2018/2/18日 15:00- さいたま芸術劇場 大ホール
『The Dream of the Swan』（新作）
演出振付：金森穣
音楽：トン・タッ・アン
衣裳：廣川玉枝（SOMA DESIGN）
美術：須長檀
出演：井関佐和子
Noism1『NINA−物質化する生け贄』
演出振付：金森穣
音楽：トン・タッ・アン
衣裳：廣川玉枝（SOMA DESIGN）
椅子：須長檀
オリジナル照明デザイン：金森穣、森島都絵
リハーサルディレクター：井関佐和子
出演：Noism1＝中川賢、池ヶ谷奏、吉��裕哉、浅海侑加、チャン・シャンユー、坂田尚也、
井本星那、鳥羽絢美*、西岡ひなの*、山田勇気（特別出演）
*＝準メンバー
日本を代表するコンテンポラリーカンパニー、Noismの公演を観に行ってきました。Noismファンの知人が名作の一つと言い切るNINA。確かに名作でした！
肌色のユニタードの女性ダンサーとスーツを着た男性陣。女性ダンサーは人形のようで、男性の支配下に置かれているように見える。そのうち一部の女性が怒り出し、最後は男性を圧倒してそのスーツを脱がせ、逆転の構図に転じて終わる・・・。
物凄く簡単にいうと、そういうストーリーでした。ラストはそう来たか！という衝撃。３分の２くらいは男性の支配下に置かれた意志を持たない（持てない？）人形振りの女性達、という感じで、途中でかなり辛くなってしまったのですが、そのときに感じた日本的ジェンダー感とかが最後で、ああそこは狙いじゃなかったのね！と分かってほっとする部分も。
あの女性の人形振り、物凄く筋肉使うし大変だと思います。いつものことながらNoismのダンサーさん達の身体能力は素晴らしく、無駄なくキレある動きを観てるだけでも面白い。
そして衣装もよかったな。今回の再演のために衣装も新調したとのことですが、女性や男性のユニタードに入っている地模様、特に赤のシーンでは、虐げられた女性の怒りを表現しているようでとっても効果的でした。また、一週間近くたった今となっては実際の音がもう思い出せないけど、音楽も凄く秀逸と感じました。
とにかく全編パワフルに踊りまくり、ステージから発散されるエネルギーに圧倒されラストに唖然とした一時間、でした。
その前にあった、井関さんのソロ。以前観たUnder the Maroon Treeの後日談なのでしょうか。あれは誰かを失ったことの悲しみを描いているように思いましたが、これはその喪失によって精神のバランスを崩した女性を描いているように見えました。白いベッドと白い衣装、白い照明。途中で舞台全体がバッと明るくなるところは、まさに白い狂気という感じ。井関さんの、自分の精神をギリギリまで削って作品に捧げるようなスタイル、こういう作品で見ると圧倒されます・・・。この作品は美術よりも音楽の方が印象的だったかも。
ハンブルク祭り最終章の直後だったこともあり、ちょっと集中できない部分もありましたが、Noismはやはり世界に誇れる日本のコンテンポラリーカンパニーだし、金森さんは世界に誇れる振付家・演出家だと思います。今年は何と、東バの上野の森バレエホリデイにNoismが参加！小ホールという緊密な空間でどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょう、しかも金森さんご自身も踊られるという。今から楽しみです！
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