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2017年10月20日08:19

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ちょっと、小休止―牡蠣フライの季節来る

パリの街角での牡蠣フライの解禁は、たしか10月の第二か第三かの水曜か木曜だったと思う。
その日は、昼間から、街角のレストランの店先にどこも所狭しとばかりにあの牡蠣の貝殻がいっぱいに積み上げられ、道行くわれわれの食指とよだれをそそるのだ。
私は、レ・アールの元魚市場の傍の名店のオ・ピエ・ド・コションで、最初は私の定番のマティーニを持って来させた後、一ダースの牡蠣フライに、冷えた白葡萄酒をたっぷり、ゆっくり、味わうのが好きだ。牡蠣フライへの白葡萄酒は、むろん、”オイスター・ワイン”の異名をもつあのムスカデに決まっている。
ニューヨークの42丁目のグランド・セントラル駅地階奥のオイスター・バーは、何しろ緯度ではNYは北海道に当たるので、その近海やボストン沖で、牡蠣は一年じゅういくらでも獲れる。だから真夏でもいくらでも牡蠣フライを食える。
私はここでは、ボストン沖産のブルーポイントという銘柄の牡蠣がご贔屓である。それといっしょに豪勢にいちどロブスター一匹を丸々焼き上げさせ、外殻がえらく硬いので取り去るのに苦労していたら、通りかかった黒人のでかいウェイターから、「おまえはジャパニーズか?」と訊かれ、イエスとこたえたら、だったら、カラテを使え!といわれたことがある。大きなお世話だ。
それでうっかりしていたのだが、東京でのそれは、私のその料理の毎年の初物はそこで食すると決めている煉瓦亭の新富町本店で、もう始まっていた。
ホテル西洋銀座の末期には、あそこの二階のコーヒーラウンジの女性スタッフの美女たち数人にお声がけをして、NYのオイスター・バーの丸の内支店に行くのを毎年の習慣にしていた。
ここの牡蠣フライといい、白葡萄酒の味わいといい、エスコート申し上げる上記の現役と元西洋美女たちの顔ぶれのゴージャスさといい、なかなか素晴らしかったのだが、東京に類似のオイスター・バーが急激に雨後のタケノコのように増えてきたためなのか、それともこの丸の内オイスター・バーがあまりに広大で採算分岐点が高すぎた設計の失敗のためなのか、数年で店仕舞いしてしまったのは、残念だった。
近々、新富町煉瓦亭に行って、食してこよう。
自慢ではないが、私は食いものは何でも大好きだ。
だが、なかでも、牡蠣フライが私は大好物である。10代の私の12月のちょうどその季節の誕生日には、母親が、一キロぶんの牡蠣を次から次に揚げて食卓に運んでくれ、文字どおり、舌鼓を打ちながら、バンバンたいらげていった。
洗面器ほどの一キロの牡蠣フライと誕生日の黄金時代よ。

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