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2015年10月16日12:43

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Anny-10 をゲット

 なんかヘンなスイッチが入ったらしい。今度は Anny-10 というオモチャカメラをゲット。 127 にしては小さいと思ったら、ボルタ判という、裏紙付き35ミリフィルムを使うものだった。正面から見ると Nikon S だが筐体はブリキでとても軽い。ホークアイに代表されるアメリカの安カメラはベークライト丸出しだが、日本は綺麗なブリキ細工が多いようだ。 50年もしたら1万円の値が付くかも知れない。入手価格は Kowa Kid の倍だったとだけ記しておく。

 そも私のカメラ初体験は親父の KONICA FP だった。この「ズッシリと重い精密機器」を触りながら、写真を撮るためにはとてつもなく複雑で高価な機械が必要なのだと思っていた。ところが雑誌の通販ページで BELL 14 というカメラを見つける。こんな安い装置で写真が撮れるのか? 何か騙されているのではないか? と思いながらも修学旅行に持って行きたくて購入。昭和50年頃の小学生の貯金で買える金額だったが、届いたのはそこそこ雑な作りのオモチャだった。確かに写真は撮れたがフィルム1本でシャッターのバネが飛んで行った。

 その後中学の写真クラブでカメラの原理を知る。フィルム現像も体験。いやー、わくわくしたね。その時級友が持っていた フジペット35 がなぜか未だに忘れられない。高校に入ると自分の一眼レフも手に入れて、ごく真っ当なフツーの写真部員活動に精を出す。だが今振り返ってみると「暗箱に付けたレンズの像を定着出来ればなんでもアリ」なプリミティブな部分に対する興味が私のカメラ好きの根っこにあるようだ。 BELL 14 の続きがその後手に入れるホークアイであり、ルビテルであり、先日のコーワKid であり今回の Anny-10 だ。フジペットも仲間に入れていいのかも知れないが、なんだか違う系統のような気もする。ミラーレス一眼は結構近い。

 ちなみに BELL 14 にはフィルムと現像液がセットになっていて自分で現像が出来た。フィルムは裏紙付きのロールフィルムで、今調べると135の半分(17.5ミリ)だったらしい。真っ黒くて細長いビニールの「現像袋」が付いていて、撮影済みのフィルムを入れて上からしごくように伸ばしたのち、現像液、次いで定着液を流し込むようなものだった。「ビニール袋にフィルムが張り付かないように」と言う注意書きがあったが、薬液が少なくとても神経を使ったのを覚えている。当時拾って来たばかりの猫を撮ったものの引き伸ばす方法がなく、ただネガフィルムを眺めていた。その後高校の写真部でキャビネくらいに伸ばしてみたが、放射状のレンズ収差が酷くてがっかりしたものだ。どこかにフィルムかプリントが残ってないかなぁ。

 閑話休題 。私はボルタ判というものを知らなかったのだが、ネットで調べると私より上の世代では結構ポピュラーだったらしい。 Anny-10 は BELL 14 よりずっと本格的で、絞りは開放の8か11、シャッターはインスタントとバルブ、シンクロ接点まで付いている。暗箱内の反射防止は少々おそまつ。面白いのはデザインだ。正面向かって右軍艦部の巻戻しノブ様突起は触ってもビクともしないし、左前部の小窓は断じて距離計窓などではなくただのシャッターロック警告窓だ。すぐ上のフォーカスギアならぬシャッターボタンロックレバーを操作すると赤くなる。だけ。凄い。きっと作った人はニコンSPなんて見たことも聞いたことも無いと言い張るだろう(笑) 中国をモノマネ文化と揶揄する向きもあるが、日本にもこんな古き良き時代があったことは忘れたくないものだ。偽物ですと売っているものをそれと知って買うのは粋じゃないか。騙しではなく遊びでありこれは文化だ。昨今話題の二次著作物にも通じるものがあるし、骨董マニアはそれをロマンと呼ぶ。

 買ってから右前面のシボ皮が剥がれてしまっていることに気が付いたが、それ以外はかなり状態はいい。撮影レンズはとても綺麗だしファインダーの曇りも少ない。シャッター、絞り、巻き上げノブ全て動作良好。スプールも1本入っていたが、まぁボルタフィルムを工面してまで撮影したいかと言うと微妙なところではある。暗室やダークバックのあった高校時代に出会っていたらと思うと少し悔しい。内部構造が Kid より複雑そうでとてもバラす気にならない。幸い油切れを起こしているようなところもないので、当面このまま飾っておこうかと思っている。
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