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2015年01月10日14:33

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今月のLC外伝ネタバレ

◆先代牡羊座の声を追うシオンとマニゴルドだが…!?

シオン編:第2話「時を超えた使者」

聖衣箱をかついだマニゴルドはシオンと二人で荒涼とした山地をさまよっていた。
「あー、くそ!もう数日歩いてんのに手がかり一つありゃしねえ。面倒なこと押しつけやがるぜ、お師匠も…。おい、シオン!例の牡羊座の墓からの声は聞こえねェのかよ!」
「……。そんなに始終聞こえていたら有難みもなくなるだろう。とにかく墓を探そう、マニゴルド」
「どこが有難ェんだよ。道案内でもしてくれやまだしもよ…。何が哀しくてこんなガキと酒も色気もねェ旅してんだか…」
「任務に酒も色気も関係ないだろう」
「ガキ(テメエ)には分からねェんだよ!見ろよ!町一つねェ。まるで黄泉比良坂じゃねェか!これ以上ここで彷徨ってたら気がおかしくなっちまう!」
「……。これも黄金聖闘士になるための試練の一つだと思えば何の苦でもない!」
「…俺は付き合わされているだけじゃねェか…」
「だけど確かに声はこのあたりから聞こえていたんだ。師も以前この辺りに埋葬したとおっしゃっていた」
「あぁ…この辺りにゃ古代大陸の末裔の遺跡があったとかってヤツ…。250年前の話だもんなァ。…まあ、運を待つしかねェのかもなァ…」
荒涼とした風が吹く。
『…だ。ここだ…。ここだ!』
シオンの頭に声が響く。
「…ッ」
「おい…どうした?」
「牡羊座の声が聞こえた…。恐らく墓はこの付近だ」
「この付近だァ!?んなこと言ったって何も…。!」
光が浮いていた。
「星屑の光…」
「なるほどな…。だがここ掘って何が出るって感じでもなさそうだぜ。結局ここからどうすりゃ良いんだよ」
光が瞬く。やがてそれは大きく弾け二人を飲み込んだ。
「光の輪が…体を包む…。これは…まさか…!」
「この光…体を溶かすぜ…。このままじゃあ…」
「消…滅…」
二人の小宇宙が飲み込まれた。
ジャミールの館で弟のセージの立体映像と会話するハクレイにもその異変は届いた。
「二人の小宇宙が途絶えましたな…」
「…ああ」
「あとは…」
「うむ…。アヴニールとシオンの繋がり次第。…さて、あの未熟者がどうなることやら…」
「……。すまないな。兄上」
「?」
「心配でしょう。今回の件、シオンの聖衣継承試験にしては重すぎる…」
聖域では玉座に座ったセージがジャミールにいるハクレイの立体映像と会話している。
「…しかし今はシオンのあの能力に頼らねばならない状況なのです」
「致し方あるまいよ…。あれからもう250年だ。…我々では何の手がかりも掴めなかった…」
「…ええ。アヴニールを埋葬したムーの末裔の地…。前聖戦後あの地は広大なチベットの大地から忽然と姿を消した。何度も捜索したが、結局あれから我々はアヴニールを完全に失った…。あの時はただ時が来たのだと、そう思っておりましたが…」
「……。まさか今になってシオンが消えたはずの聖衣の声を聞くなどとはな」
「そして兄上…。私の予想が正しければこの件には恐らく…」
「…ッ」
ハクレイが膝の上に手を置く。
「!?」
「どちらにせよ聖戦が始まる以上、牡羊座の聖衣は不可欠じゃ。時が来たのは現代(いま)じゃ。それを感じるからお前も大事なマニゴルドを寄越したのじゃろう。わしはいつでもお前の策に乗る。弟子も信じる。牡羊座は再びわしらの元に帰る」
ハクレイは立ち上がった。
「まあ、一言二言、手と口は出すがな…!」
「そうですな、兄上。彼は必ずシオンを導く。我々には成せなかったことをあの子(シオン)なら叶える。彼の願いも」
シオンとマニゴルドを飲み込んだ星屑の光が消えた。
「! ……。どうもしていない…、夢か…?」
「…いや、よく見ろ」
「こ…、これは…!?」
何もなかった荒野に廃墟となった村が出現していた。
「さっきまで何もなかったはずなのに…。こんな遺跡が…」
「ヘッ!ビンゴだぜ…!またお師匠の読み通りってことかよ」
「!?」
「見つからねェはずだよ。この地は長い間ずっと消失してたらしいからな」
「消失!?」
「俺も半信半疑だったがどうやらマジだ。…だが、ここは相当ヤベェぞ。ケツの穴しめてかからねェと二度と現世にゃ戻れねェ」
「……。分かった」
二人の上に岩が降ってきた。
「さっそくお出ましかよ…!」
