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2017年03月26日20:24

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シャセリオー展　19世紀フランス・ロマン主義の異才

国立西洋美術館で開催中の“シャセリオー展　19世紀フランス・ロマン主義の異才”を観ました。

↓シャセリオー展　公式ＨＰ
http://www.tbs.co.jp/chasseriau-ten/

昔から不思議に思っていたコトがあって。シャセリオーの描く異国趣味は、どうも、他の人と違って、何処か懐かしいような・・・そんな気分になるんだよな・・・と。今回、彼自身、カリブ海のイスパニョーラ島エル・リモン生まれと知り、あぁ、そういう部分も起因していたのかな？と思いました。まぁ、２歳でパリに行っちゃうんだケド。（でも、親戚は、カリブにいたりしたみたい）

あと、今回の１番の吃驚ポイント。ギュスターヴ・モローに『若者と死』という、私の大っっっ好きな絵があるのですが。この絵の若者のモデルが、シャセリオーだったーーー！！！（本気で吃驚）
この絵、37歳の若さで夭逝したシャセリオーが黄泉の国へ行く姿を描いた物だったんですね。し・・知らなかった・・・。

山田五郎氏がスペシャルナビゲーターだったので、音声ガイドを借りてみました。五郎さんの解説面白かったです。ロマン主義の活動＝全共闘運動という説。ちょっと笑ってしまったが、ようは既存の体制に何が何でも反対する・・という部分は確かにそうなのかも知れない。

テオドール・シャセリオー。アングルに「彼は将来絵画のナポレオンになる！」と言わせた男。1830年、11歳でアングルに入門。1836年、サロンに16歳で初入選。ロマン主義の爛熟期に、シャセリオーもロマン主義のコミュニティに出入りし、1840年～1841年のイタリア旅行で転機を迎える。
このイタリア旅行で、ローマへ行っていたアングルと再会するのだが、絵画への考え方がこの時点では違ってしまい、ここで、アングルから離れ、独自の道へ進むコトになるらしい。アングルは新古典主義。シャセリオーはロマン主義ね。おおう、体制と反体制に分かれたようなモノか。

まずは、テオドール・シャセリオー『自画像』。
栗色の髪の毛の少年。黒い服を着た少年は、手を胸元に入れ、口を結んで少し緊張気味に見える。16歳の頃の自画像らしい。左上にパレットが描かれている。まだ色調も抑え目で、アカデミズムの描き方よね。前述通り、シャセリオーは、カリブ海のイスパニョーラ生まれ。父親は農園主。母親は地主の娘。お坊ちゃんですな。身長は174㎝で、オリーブ色の肌をし、栗色の髪の毛で、フランスでは浮いてしまう容姿だった為、容姿にコンプレックスがあったらしい。自画像を観る限り、そんな不細工じゃないんだケド・・・。写真も絶対撮らせなかったらしいよ。
シャセリオー自身、異邦人。本人のパスポートが残っていて、その展示もあった（良く残ってたな）。

『放蕩息子の帰還』　入選作。少年シャセリオーに似た息子を抱きしめる父親。父は赤茶の服を着て、息子は白い服を着ている。左下には黒い犬がいて、息子を見上げている。
シャセリオーの父は、パリで外交官のような仕事をしていた。・・・というか、どうやら、諜報部員だったらしいのだが。恰好良い、スパイだ！そんな関係で、父は世界中を飛び回っており、家におらず、シャセリオーは寂しい思いをしていたらしい。10歳の時、「お父さん、僕の描いた絵のデッサンを送ります。」とそんな手紙も書いている。でも、別に冷たい父ちゃんではなく、「オマエの手紙を待ってるよ。」的な返事をしていた。でも、寂しかったんだろうね。この絵は、そんな自分も反映してるのでは？ってコトだった。だから、息子は自分に似せたのかな？彼自身が父ちゃんに抱きしめられたかったのかも知れない。

