ススキノの歓楽街を舞台に、裏社会にもつながることもある面倒なゴタゴタを
探偵と相棒と二人で痛快に解決するシリーズも、「4年ぶり3回目の出場」になる。
3作目ともなると、ワクワク感というよりも、探偵たちの顔を見に行くような心境だ。
かつて、寅さん映画を見続けた善男善女も似たようなものだったのかもしれない。
とはいえ、4年ぶりとなると、それなりの変化もある。
探偵の大泉洋は、中年男のうらぶれた感じが自然に出てきた。
その分、アクションシーンでは「いい年」をして頑張っている印象になるのだが、
いささか強がり気味にキザなセリフを言っても違和感がないくらいには、
人生経験を感じさせてくれるようになった。
かつてなら「色物だけじゃない」ことを必死に示さねばならなかった大泉洋も、
いまや役者としての地位を十分に確立したことで、
気負いがなくなったというところもあるのだろう。
一方、相棒・高田の松田龍平はというと、すっかり立派な大人になっていて、
「やたらとケンカが強い正体不明の青年」というにはマトモになっていた。
そのせいか、今回、若い志尊淳の攻撃に一度は屈し、道場で鍛え直すシーンもあったし、
今回のラストでは、本業の研究のためにススキノを「離れる」ことにもなった。
とはいえ、「正体不明のオッサン」になっても、ポンコツの車とともに
なんとか探偵を助けてやってほしいところだ。
物語はいつもながらで、美しい女性にはすこぶる弱い探偵が無理に無理を重ねる。
ヒロインの北川景子は、探偵にそんな無理をさせるに足るほど十分に魅力的だったし、
自分勝手な女子大生を演じた前田敦子も思いのほか達者だ。
思わぬところで登場した鈴木砂羽も、味のある演技を見せてくれた。
そして、ここへ来て、豊富なレギュラーメンバーの中でも、
いつも探偵と微妙な緊張関係にある若頭・松重豊や新聞記者・田口トモロヲよりも、
探偵にないがしろにされてばかりいる喫茶店の女・安藤玉恵の方を、
どこか心待ちにしていたように思えたのは、なぜだったのだろう。
やっぱり、心のありようが「寅さんファン」化しているのかもしれない。
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