「覇者たちによるコンチェルトの饗宴」〜第10回浜松国際ピアノコンクール開催記念ガラ･コンサート〜その1

9/16(日),17(月・祝)の両日、アクトシティ浜松大ホールで、稀なコンサートが開催された。
2日間、世界から6人のピアニストが浜松に集まり、ピアノ協奏曲の名曲を6曲演奏したのである。

何故そんなコンサートが実現する事になったかというと、キーは浜松国際ピアノコンクールだ。
3年毎に行われている同コンクールは、今年11月に第10回の節目を迎える。
このコンクールで上位に入り、その後、世界の冠たるコンクールで優勝する人も現れるようになって、浜松国際ピアノコンクールは若手ピアニストの登竜門としての性格を確かなものにしつつある。
第10回を記念する企画として、これ迄にこのコンクールでトップの成績を修めた人達を集め、ピアノ協奏曲の夕べを2夜連続で行う事になったのである。
まさに浜松でしか実現し得ないコンサートと言い得る。
浜松に住む音楽ファンとしては、心ウキウキするイヴェントとなった。
正式名称は、長くなるが「第10回浜松国際ピアノコンクール開催記念ガラ・コンサート〜覇者たちによるコンチェルトの饗宴」。

集まったピアニストは、以下の通り。
[ ]内の数字は、今回の演奏順。
氏名(生年/国・市)
〇年、第△回浜松国際ピアノコンクール成績。
〇年、その後の著名な賞の受賞のピックアップ。
*)その他話題。

[1]アレクサンダー・コブリン(1980/ソ連(当時)>現ロシア・モスクワ)
2003年、第5回浜松国際ピアノコンクール最高位(1位ナシ、2位をラファウ・ブレハッチと分け合った)。当時23歳。
2005年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール第1位。
*)教育にも熱心で、多数の学校での教師歴あり。現在はイーストマン音校で教鞭をとる。
第10回浜コンでは審査員を務める。
アレクサンドルと表記される事もあり。

[2]アレクサンダー・ガジェヴ(1994/イタリア・ゴリツィア)
2015年、第9回浜コン第1位。当時20歳。
*)ゴリツィアはスロヴェニアと隣接する都市、スロヴェニア領だった時代もあり。父親はロシア人で音楽教師。
〈参〉http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1954443629&owner_id=3341406
アレクサンデルと表記される事もあり。

[3]アレッシオ・バックス(1977/イタリア・バーリ)
1997年、第3回浜コン第1位。当時20歳。
2000年、リーズ国際ピアノコンクール第1位。
*)妻はルシル・チョン(モントリオール生れの韓国系カナダ人)、浜コンで出合い結婚に至る。
CDリリース多数。

[4]アレクセイ・ゴルラッチ(1988/ソ連(当時)>現ウクライナ・キエフ)
2006年、第6回浜コン第1位。当時18歳。
2009年、ダブリン国際ピアノコンクール第1位。
2011年、ミュンヘン国際音楽コンクール第1位。

[5]イリヤ・ラシュコフスキー(1984/ソ連(当時)>現ロシア・イルクーツク)
2012年、第8回浜コン第1位。当時28歳。

[6]アレクサンダー・ガヴリリュク(1984/ソ連(当時)>現ウクライナ・ハルキウ)
2000年、第4回浜コン第1位。当時16歳。
2005年、ルービンシュタイン国際ピアノコンクール第1位。
*)ロシア語だとアレクサンドルだろうが、国内での表記はアレクサンダーで一本化されているようだ。

次に今回のプログラムと使用したピアノメーカー名。

◆9/16(日)
[1]コブリン
ブラームス(1833-97)　ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83(初演1881)
…スタンウェイ

[2]ガジェヴ
ラフマニノフ(1873-1943)　ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.30(初演1909)
…カワイ

[3]バックス
チャイコフスキー(1840-93)　ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23(初演1875)
…スタンウェイ

◆9/17(月・祝)
[4]ゴルラッチ
ベートーヴェン(1770-1827)　ピアノ協奏曲第5番《皇帝》変ホ長調Op.73(初演1811)
…ヤマハ

[5]ラシュコフスキー
ブラームス　ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.15(初演1858)
…ヤマハ

[6] ガヴリリュク
ラフマニノフ　ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18(初演1901)
…スタンウェイ

指揮とオーケストラ演奏は、2夜共、山下一史による東京交響楽団。

(続く)