「どこからだ…!?」
崖の上にヤクに乗ったチベットの装束を着た男たちが二人いた。
「何だ?あいつら…」
「……」
男たちが問う。
「何者だ。いつから来た」
「…いつ?どういう意味だ…?」
「まともに相手にするな、シオン。厄介だぜ。おい、あんたら、俺達ゃはるばる聖域から来たんだ。多分だがあんたらの守る牡羊座の聖衣を返して貰いにな」
「聖衣を…、何のために?」
「そりゃ聖なる戦争に使うのさ。他に何がある」
「……。…お前、「死」の匂いがするな」
「!」
「聖域から来ただと?もはや我々はそれを鵜呑みには出来ん。もうこれ以上、あの方の聖衣は汚せん!」
念動力で浮き上がった岩が二人を襲う。
「うわぁあぁあ!」
『強い…!彼らは聖衣を守っているのか…。だけど何から…!?』
剣を抜いた男がシオンに襲いかかる。
「待ってください…!私達は敵では…冥王軍ではありません。それらに対抗するために牡羊座の聖衣が必要なのです…!」
「その手にはもう乗らん…!悪魔め!」
「!?」
男の蹴りを受けたシオンは廃墟の家の中に叩きこまれた。
「くっ…」
『…何だ…!?体が上手く動かない…。どうして…』
「!」
シオンがそこで見たのは、襲われ、驚愕し、逃げ惑う姿のまま固まった人々の姿だった。
『人間…!?固まっている。…いや、違う!時間が止まっている…!?いかん…!これ以上ここにいては…!』
家から飛び出したシオンを男が待ち構えていた。
「…っ。…何があったのです…この地に。貴方方に…牡羊座に…、前聖戦の後、何が…!答えてください、どうか…!」
「語って何になる…。時の牢獄の絶望など…!」
「くっ…」
男の剣をシオンが避ける。その時、マニゴルドが聖衣をまとって現れ、男の魂を引き抜いた。その瞬間、男の体はミイラのようになって干からびた。
「大丈夫かよ、シオン」
「あ…ああ…」
「あーあ、こいつもかよ…」
「…何がだ?」
「もう一人の奴も冥界波で魂剥がしたら一気に風化して崩れちまったんだよ。まるで数百年経った骸みてェによ…」
「そういえば時の牢獄とこの男は言ってた。…この場所、時間の流れが明らかにおかしい…。…もしかしたら…、私達も永遠にこの場所に閉じ込められるかもしれん」
パチ、パチ、と手を打つ男がした。
「凄い…、凄いや…!冥界波を見るなんて何時ぶりだろう!」
黒髪の少年がいた。
「今の蟹座は随分セージと雰囲気が違うんだね。彼は教皇として上手くやってるんだろうか」
「…な…?」
『子供…?』
「仲間が突然襲って申し訳なかったね。皆もう長い年月の緊張感で疲れているんだ…。時間に翻弄されることにね」
「……」
「話の分かる奴がいて助かったぜ。俺達は…」
「分かってるよ。アヴニール様の遺志はずっとその子を呼んでいた」
「では…」
「ああ、案内するよ。すべて話すよ、ここで起こったこと。そのうえでどうか僕らとアヴニール様を助けてほしい。僕らはきっと、時を超えて君を待っていたんだ」
二人は牡羊座の聖衣が安置されている地下室に案内された。その空間は時計の文字盤のような形をした強力な封印がかかっていた。
「な…何だ…これは…。封じられているのか…」
「しかもこの力、強大すぎる…。冥闘士とか…そんなレベルじゃねェ…。「神」だ…」
「……」
「この地はこの封印を中心に時を歪められています。今まで多くの仲間がこれを破壊しようとしましたが…」
「無理だろ…。触れれば時を奪われる…。テメェ…まさかこれを…」
「はい。破壊していただきたいのです」
「あ゛ー!やっぱりな…!」
「…だけどこのままにしておくわけにはいかない。絶対に」
「…ことの起こりは前聖戦から数年後。どうしてこの牡羊座の聖衣が狙われたのかは分かりません。ある日、この地にそぐわない、異質な…奇妙な風体の男がやってきました」
シルクハットに蝶ネクイタ、タキシード姿のその男は言った。
「俺ァ聖域から来たんだがよ。ちーっとばかり拝まして欲しいんだけどよ。その有難ェ黄金の羊様をね」
「彼はカイロスと名乗りました」
◆牡羊座の聖衣の影に暗躍せしは“時の神(カイロス)”!?


作者コメント:2015年ですね。今年はいろいろな区切りの年になりそうな気もします。頑張って描き続けたいと思います。


シオン外伝、第二話。
まさかのカイロスがらみ。あの親父、ろくなことしねえなw
ムーの末裔とか色々出てきてこれも面白い。セージとハクレイ、立体映像で会話ができるとは便利だな。

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