急にナルシス・ディアス・デ・ラ・ペーニャ　『木陰に立つ若い女』の絵があり驚く。私、ラ・ペーニャの絵好きなのだ。小品だったケド、良い作品。夕暮れの木陰。オレンジ色の陽。草花に、夕日に照らされた雲。これ、シャセリオーが持っていた絵なんだって。ラ・ペーニャとは友人だったらしい。

『オリーヴ山で祈る天使』　私、この絵、大好きだった。憂い顔の天使。左手を頬に当てている。青白い羽。サン＝ジャン＝ダンジェリ教会の祭壇画の為に制作した“オリーヴ山のキリスト”という絵の天使の習作。

『アクタイオンに驚くディアナ』　色彩がカラフル。この辺りから、ロマン派になって行くのか。ディアナは後ろ向きで、侍女から服を受け取っている。遠くに鹿人間。鹿にされかけてるアクタイオンだな。右には水浴びする女性達。サロンで落選した作品だそうな。色が過剰と言われたらしい。まぁ、過剰って言えばそうなのかな？今の感覚では、普通に綺麗だケド。ロマン派の詩人ゴーティエは「ルビー色の陽」と、この絵を絶賛している。

シャセリオーはドラクロワに傾倒する。五郎さんの説だと、ロマン主義＝全共闘運動ね。反体制がロマン主義だ。新古典主義とロマン主義の違い。新古典主義は、デッサンを重んじ、静かな画面構成で滑らかに描く。ロマン主義は、色彩がカラフルで、時に荒々しいタッチ。画家の感情や空想も絵に込めるのがロマン主義。特に、シャセリオーは、この自分の感情を込める・・ってのを、濃厚にやった画家らしい。

『森の中で小枝を手折る女性とその子供』　枝を折ろうとする母親。子供は母親の足にしがみつき、母親を見上げてる。母親は子供を優しく見ている。“母と子”は、シャセリオーにとって重要なモティーフの一つ。

20代。サン＝メリ聖堂の壁画を始めとする公的作品を受けつつ、ロマン主義へ傾倒。ロマン主義の文学者らと交友を結び、シェイクスピアを愛読。劇場にも足を運んだそうな。

『アポロンとダフネ』　右手を上げ、足の下から月桂樹に変化するダフネ。ダフネに縋って嘆くアポロン。アポロンは赤いマントでピンクの服。ダフネはヌードだ。背景は緑の森。アポロンは竪琴を背負っている。処女を貫くため月桂樹に変化するダフネは無表情だ。ダフネの腕に巻いてる黒い布は何だろう？
で、この絵。これだけだと、なんのこっちゃないギリシャ神話モティーフの絵なのだが。シャセリオーはこれに、自分の感情や空想を入れている。ダフネが追っても追いつけない美の象徴。アポロンはシャセリオー本人。そう見立てていると。この辺りが新古典主義と違う部分だそうな。新古典主義は物語の主題をそのまま描くからね。
この絵。モローが影響された。モローはシャセリオーの壁画を見て感激し、大学を辞めて、シャセリオーの家の隣りに引っ越してきたくらい（ちょっとヤバイ人の行動っぽい(^_^;)）、シャセリオーに心酔していたらしい。
その隣にモローの『アポロンとダフネ』があったのだが、左右が反転しているだけで、ほぼ、シャセリオーの絵の構図だった。こっちは、竪琴はアポロンの腰に下がっており、背景は森ではなく、荒野っぽかったが。

『サッフォー』　ファオーンへの恋に破れ、絶壁に１人座り海を見るレスボス島の詩人サッフォー。サッフォーは茶色の服を着ている。空には星。これから身投げするのかも知れない。ラマルティーヌがサッフォーのコトを長編詩に綴り、これが、彼のインスピレーションになったらしい。

