mixiユーザー(id:411965)

2017年06月27日01:16

269 view

「天賀井さんは案外ふつう4」コミック

『天賀井さんは案外ふつう4』
<ストーリー>
 遂に異世界“蓬莱”と常伊市との関係が明かされる。驚愕の真相を聞いた天賀井さんと正輝は蓬莱からの使者マリカマリカから蓬莱に誘われる・・・
<コメント>
 城平京といえば『絶園のテンペスト』で気に入ってその後の作品は小説も含めて全て読んでいるのだけれども、とにかく“変”な話を書く作家。なんというか、予定調和破壊者というか、登場人物がとことん可能性を検討した結果何も、起こらなくなるという安楽椅子探偵の極限の形式のような話をよく書く。
 このマンガもものすごくて全4巻は起承転結と構成されているにも関わらず、少なくとも主人公の天賀井さんが右往左往する間には全く事件は起こらず、登場人物同士が延々と推論を話あうだけで、しかも途中で全てを知る人間が出てきてあっさりと皆を集めてそれを語ってしまうのである。
 身体の中から異形の骨を出すといういかにも少年マンガ的な天賀井さんの特殊能力は紹介されるだけで、戦闘どころか全く役にも立たないで一番の見せ場は正輝の両親に感心されて「ぱっとしない娘さんから出てくるだけに意外性があって素晴らしい」と誉められるシーンだけなのだ。
 完結編の4巻が出たので改めて1巻から読み直してみたけれども、本当に何一つ事件は起こっていない。物語の構成はつまり、考えに考え抜いた異界の出来事の設定をこちらの世界の人間が聞くだけともいえる。つまり、4巻に渡って登場人物たちが異界との関わりに関して思考実験をしているだけなのだ。問題はこれを面白がれるかどうか?に尽きる。
 少なくとも僕はこれをとても面白く思ったし、まるで登場人物の全てが推理機械のような展開も面白く感じる。
 ただ、これを「面白い!」と言って人に勧めるのには少々抵抗感がある。

天賀井さんは案外ふつう(4)(完) (ガンガンコミックス)
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=411965&id=4237359
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年06月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930