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2015年03月12日18:41

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今月のLC外伝ネタバレ

穿て、神を!

シオン編第4話 「ターニング・ポイント」

マニゴルドはカイロスの分身と戦っていた。
「ちっくしょ…、頑丈な奴だぜ。神ってのは分身でもこんなに面倒臭ェのかよ!だが…テメェも剥き出しの霊魂みたいなもんなんだろ…!?オラ、爆発しやがれー!積尸気魂葬破!」
だがその攻撃はカイロスの分身には通じなかった。
「効いてねェ…!?そんな…!」
分身の一撃がマニゴルドをふっとばす。
「ぐあっ…」
傷つきながらマニゴルドは思った。
『シオン…!必ず戻ってこいよ…。聖衣を持って帰るんだ。聖衣に引きずられるんじゃねぇぞ!』
先の聖戦、アヴニールは前線で冥闘士と戦っていた。 
「馬鹿な、お前…!」
「牡羊座は戦死したはずだ…!」
「いいや、冥王軍。私は死に損ねた男よ。貴様らに滅せられた未来においてな!スターライトエクスティンクション!」
「うわああぁあーッ!」
アヴニールの技が冥闘士の一軍を滅ぼす。その様子をハクレイが見ていた。
「アヴニール!お前…また一人で切り込みを…。黄金とはいえ無茶しすぎだ!」
「大したことはない…。それに、これくらい捨て身でなければ信用されぬ。この世界では出自の怪しい私だからな」
「……」
背を向けるアヴニールの肩をハクレイがつかむ。
「オイ…!信用していないのはお前のほうじゃないのか?少なくとも俺の仲間はお前を少しずつ分かってきてる…。お前が信頼できることも、誰より聖戦に命をかけていることも…!未来を救いたいのは皆一緒だ!俺達にも手伝わせてくれ、アヴニール!」
「別に信頼してないわけじゃない。…ただ、…牡羊座として、十二宮第一宮の守護者として、私は一番初めに盾となって死ぬべき黄金だった。今度こそ牡羊座の役目を全うしたいだけだ。この時代で冥王軍を…ハーデスを絶やすためにな!」
『悲哀、憤怒、後悔、緊張感、孤独。フラッシュバックする絶望。焼け滅びる地上。残忍な死を迎えるアテナ様の愛した命達。そして…』
首を切られたアテナ。
『許さない。自分を。冥王を。未来が救われるまで…!』
過去を見たシオンは涙を流した。
『そうだ。晴らさなければ。彼の無念を、恨みを、この牡羊座の聖衣で。それが彼の想い…!』
拳を握りシオンは決意した。その時、声をかける者がいた。
「堪能したかい?シオン様。その聖衣(チケット)はずっと見たかった芝居の聖衣(チケット)だろ?どうだい…!未来の死に損ないの人生劇!」
カイロスの分身が姿を見せる。
「時に弄ばれたアヴニールの幕でござい!んはははははははは!んはははははは!」
「何が可笑しい…!人を惑わし苦しめるのがそんなに楽しいのか!?」
「楽しいね。どんな芝居よりね」
「何故だ。お前達、時の神は何故私達に関わる!?この牡羊座の聖衣を狙う理由は何なんだ!」
「分かってねェな、シオン様。狙われてんのは、テメェだよ。テメェは一滴になる。巨大な渦を巻き起こすのも最初はほんの小さな一滴さ。グルグルグルグル。放っときゃ勝手に大きくなる」
カイロスの分身の指先に渦が現れる。
『渦が…!』
「テメェは未来を大きく変える一滴になる。だから今のうちに排除するのさ。ミンチにしてなァ!」
「!」
「リアルマーベラス!」
巨大な黒い渦がシオンの体を巻き込んだ。
「ぐあああああ!」
シオンの体を覆う黄金聖衣がきしむ。
『馬鹿な、最強の黄金聖衣が軋んでる…!?アヴニールの聖衣が…!』
「んはははははははー!」
『さあ、どうするよ、クロノス。テメェが牡羊座を過去に引きずり込んだのは、このガキの能力(ちから)で未来を見せる為だろうさ。そしてこのクソガキを教皇にしてある男を作り上げるためだろう。そうすればアヴニールの未来の滅びは免れる…だが!させねェぜ!俺にとっても唯一やって来る機会(チャンス)の時代…その為には、何としてもこのガキには消えてもらう!』