『気絶したマゼッパを見つけるコサックの娘』　青い服を着て、右手を上げ、驚いた表情のコサックの娘。彼女の足元には、倒れた馬と、その上に仰向けで倒れる全裸のマゼッパ。ポーランド国王に仕えたマゼッパだが、有力者の妻と不倫をして、罰として野生の馬に裸で縛り付けられ荒野に追放された。走り続けた馬は疲れ果て倒れ、マゼッパも一緒に倒れ込む。そのシーン。普通、走る馬に縛られたマゼッパを描くのが多いが、シャセリオーは、マゼッパを発見するコサックの娘が描きたくて、この場面を描いたらしい。確かに娘、良い表情。
1846年。シャセリオーはアルジェリア旅行をする。それも影響してるらしい。この絵、ゴーティエが絶賛。この絵の元ネタはバイロンの詩らしい。

版画コーナーがあった。シャセリオーは『オセロ』の連作があった。ロマン派はシェイクスピア好き。シャセリオーは演劇的な手法で、オセロを描いた。この頃、シャセリオーの父が無実の罪をきせられ異国の血で処刑されたらしく、そんなコトもあって、オセロを描いたのでは？とのコト。
ロマン主義の文学者は、ユゴーやバルザック、バイロン等。音楽はショパンやシューベルト。ロマン主義は、五郎さん解説だと、全共闘運動で、ようは、アカデミズムに反せれば何でもＯＫってところがある。ロマン主義には異国趣味と民族主義があるが、異国趣味は東方等の外国賛美。民族主義は、自国の文化賛美で、一見矛盾があるように見えるが、ようは、ギリシャ・ローマ文化を敬愛するアカデミズムにとって、自国の文化も異国趣味もギリシャ・ローマ文化ではないので、反アカデミズムになるんだって。
シェイクスピアも、イギリスのアングロサクソン系民族の話だから、反体制になるらしい。

『マクベスと３人の魔女』　一目見て「ドラクロワみたい～」と言ってしまった(^_^;)。左に馬に乗るマクベスと友人のバンクォー。右に３人の魔女。マクベスは不信そうな顔で魔女たちを見る。魔女たちはオーバーアクトに腕を上げ演劇的だ。「バンザイ、マクベス！アナタはこの国の王となる！」だよね。魔女の予言。これで、マクベスの人生は狂っちゃうんだケド・・・。マクベスの赤いマントは高く風になびき、これも、演劇的。色彩がカラフルで、ドラクロワの色彩を思わせた。でも、ドラクロワは英雄を凛々しく描くのだが、シャセリオーはもっと感情的に描く・・という違いがあるらしいよ。シャセの方が女性的なのかも。1855年に、シャセはマクベスを観たのだそうな。
そして、そんな頃、ぶいぶい言わせてた美人舞台女優アリス・オジーと恋人になるのだが・・・。

『泉のほとりで眠るニンフ』　今回の目玉の１枚だね。こんなデカイ絵だったんだ！右に頭を向け森の中で眠るニンフ。でも、良く見れば。体の下にはピンクのドレスがあり、ポーズする為上げた脇には脇毛が生えている。ドレスの下にはアクセサリーも。本当にニンフ？実は、この絵のモデルが、恋人だったアリス・オジー。当時、パリで最も美しい体を持つ女性と賛美され、ユゴーなど、親子でオジーに夢中になっちゃったんだって。王子の恋人だったり、凄いブイブイ言わせてた女である。
オジーはユゴーをシャセの前で誘惑したってコトもあったらしい。「私の乳房を見せてあげたい？」みたいなコトをシャセに言っている。でも、これはオジーが「そんな事実はない！」と反論してた。オジーの反論の手紙や、暴露本（？）の展示もあったよ。
脇毛に吃驚してるお客さんもいたが、欧州って、女性も脇毛を剃らないよね？（今はどうだか知らんが）
唯一、剃る職業の女性がいます。な～んだ？娼婦ですね。なので、脇毛を剃ると「何アンタ、娼婦なの？」って言われちゃう。

