今日は神保町岩波ホールで「ゲッベルスと私」を観てきました。
監督:クリスティアン・クレーネス、オーラフ・S・ミュラー、ローラント・シュロットホーファー、フロリアン・バイゲンザマー
出演者:ブルンヒルデ・ポムゼル
ナチス宣伝相ゲッベルスの元秘書ブルンヒルデ・ポムゼルが戦後69年経って、初めてインタビューに応じたドキュメンタリー作品です。
1911年に生まれたポムゼルはユダヤ人のゴルドベルク博士の事務所で働き、その後恋人の知人の勧めで国営放送局に入りますが、放送局に入るため彼女はナチスに月の半分の生活費にあたるお金を払ってナチスに入党します。
放送局に入った彼女はしばらくは裕福な生活を経験し、1942年にゲッベルスの秘書となります。
強制収容所の存在は知っていたものの、犯罪を犯した人を収容する施設だと認識していたようで、元々政治には関心がなかったと述懐しています。
彼女の知るゲッベルスは上等なスーツを着こなし、爪はいつも手入れされていて気品を漂わせていたそうですが、ひとたびナチスの宣伝マンとしての顔を見せたときは豹変して声を荒げて傲慢な態度をとる男だったそうです。
ポムゼル氏は幼少期から厳しい父親に育てられ、誰かが悪さをすれば皆一緒に体罰を受け、従順になる教育を受け、今時の若い人たちが自分の意見を持つ姿を見て羨ましく思うと語っています。
戦争も終盤となり、防空壕では恐怖を和らげるために酒を飲み、ソ連軍の捕虜となるとゲッベルスのタイピストでゲッベルスには会ったことがないと虚偽の証言をしたそうで、その後ユダヤ人の収容に使われた施設で5年間抑留されたのちに釈放され、独身を通して、本作の撮影時には103歳になっていたそうです。
あの当時、ナチスに反旗を翻せた人はいない(実際にいても全て粛清されてしまった)と語る当時を知る彼女を含む人たちに責任を問う声もありますが、やはりそれは酷な話でもあり、無理があると感じた次第です。
公式サイトURL
https://www.sunny-film.com/a-german-life
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