大河ドラマ『壬申の乱』を構想してみるｗ

2020年大河ドラマは明智光秀『麒麟がくる』　主演は長谷川博己
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=5077761
　
いい加減に、古代史やろうぜ、古代史。『壬申の乱』やろうよ。大化の改新から天武天皇の即位後まで、ちょっとロングタームにやろうぜ。

１）大化の改新の始まり「乙巳の乱」からスタート
……当時の政治情勢を、遣隋使の影響を受けた俊才たちが、作物の産出と政治秩序の安定のために、隋の土地管理制度と法制度（律令制度）を導入しようとしているところだと捉える。その俊才のトップを走るのが蘇我入鹿、中臣鎌足、中大兄皇子。誰がこの改革を成し遂げるかが彼らにとっては大切で、大外戚として入鹿は余裕で切磋琢磨を望んでいたが、鎌足と皇子は「大王家がこれを主導しなければならない」と思い、ついに権謀に走る。
　乙巳の変でついに入鹿は倒れ、その父である蝦夷も討たれ、ついに皇子と鎌足が主導する改革が始まる。

２）中大兄皇子〜天智天皇が迷走をする
……天智の弟である大海の皇子の正体には諸説あるが、基本は弟という通説を採用する（正史は同母弟だが、異母弟説を採用してもいい）。この兄弟の仲互いの原因は、額田王の奪い合いという説もあるのだが、これは採用しない。即位までの皇子は鎌足の策をよく容れ、上手いこと皇族・豪族間の政治的なバランスを保ってきた。しかし、さあもっと改革を促進するぞというなかで、天智が大豪族と妥協を始め、鎌足と齟齬が生まれ始める。そして、兄の理解者であった大海人皇子も「公地公民制度」の導入に即決で進まないことに業を煮やし始める。蘇我の一党など根絶し（石川麻呂などが朝廷では重きをなしていた）、豪族に民が所有されるがごときの部民制を廃止すべきだと路線対立が起こる。謀略の鬼である鎌足の長い手で石川麻呂をはじめとする豪族の重鎮たちは暗殺されたり、謀反の疑いをかけられ失脚する。
　そして、天皇に正式に即位してすぐの白村江の敗退。百済の壊滅。遣唐使の派遣をしていたものの、朝鮮半島で兵を失い、高句麗・新羅を恐れるあまりの大津京への遷都。
　政治的混乱に頭を抱える大海人皇子と鎌足……。

３）天智は暗殺される
……日本書紀では病死したことにされている天智だが、扶桑略記には山中で行方不明という怪しい記述があり、大海人陣営による暗殺説を採用する。大海人に皇太弟を任じていたという説は採用しない。天智天皇の８年に鎌足は藤原姓を授与され、位人臣を極めて亡くなる。天智は悲しむが、実は、鎌足はすでに天智を見限っており、大海人に策を授ける。天智を暗殺すること。一旦、下野し、伊賀・伊勢・美濃・尾張を確保すること。そうして精強な東国兵を以って近江に侵攻すること。
　この策は実行に移され、天智は毒によって狂乱し、宮殿から遁走……したように見せかけて、山中に連れ去られ、遺体が発見されないように打ち捨てられる。

４）謀略の完成
……大海人は、重臣からの即位の要請を断り、伊賀・伊勢・美濃・尾張を巡行して掌握。公地公民制度のなかで豪族たちの身が立つように、位田・職田を設けて、位階制度と生産地配分を連動させることを約束する。
　大津京では天智の息子である大友が大王に即位するが、天智の死の異常さに宮廷は混乱。大友は近江を掌握しきれず、西国も動揺し、政治的混乱が起こる。大海人は鎌足の授けた策に従い、近江への侵攻を画策する。
　まず伊賀から奈良盆地を伺い、飛鳥に集結していた大友軍の一部を裏切らせて、大津をうかがい、そちらに大友軍の主力を引きつける。
　つづいて手薄になった美濃国境より、大海人軍が近江に乱入し、琵琶湖の南北を大津へと攻め寄せる。こうして、琵琶湖の水運も断たれ、越の国々との連絡もつかなくなり、ついに大友軍は兵力の補充ができなくなる。
　そうして、大津京近郊の最終決戦で、大友軍は敗退し、大友皇子は首をくくって自決する。

５）戦後処理
……大海人皇子は、天武天皇となる。彼は藤原家を重用しつつ、律令制度の実現に邁進する。天武の権謀術数は鎌足が乗り移ったようであり、鎌足の息子、不比等でさえも震え上がるほど、数々の歴史ねつ造に手を染め、自己正当化を図る。天武は律令制とその根底にある班田収授法を成文化することで、農業生産の安定を図ることに成功した。
　しかし、それは戦後の論功行賞で、味方した豪族たちに配分された功田・賜田が私有地化することで、既にほころびが生じていた。結局、公地は事実上は私有され国司のもとに集まり、さらには、貴族・寺院・寺社など経済的に有力なものたちによる荘園となる。その萌芽がすでに埋め込まれており、原始共産主義的な土地所有制度は浸食されていくのであった……。