『16世紀スペイン女性の肖像の模写』　この絵、好きだったな。古典主義的な描かれ方。何でも、シャセは、ドラクロワと比較されるのが嫌で、この絵を描いたらしい。アングルが絶賛し「この絵は絶対に手放すな。」と言ったとか。しかし、オジーかこの絵を欲しがった。しぶしぶオジーにあげるも、喧嘩をし、シャセリオー自ら、この絵を切りつけ、持って帰って来たらしい。因みに、これが原因で、オジーとは破局。でも、２年付き合ったみたいよ。その後、絵はシャセ本人が修復した。今も顔にその痕が残っているとか。シャセリオーの死後は、親戚が大事に保管した。
35年後。オジーはこの絵と再会。オジーはこの絵を観て泣き崩れたそうな。そこで、親戚は、再びオジーに、この絵を譲った。オジーは「私の元に返ってくるのに、35年かかった。テオドールが私を許してくれていることを願う。」と言ったとか。オジーの死後は、再び、親戚の元に戻ったんだって。黒い背景から浮かぶスペイン女性は、上品な笑みをこぼしているようにも見える。

肖像画コーナー。シャセリオーは肖像画の注文は特に受け付けておらず、家族や友人を主に描いたらしい。

『プロスペール・マリヤの肖像』　シャセが15歳の時に描いた絵。黒い背景に黒い服で立つ口髭の男。マリヤはオリエンタリストで、シャセの友人。左にエジプトの壺等も描かれている。

『アレクシ・ド・ットクヴィル』　緑の椅子に手をかけ立つ黒い服の男。トクヴィルとは家族ぐるみの付き合いがあり、シャセが死んだ時、どれほど自分が悲しんでいるかを、手紙に書いて送っている。この手紙の展示もあった。他にも、シャセがアフリカに行くのを心配した手紙とか。「肖像画の下絵を有難う」の手紙もあった。良い人だったんでしょうね。

『カバリュス嬢の肖像』　これ、今回の展示のメインビジュアルに使っていた絵ね。茶色の背景の前に、ソファにちょっと凭れて立つ白いドレスの女性。髪にスミレ等の花冠をして、右手に紫陽花を持ち微笑んでいる。彼女のお父さんは医者で、彼女はパリでも有名な美女だったらしい。因みに祖母も美人で有名だったとか。1848年、サロンに出品した時には“サロンの真珠”と絶賛されたり、“青白く痩せた女”と批判されたりもした。アングルは「色彩がまぶしすぎる！」と言って、入口で目を瞑ったらしいよ（笑）。でも、当のカバリュス嬢はこの絵を気に入り、ずっと大切に持っていたそうな。左手薬指に指輪があるよね？既婚者？婚約中？

シャセリオーと言えば、オリエンタル！なんでしょうが。ここで東方がテーマのコーナーが出てくる。1846年、アルジェリアへ旅立つ。その後、東方世界を題材に絵を描くが、同時に、母と子の親密な様子も描いていた。この母子はシャセの絵の特徴ね。

『コンスタンティーヌのユダヤ人女性』　目力が強いアラブ風の服を着た美女。ザクリとしたタッチに見えるが、アクセサリーがかなりきちんと描きこまれている。シャセは顔の回りの布や飾りに関心を示しており、そのメモ描きデッサンも展示してあった。コレが結構キチンとメモってて面白い。

『コンスタンティーヌのユダヤ人街の情景』　ユダヤの女性２人がゆりかごに赤子を乗せて子守りをしている。天上からつるす、ブランコのようなゆりかごだね。左の女性は赤のベールを被り、青と黄の服。右の女性は灰色のベールを被り、緑と赤の服で、金刺繍も入っている。この頃、アルジェリアはフランス植民地への最終段階だった。どんどん西洋風になっていくこの国を、シャセは少し残念に思ったのか・・・。これには異国趣味だけではなく、母子愛も描かれていると解説にあった。そして、やはりどこかノスタルジックだ。

1840年のサン＝メリ聖堂の壁画以来、サン＝ロック聖堂、サン＝フィリップ＝デェ＝ルール聖堂の壁画等に取り組んだ。特に1844年～1848年の会計検査院の大階段への壁画は彼の代表作だった。会計検査院は戦争と平和の寓意画が中心に描かれ、サン＝ロック教会は、異国的モティーフのキリスト教聖人が中心らしい。会計検査院は、1871年に、パリコミューンで焼かれてしまい、今は断片が残っているだけだそうな。1856年、元来体の弱かったシャセリオーは37歳の若さで夭逝してしまう。
このコーナーはデッサンや資料で、壁画がどんな感じだったか説明があった。

