言う。
「そうだ。そいつらは死界の蝶フェアリー。まさに今、兄上の体をあの世へ運ぼうとしている。黄泉比良坂のもっと奥へと」
「死界の蝶(フェアリー)だと…?セージ、お前まさか本当に…」
「兄上よ。真の平和について考えたことはありますか?」
「なにぃ〜?」
「かつて神話の時代、神も人も平等に暮らした、黄金の時代があったといいます。だがやがて人々に貧富の差が生まれ盗みや争いを覚え、親兄弟が殺し合いやがて戦争を行うようになり、ついに神々が人間を見限り天上へ移ったのです。人間は争いを覚え堕落したのです。
「何を言っている…。セージ!」
「再び人と神が平等となるには、より強大な力による秩序が必要なのです。それができるのは地上で最も優れた者のみ!心技体を兼ね備え、第七感に目覚めた黄金の12人以外いないのです!」
「!」
「頭の固いアテナ様には実現できぬ平和…!私達は気付いたのです。冥王ハーデスのみがそれを実行できると!」
「私達だと…。まさか…。聖域を裏切っているのはお前達黄金聖闘士だというのか…!?」
「離反と言って頂きたい。12人が各々の能力で地上を制する。私はこの蟹座の力で亡者のように従順な生者を作りましょう」
「させるか!目を覚ませ!セージ!」
「邪魔をするなと言ったはず!一足先に冥界に落ちよ!」
ハクレイの魂が死界の穴に運ばれていく。
「うおおおお!」
ハクレイの体を青い炎がつつむ。
「何…兄上の体が鬼蒼焔の炎に包まれた…!馬鹿な…魂となったその身で放つとは…。自分が火種となって消滅するつもりかー!?」
「このまま消滅などせん…。忘れたか、セージよ…。俺達はどこまでも一緒だとな!」
「なに…自身が鬼蒼焔のように…。まさか…」
ハクレイはセージに抱き付いた。
「道連れを選ぶか…!」
「そうさ、お前が言ったろう…!どこまでも供するとな…!」
「兄上ェエーッ!積尸気魂葬波!」
炎が爆発する。
その跡地を訪れた者がいた。
「何という威力だ…。この場に充満していた霊魂とフェアリー、全てが火薬のように爆発したということか。恐るべきよ、積尸気使い。馬鹿な奴らよ。兄弟仲良く勝手に自滅するとはな」
フェアリーを従え顔に蝶の文様を浮かび上がらせたその男は、牡羊座のゲートガードだった。
「だが手間は省けた。セージを失ったのは惜しいが…黄金と同等の力を持つ白銀など邪魔なだけ。ましてや教皇代理の権限を持つ祭壇星座など…。…。いや、あの双子を甘く見るべきではないな」
ゲートガードがフェアリーを飛ばす。
「死界の蝶(フェアリー)達よ、奴らを探せ。必ず始末する。この牡羊座のゲートガードがな。ハクレイ」
聖域のはずれで氷の結晶が舞った。
「全く私が爆発の寸でで助けなければ本当に死んでいたぞ。無茶はほどほどにするが良い、ハクレイ」
それは水瓶座の聖衣をまとった若い姿のクレストの分身だった。彼は氷の結晶にセージとハクレイを閉じ込めて転移させ二人を助けていた。
氷の結晶が砕け、中からハクレイが現れる。
「それを見込んでの作戦です。いつもはるばる北の地よりの助け、感謝していますよ。水瓶座のクレスト様」
「狼少年め。だがこれで聖域に満ちる不穏な雰囲気の理由が分かった。冥王軍め…遂行されればこれほど恐ろしい作戦はない。12人の黄金聖闘士の洗脳」
「十二宮内の不穏を逸早く察知したのはセージです。自ら囮となって洗脳を受け俺がそれを解く。魂を蝕む蝶は全て燃やし尽くしたはず…。目を覚ませ…セージ!」
セージの胸の中央をハクレイが突く。セージは意識を取り戻した。
「兄上…?ここは…!」
ハクレイの怪我にはっとなる。
「兄上…その怪我は…!?まさか私が…!」
「案ずるな!これぐらいは覚悟していた!本気のお前と殺(や)り合うのだ。生半可な演技で欺ける相手ではなさそうだしな…これで良い」
「そうだ。お前達2人が生きていると知られるのは時間の問題であろう。その間に何か策を見つけねばなるまい。敵の狙いはあきらかに内部からの崩壊。セージほどの黄金を洗脳するなど並の相手ではない」
「セージ…黒幕は特定できるか?」
「残念ながら…。私もいつの間にかあれほど魂を蝕まれていたのか分からなかったのです。この作戦前に兄上と魂に張った積尸気の鎧…あれがなければ完全に洗脳されていた事でしょう」
「馬鹿な…。それでは完全に正気の黄金などいないかもしれないではないか。教皇様やアテナ様が気付かぬはずが…!」
その時、教皇の間で小宇宙が弾けた。
「感じたか…?…今…」
「ええ…。教皇の間で小宇宙がはじけた…」
クレストが教皇の間を見上げる。
「……。友よ…!」
その時、教皇は牡羊座のゲートガードによって胸を突かれていた。
「教皇が殺られた…!?」
◆最強の黄金たちが離反!?かつてない危機が迫る!

作者コメント:久々にお盆に実家へ。父方母方ともお墓参りしてきました。ずいぶん行ってなかったんだなぁ。


今回の裏切り者は牡羊座!
アヴニールさんがタイムスリップしてこなかったらやばかったんだな、聖域…。

次へhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946919894&owner_id=4632969
前へhttp://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4632969&id=1945025843
一覧http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4632969&id=1923060427
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する