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2018年08月16日09:17

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夏の一日    3

エアコンを修理したら、何とか暑くても過ごせるようになった。
しかし毎日暑い。
こう暑くちゃ外回りもスムーズには行かない。

ふう。
午後3時前。営業車のなかで一息ついていると、携帯が振動した。
明日の夜会えない?
kaoriからだった、何週間ぶりだった。
俺はすぐOKの返事を送った。

翌日の夜、都心から少し離れたホテルのラウンジで俺とkaoriは飲んでいた。
Nくん、ごめんね。今日で終わりにしよう。
そら来た!まぁだいたい予想はしてたけど。
俺に飽きたの?
そうじゃない。だけど私結婚してるでしょ。
…………。
最近夫が何か察知したみたいなの。毎日定時に帰ってくるし。休みの日はずっと家に居るし。携帯チェックされないように常に持ち歩いてるの。今夜は同窓会だって言ってきた。

なるほど。役所勤めはこれだからやりづらい。

いいよ、いずれにしろ最初から無理な付き合いだったし。
ありがとう。お礼言うのも変だよね。じゃあ今日は最後の思い出作りしよう。

俺たちはホテルの一室に入った。
今夜で終わり、なのに俺は心も身体も冷めていた。
全然気持ち良くなく、朝を迎えた。

さよなら
小綺麗な人妻は先に部屋を出て行った。
会社に着いてからも俺はぼーっとしていた。
そのため、もう少しで客の接待を忘れるところだった、危ない危ない。

文字どおり俺はシングルになった。
不思議と開放感に満ちてきて、だんだん妙なテンションが上がってきた。

このままずっと独身でもいいかな。
一人で行きつけの居酒屋で飲んでいると、久しぶりに柳からメールが来た。

久しぶり。
急だけど今から会えるか?

俺は柳に居場所を伝えると、30分位経って柳が現れた。

そっか、その人妻もなかなか堅実だな。
にもなるだろ。働いてないんだもの。
にしても、呆気なかったな。

そう?こんなもんじゃね。

柳はグラスをおもむろに傾け、俺の目を見た。
なぁまた今夜泊まっていいか?

全くいつもこいつは急である。
俺が玄関の鍵を開けていると、ふいに柳に後ろから抱きつかれた。

ちょっ、な、なに!?
………N、俺もう我慢出来ない。
!?

まさかまさか、柳の言ってた片想いの相手って、まさか。

お前のこと、ずっと好きだった。
と、とりあえず中入るぞ!こんなところで誰かに見られてたらヤバい!

こんな展開ってなんで!?俺はゲイじゃないぞ。

柳、気持ちは分かったけど、俺は無理だよ、分かるだろ?
ああ、でも告ったらなんかすっきりした。

お前、今日俺に手出すなよ!
しないよ、嫌がってる相手に手なんかださねぇよ。
守れよ。
守るよ。

その夜、柳のことが気になって、俺は全然眠れなかった。
こんな不意打ちしておいて、当の本人はすやすや寝入ってやがる、全く!

翌朝、柳の作ってくれた朝飯の半分も食べれず、俺は出勤した。
あんのゲイ野郎、ホントに始末に悪い、これからどうしたらいいんだ。

ふいに、kyokoの柔らかい胸が恋しくなった。



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