『腕を伸ばす東洋人男性がいる群像』に、指示がバンバン書いてあった。私はフランス語が読めないのだが、読める人は楽しいと思う。例えば、アラブの娘がギリシャの娘に続くや、真珠で満たされた手や、そんなコトが書いてある。

1842年。会計検査院。24歳で壁画の制作。４年で22点（だったかな？）１人で仕上げたらしい。前述通り、1871年のパリコミューンで焼けてしまう。廃墟になっていたのだが、壁画の救出にドガやモロー、親族が尽力した。今はルーブルにこの断片が収められられている。モローは前述通り、この壁画に感動し、シャセリオーの隣りの家に引っ越した。パネル展示のような感じで、絵があった。

『東方三博士の礼拝』　左にマリアと膝の上には幼子キリスト。右に博士たち。博士たちは、白人、黒人、茶褐色の人と様々な肌の色をしている。馬も見える。この三博士は、若者、壮年、老年を表しているそうな。肌の色の違いは様々な大陸、民族のイメージ。マリアのモデルは、恋人のモルダヴィア公国の貴族の血を引くマリー・カンタキュゼーヌ公女。マリーには、旦那さんがいたので、不倫になるので、公けにはしていなかったようだ。

ピエール・ビュヴィス・ド・シャヴァンヌ　『海辺の娘たち』　海辺。ピンクの花も見える。左に岩に寄りかかる女性。中央少し左に濡れ髪をすく女性。右に横になる女性。シャセリオーの『海から上がるウェヌス』等の絵の影響が見えると。隣りに、海から上がるウェヌスの版画があったが、確かに、濡れ髪をすく仕草は、シャセの絵に似てるかも。

サン＝ロック聖堂の壁画関連の習作等の展示もあった。フィリポがエチオピアの宦官に洗礼を授ける場面の下絵。下絵の段階では、宦官は手を上げているが、完成品では、下げている。「奴隷が解放を求めているようだ」と批判されたので変えたらしい。聖ザビエルがインド人に洗礼を授ける場面では、カースト制を表す服装で描かれているそうな。神の前では平等というコトを表してもいると。
サン＝ロック聖堂の洗礼盤礼拝堂壁画の再現模型もあった。建物になっており、その中にちゃんと絵が描いてある。

『十字架を持つ若者と天使の習作』　左に十字架を持つ白い服の若者。右に天使。手の習作も一緒に描かれていた。

最後に展示してあったのが。ギュスターヴ・モローの『若者と死』。これは水彩画ヴァージョン。私は大きな油彩画ヴァージョンを以前見たコトがあります、ウィンスロップでだったかな？
最初、油絵で仕上げ、次に同じモティーフで水彩にしたらしい。
月桂樹を掲げる若者が中央にいる。足元には消えかけた松明を持つ赤い羽の精霊。若者の後ろには目を伏せた悲しげな表情の女性がいる。
この若者は、シャセリオーがモデル。37歳で亡くなったシャセリオーが黄泉の国へ向かうところらしい。背景にある剣や砂時計は死の象徴。松明は命を表す。そして、若者の後ろにいる悲しげな表情の女性。この女性って、シャセリオーが好んで描いていた女性像が元なんですね。細面で繊細そうな女性。美しい女性を描いたシャセリオー。その自分が描いた女性に嘆かれつつ、シャセリオーは月桂樹を掲げ、黄泉へ行く。でも、黄泉へ行く若者・・・シャセリオーは悲しげな表情ではなかった。何処か希望に満ちた顔にも見えた。モローの心情にもジーンとする。彼は本当にシャセリオーが好きだったんだろう。

お土産は、ポストカード７枚。

フランス・ロマン主義好き、シャセリオー好きは行ってみるのも一興かと思います。

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