mixiユーザー(id:24203909)

2017年01月28日12:38

516 view

ブックオフのセレンディピティ性の皆無

ブックオフ、2期連続で営業赤字に 書籍など販売低調の苦境
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=40&from=diary&id=4404636

毎年1月28日は「セレンディピティの日」だという。
一般社団法人日本セレンディピティ協会
「セレンディピティは、「セレンディップの三人の王子たち」を読んだホリス・ウォールポール(1717〜1797)が、1754年1月28日の手紙に綴った彼の造語です。」
http://serendipity.or.jp/
「ホリス・ウォールポールがイタリアのホーレス・マンに対し、1754年1月28日付けの手紙の中で、初めてセレンディピティ(serendipity)という言葉を使った事を記念して、毎年1月28日をセレンディピティの日とします。 」
http://serendipity.or.jp/what.html

一般社団法人日本セレンディピティ協会はセレンディピティを「セレンディピティとは、偶然見つけたある物(事)に、新たな価値を見出し、奇跡や幸せを生む能力」と定義し(http://serendipity.or.jp/what.html)、wikipediaでは「素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。」とリードで述べている(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%94%E3%83%86%E3%82%A3)。

上記の定義、特にwikipediaのリードに照らし合わせると、私にとって、「かつてのブックオフ」は「セレンディピティの宝庫」だった。「お!」「あ!」と思わせたりする商品や「これ読みたかったんだよ・欲しかったんだよ」という本にいつでも巡り会える場所だった。そうして手に入れた商品、特に本の場合は何度も大切に読んで印象に残ったものだった。買い物も楽しかったし読むこと自体も楽しかった。私は中古品は好きだ。全く読めない状態・損傷でない以上、中古品でいいもの・欲しいものがあれば自分の目でそれを見定めて中古品を買って愛用するのは楽しい。
しかし、現在のブックオフ、特に2015年下半期〜2016年全般〜2017年始にはそんな「セレンディピティ」は全くと言っていい程感じられてこない(※いくつかの「例外」もなくはなかったが)。
何せ、いつ行っても同じタイトルの本ばかりがぐるぐる堂々巡りしてるだけで商品棚に代わり映えがなく、「お!」「あ!」「これ読みたかったんだよ・欲しかったんだよ」という本が並んでるのを見ない。恐らく売りに出されてないのだろう。もっと言えば、ひたすら同じタイトルの本がブックオフの中で循環してるだけとも言えようか。
ブックオフには、今は2000年代の本はあまり見られなくなった。1990年代の本はもっと見ない。まず滅多に見ない。これらの年代の本は、もはや中古に売りに出すよりも捨てられているのだろう。2000年代には1990年代の本もザラにあったのだけどね。

ブックオフはこのところ毎週のように週末には本や衣類の割引セールを実施している。毎週毎週しつこいほど割引セールのメールがじゃんじゃん送信されてくる。実際に週末のブックオフに足を運んでも、店内に客がいないことはない。交通アクセス良好の店や駐車場の広い店にはそれなりに客がいる。
ただし、商品に「セレンディピティ性」を感じさせる「真新しさ」は(ほぼ)皆無だ。いつ行っても同じタイトルの本・グッズしか並んでない。おまけに商品の値段の上昇も著しく、「良質な古物・古書が安く買える場所・店」ではなくなった。本でも百円コーナーに流れてくるものはガクンと減り、通常コーナーに延々と滞っているのがザラだ。値札の金払って「これはぜひ読みたい・買いたい」と思う商品が殆どない。

2016年は私はブックオフより新刊本を買った割合の方が大きかった。ブックオフに足を運ばなかった訳ではないが、何度か足を運んでもセレンディピティ性がなくいつ行っても同じタイトルの本ばかりがぐるぐる堂々巡りしてるだけで代わり映えが全くない。おまけに、今までよく足を運んでた地下鉄某駅前の店が閉店してしまい、同じ区内でもロードサイド型の総合スーパー型店舗に統合されてしまった。行けなくはないのだが、立地上バスに乗り換えなければならず、地下鉄で行ける店が一つ減ってしまった。他に名古屋市内で地下鉄で行ける店はまだいくつもあるのだが、そのどの店でも「セレンディピティ性」はなく、どの店でも共通してがいつ行っても同じタイトルの本ばかりがぐるぐる堂々巡りしてるだけで代わり映えが全くない。Amazonや読書メーターでふとしたきっかけで「発見し」、「ブックオフで一度実物を見てみたい」と思っても、ブックオフにはどの店へ行っても並ばない・流れてこないことがザラだ。その一方で、新刊では書店・アニメショップ等に在庫がまだあり入手できるというオチもいくつもあった。事実上、ブックオフに行く必要はなく(→ブックオフには流れてこない)、新刊書店で立ち読みできるものは立ち読みで済ませるだけ、というのが大半を占めてた。
ブックオフで会員カードのポイントを(少しでも)貯めるために毎月足を運んでもいつ行っても同じタイトルの本ばかりで代わり映えが全然ないので、棚を見るだけで何も買わないことが多くなった。当然、ポイントは貯まらないのだけれど。同じタイトルの本ばかりが変わり映えせずに堂々巡りしてるだけにウンザリして、ブックオフで「新参者」を探して買おうと思うことに疲れたことすら覚えたのもある。新刊の発行部数が恐ろしく少ないせいなのか、ブックオフですら元から全く見ないレーベル・タイトルも少なくない。「ブックオフに行けば何でも揃ってて安く買えた」という構図が全く当てはまらないレーベル・タイトルは、元からブックオフにすら流れてこないれーべつ・タイトルも含めて徐々に増しているような気がしてならない。ブックオフからも消えてしまったレーベル・タイトルもザラになったのは珍しくない。