「あばよ、シオン様ーッ!」
「く…うおおおおお!」
その時、黒い渦が消えた。
「なに…、リアルマーベラスをかき消しただと…!?」
星の光をシオンは作り出した。
「なるほどね。その光は対象を包み飛ばす技。初実戦にしては考えたじゃねぇの、シオン様」
シオンが牡羊座の聖衣に手をやる。
「良かった…。砕けてはいないか」
「!?」
「ここは聖衣箱(クロスボックス)の中に作られたアヴニールの記憶の世界。確かなものはこの聖衣だけだろう。私はこの聖衣を持って聖域へ行かねばならない。聖闘士になるため…そして、アヴニールの遺志を継ぐために」
カイロスの分身と戦っていたマニゴルドは異変を感じた。
「どうしました!?」
「シオンの小宇宙が怒りに染まった…。まさか…あいつ…」
『引きずられちまったか…!?ハクレイのじじいが危惧してた…。強い同調能力であいつの精神が壊れるんじゃないかって…。あいつ、まさか本当に…』
「んはっ。んははははは!」
カイロスの分身が笑う。
「んははははははーッ!顔つきが変わったな、シオン様ァー!そうだ、戦士はそうでなきゃいけねェ。それでこそアヴニールの魂も浮かばれるってもんだ。二百数十年も恨みつらみを発するあさましい魂!んはははは!気持ち悪ィ!」
「黙れ!確かにこの内に彼の怒りが渦巻く。…だが…彼の傍らには師(ハクレイ)がいた。その仲間も!彼がこの聖衣に込めているのはそれだけじゃない。全てだ!この負の気持ちも含めて…。それを継げずに何を未来に伝えられる…!救えようかーッ!」
シオンがスターダストレボリューションを放つ。
「んははははは!だから甘ちゃんなんだよ、テメェはーッ!」
カイロスの分身が作った黒い渦がシオンの技を打ち消す。
「ぐううう…!」
『くそ…!体も聖衣も限界に…!』
「綺麗ごと言ったって実際は心乱れっ放しじゃねェかよ。それでマトモに技が放てるわけもねェ。テメェは結局奴に足引っ張られて死ぬのさ!んはははは、本望だろうがーッ!」
「くっ…、うおおおおおおーッ!」
黄金聖衣が砕けた。破片が散る。
『届け。これは祈りだ。私の時代まで届け。平和でいよと』
「アヴニール!出撃だ!」
ハクレイ達がアヴニールに声をかける。
『誰も私達のような思いはしないで欲しい。この先、誰も』
カイロスの分身が異変に気づいた。
「バカな…、どういうことだ…アレは…!」
砕けた黄金聖衣の破片がシオンの周囲にとどまり、彼を守っている。
「馬鹿な…、聖衣の破片が奴を守っている…!?」
シオンは破片を握りしめた。
「今…確かに貴方の遺志、受け取りました。私は必ずこの時代を生き切って伝えましょう。貴方の無念も、祈りも!再び貴方を生みださぬよう」
「息も絶え絶えのクセして良い風にまとめてんじゃねェよ。それだとこちとら都合が悪ィんだ。これで終わりだ!粒子になって消えちまいなーッ!」
『牡羊座…、力を…!』
シオンとアヴニールの力が合わさった。
「スターダストレボリューションーッ!」
その技はカイロスの分身にダメージを与えた。
「なにィ!?バカな…!まだヒヨコのはずのテメェに…聖闘士になりたてのテメェにこんな力があるわけがねェーッ!」
「いいや、カイロス。私だけの力ではない。聖衣に込めれていた歴代牡羊座の小宇宙が力をくれている。我々を戦場へ帰せと!時間の牢獄(ここ)から解き放てとー!」
「く…、ちくしょおおー!」
シオンはカイロスの分身を撃破した。
◆覚悟は紡がれてゆく!


作者コメント:健康第一と原稿第一は似て全く非なるものよなぁ…。


シオン、アヴニールや牡羊座の聖衣の力を借りてカイロスの分身撃破。
次回でシオン編完結かな。
そのあとはLCのシリーズはどうなるんだろう。パンドラ外伝とか三巨頭外伝、読みたいんだけど…。LCとお別れしたくないよーっ。

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