連続で同じような話でスマンです。
潜水士のお仕事を始めた頃、先輩に
「俺がおぼれたら助けるな」
といわれてね。
「お前なんかまだまだヒヨッコ、俺が溺れるような状況を考えると…お前が助けに来たら二重遭難になって一人溺死で済むところが一人追加になっちまう。」
…あ〜、なるほどなと。
その後、水上における救急救護員講習のとき、
「人が溺れたのを見たら飛び込むな。浮力体になるもの、救助索などで可能な限り陸上から救助しろ。
水に入る場合は命綱を付けるなどして必ず自分の安全を確保しろ。」
と。
たとえば助けに行って、溺れている要救護者にたどり着いたとして。。。
溺れている=パニック状態なので、暴れる、両腕を掴まれるなど、予見できない行動に出る。
(実際、潜水士時代、タンク潜水で溺れている人を助けに行ってマスクを剥がされた経験もある)
水中及び水上、それに付随するエリアは本当に危険で、簡単に溺死できる(実際に水深が30センチあれば溺れる)し、たとえば海で浮力体に掴まって流されたとしても、水中では空気中の23倍の速度で体温を奪われるので72時間生存率は恐ろしく低い。
水中に沈めば10分もあれば窒息死できる状況。
そんなところでパニック状態の人間を何もなしで救助というのは無謀極まりない。
だからあえて死人に鞭打つ形になるけど、善意で飛び込んだ救護者が死んでしまってはいけない。
そこいらにあるペットボトルでもクーラーボックスでも何でもいいから浮くものを投げ込んで掴まらせるべきだったし、テントポールでもなんでも差し出して引き上げるべきだった。
結局、溺れた子供は二人とも他の人に救助され、救護に入った人間だけ他界。
(映画「海猿」のシナリオで 海で溺れた人をoffの海上保安官が助けに行って保安官が溺死するというのがあったが、見た瞬間 絶対にありえなさ過ぎて笑ってしまった。)
最悪、最低のシナリオである。
「勇気」と「無謀」は違うのである。
◆溺れないために(予防)
・遊泳禁止区域では水に入らない。
・ライフジャケット、浮環などの着用および使用
・被保護者から目を離さない。(解らないうちに禁止エリアに近づくことがあるので)
◆もしも溺れた人を見つけたら(救助)
・人を呼ぶ(「だれか」ではなく「みんな」と呼ぶ)
・「だれか」ではなく「そこの貴方」と指定して救急もしくは水上警察、海上保安庁等に連絡を取ってもらう。(同時にAEDがあれば用意してもらう)
・空のペットボトルや薪、クーラーボックスなどを要救護者の少し上流を狙ってなげる。
・釣りざお、テントの張り綱など救命索を差し伸べ掴ませる。
◆救助が成功した場合(蘇生)
・意識、心拍の確認
・心停止の場合は心臓マッサージとAEDの使用
(AEDの電極パッドは一度貼ったら剥がれないので貼り間違えた場合は電極パッド同士の間に心臓が来る位置に貼り付ける。心臓マッサージは心拍が回復しなかったとしても救急隊員が来るまで継続する)
・呼吸停止の場合は気道(呼吸)の確保。および人工呼吸の検討
(水が肺に入っているなら可能な限り吐かせる。可能な限りフェイスシールドや呼吸管により吐瀉物による感染症の予防に努める)
☆意識が回復、安定したとしても、肺に水が入った場合には症状が急変することがあるので医師の判断を仰ぐ。
・・・と、手順を書いてみたけど、
心臓マッサージと人工呼吸の手順、フェイスシールドや呼吸管の準備、AEDの所在の確認などをしていないと全然意味が無いな。。。
■川に子ども流され、助けに入った女性死亡 千葉
(朝日新聞デジタル - 07月28日 20:27)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4691446
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