勿論新刊書店も苦境に立たされている。出版業界は相変わらず右肩下がりが止まらない。街の中小零細書店は閉店が相次ぎ大手大型書店の寡占化が進む。取次の存在や再販制度を中心とする出版業界の独特の商習慣が現在の物流システム・消費者の消費ニーズに合わないというのもあるだろうが、それを見直そうという機運は感じられてこない。電子書籍が隆盛だというが、某作家のブログによると、電子書籍は儲けにはならず紙の本を置き換える存在ではないそうだ。まだまだ紙の本が主流である。だがその紙の本の新刊の出版業界が右肩下がりである以上、古書市場も当然右肩下がり。ブックオフが赤字になるのも仕方のないことだろう。
私の好きな出版社・レーベルも、あるところは「ジリ貧」で一か月に一冊刊行できればまだマシ・あるところは毎月複数冊出してるものの編集部がいつも必死にツイッターで作家や販売店のツイートを大量にリツイートしまくって「販促」に奔走してる、というザマだ。Amazonや読書メーターにも感想レビューが投稿されることもなくなり、「参考になった」「ナイス」投票も大幅激減。そういう中でその出版社・レーベルの本を買おうにも、ブックオフには流れてこないので読みたい本は新刊を買ってるのだが、果たしてこの出版社のこのレーベルが今後も「生き残れるか」「いつか廃刊・廃レーベルになるのではないか」とすら思えてくる。何せこれらの出版社のレーベルも、かつてはブックオフに行けば「何でも揃ってて安く買えた」のだが、今ではいつ行っても同じタイトルの本ばかりが堂々巡りしてるだけで代わり映えがないし、いつもあるものとは違う新しいタイトルが中古市場に流れてこなくなった。代わり映えのない同じタイトルの本ばかりが堂々巡りしてる中で以前より値段上昇も顕著だ。かつてはワンコインで釣りが返ってくる値段が相場だったものに現在では新刊の7割の値段で売られているのも少なくなくなった。「そのうちこれらの出版社・レーベルの本はブックオフにすら棚から消滅」すら現実的に思うようになったくらいだ。当然、私のような(一応の)「タニマチ」読者であっても、不必要な本は無理してまで金払って買うことはない。買おうと思わない。そういう読者が一人・また一人と積み重なっていくことで、ブックオフに「投資」しなくなり、会社が赤字になるのもうなずける。

別に私はブックオフが嫌いになったわけではない。基本的に中古品を愛用するのが好きで中古品でいいもの・欲しいものがあれば自分で品定めして買って読んだりするのが楽しいのだ。でも、代わり映えのないいつ行っても同じタイトルの本ばかりが堂々巡りしてるだけで「セレンディピティ性」が全くなく、中古市場に「新参者」の本やグッズが流れてこない以上、ブックオフで金払って買い続けることがなくなる。
勿論、中古品の買取価格・販売価格も、時代の流れで「見直し」も随時あるものだが、ブックオフの従来ながらの商法がニーズとマッチしてないと思われるものも少なくない。基本的に安く買い叩かれ(買取○×%アップクーポンを使ってもたかが知れている)、新品の7割の値段で販売するのは、希少性のコレクションアイテムでごく限られたコレクターが蒐集するものでもない以上、大衆向けの古物商店では多くの一般客には心理的に「高い」と思わされる。

起死回生の特効薬は簡単には見つからないだろう。無理してまで不必要な本を疲れる思いまでして買うのも客・消費者はそんな選択はしたくないだろう。だけど多くの客もブックオフが嫌いになったわけではない。中古品においてブックオフというブランドはまだまだ一定以上の信頼・信用がある。だけど、代わり映えのないいつ行っても同じタイトルの本ばかりが堂々巡りしてるだけでは消費者もウンザリするだけ。この悪循環を断ち切り「新参者」の流入を促し「買いたい・読みたい・欲しい」と思わせ、消費者に「セレンディピティ性」を実感できるような店づくり・商品展開をするには、どうしたらよいのか。しばらくは「苦境」が続くものと思われる。客にとってもブックオフやその品揃えに対して「苦境」が続きもどかしさや苛々が募ることが予想されよう。前途は厳しい。


私がブックオフで「セレンディピティ性」を実感した本の一例(上の写真)
・「サクラ大戦2」のピアノソロ楽譜集 1998年初版発行。音楽監督田中公平監修によるドレミ楽譜出版社からの刊行。2015年秋に偶然立ち寄った店で偶然見つけて購入(税込500円)。この店はその後閉店し現存せず。

1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する