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2017年11月13日19:39

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辛いかもしれず、濃さの極みの陳麻婆豆腐

『陳麻婆豆腐 赤坂店』に入った。赤坂東急プラザの2階にある。
http://www.chenmapo.jp/smp/

赤坂という街は駐車場がバカ高い。だから仕方がないが、そのビルの駐車場も30分が500円。それでも非常にお得。30分で出られるはずもなく、1,000円の予算を見込む。『陳麻婆豆腐』で5,000円を使うと1時間の無料サービスを受けられるけれど、麻婆豆腐単体目的の1名の飲食で5,000円に届くはずもなく、やはり駐車場代は免れない。

ガラス越しに店内を見ると、レジの店員さんが電話をしているので、しばらく待った。脇に立っているおじさんが給仕だとは思わなかった。厚手の青Yシャツにヨレったズボン姿。多少金持ちのお客に見えるじゃん。

案内されて着いた席は廊下の突き当りの行き詰まり。長い廊下と、行き来する店員さんの群れを眺めながら食事することとなる。

青Yシャツがメニューを持って、わたしの正面から腕をめいいっぱいに伸ばす。そうして無言で渡す。わたしは、こういうのが大陸サービスなんだと思うことにする。隣のテーブルには二十歳前後の女の子達が2人いて、麻婆豆腐だけを分け合って、それぞれの茶碗のごはんにかけていた。麻婆豆腐の量はやはりというか、1人前には多かった。

彼女らは中国人に見える。1人は髪が水色だった。白髪にしたところから色を乗せた様子で、水色はまだらで、毛先に行くにつれ濃かった。その子が1分置きにガリガリ、ガリガリと山椒を削った。ペッパーミルから茶碗に繰り出される粉の量は、とどまるところをしらない。

わたしは、かねてから決めてあった麻婆豆腐とごはんに加え、豚足のスープ煮を注文してみた。しょうゆ味もあったけれど、たぶんしょうゆ辛いので。日本語のぎこちない若者の店員さん。真顔がやや怖い。

水色ヘアーは、中毒っぽく山椒を削り入れるのだった。手先の動作のスムーズなこと。わたしはペッパーミルという道具の使い方を知らなかったので、あとでありがたくなるのだった。

わたしの麻婆豆腐が運ばれてきた。うわっ、多いなぁ。飽きそう。体に悪そう。急いで一口含み、全身が固まる。脳に突き刺さる濃さ。辛い香辛料のせいではない。調味料の使いすぎ。塩気も強い。わたしは極端な薄味が好きな舌を呪いたかった。

麻婆豆腐の豆(ドー)は、「どうしよう」のドだと思ってみたり。わたしは、「こんなこともあろうかと」とつぶやいて、手持ちのコーヒーシュガーを取り出した。しょっぱさはこれでマシになるから。スティックのうち、半分を麻婆豆腐に入れて混ぜた。足りなくて残り全部を使った。

白濁スープの豚足が来た。白くブヨってグロテスクぅ。豚足は韓国料理屋でしか食べたことがなかった。この激熱の塊を手づかみするの? わたしは「猫手」なのでやけどを負うだろう。箸を使うの? まずは放置した。麻婆豆腐の調味に忙しいときなので。

麻婆豆腐はまだしょっぱかった。新しいコーヒーシュガーの封を切って、存分にかけた。わたしは香辛料の激辛に十分な耐性があってあまり感じないことが多いが、濃い味つけにはめっぽう弱い。しょっぱいものは食べられない。中和しないと、なんとかしないと。体に悪い濃度との戦いを凌ぐには? 残飯にならないことを願いながら、ごはんを追加注文した。

そして水色ヘアーと並びの席で、わたしは見よう見まねの山椒削り。どちらも、育ちやバカ舌を露呈してはばからない激辛好きであった。わたしは未使用の割り箸を片方落とす。ひとまず放置した。

麻婆豆腐もごはんも順調に進む。元気が出てきた。リズムさえ生まれる。しかし疲れも。青Yシャツが無言で箸を片付けてくれた。豚足の食べ方を訊いてみよう。青Yシャツは、「箸ですね」と教えると、テーブル上の箸が1本だけあるのを見て、新しいのを持ってきてくれた。無言でテーブルに置いた。

豚足はツルツル滑って逃げる。今度は豚足を落としそう。ぶよぶよに膨らみきったゼリー状の表面は、水っぽく、ちょっと臭くて、2口で十分。茶色くてゴワゴワした毛が生えているのを見つけ、怖くなってよける。次の足をかじっても、味は同じ。スープは穏やかな味つけ。水っぽいとは思う(笑)。添えられた山椒の佃煮のようなものを箸で2mm取って舐める。説明が聞き取れなかったので正体はわからない。麻婆豆腐以上に濃くてしょっぱくてギブアップ。

麻婆豆腐の味には早くから飽きていたので、山椒削りに精を出す。水色ヘアーのように1分置きの投入ではなくて、まとめて振り入れてみた。きなこ的な山盛りを作って、ざっくり合わせる。いよいよごはんの有り難みが増す。

わたしは唐辛子が好物なのであって、ビリビリ味が好きではないんだと知った。一味の辛味がほしくてたまらなかった。そっと禁断の「自前一味」を使ってしまう。たぶん怒られはしないので。

麻婆豆腐の麻(マー)は、麻痺のマ。麻婆豆腐の婆(ボー)は、ぼーっとするのボー。わたしは山椒でどろどろになった原形なき麻婆豆腐と、ごはんを平らげにかかる。

廊下には個室の入口があって、料理を運ぶのにドタバタしていた。お隣の女の子2人が席を立った。麻婆豆腐とごはんだけで終えたのだった。麻婆豆腐は1,330円(内税)、ごはんはめいめいが250円(内税)。なるほど賢いオーダーだ。1人当たり1,000円弱で名店の麻婆豆腐(だけ)を堪能するにはこの手をどうぞ。

わたしも麻婆豆腐を食べきって、席を立った。麻婆豆腐の腐(フー)は、塩分の取りすぎでフラフラのフ。運動した気分だった。レシートに成都市の住所が書かれていて興奮した。もちろん赤坂東急プラザの住所もあるが。

さて、成城石井という食料品屋が近くにあるのを知っていて、そこへ向かう。バカ高い価格で知られるお店でも、駐車場に1,000円払ったあとにつき、もう怖いものはないという思い。赤坂東急プラザは40分で出られたが、やっぱり1時間分の1,000円を請求された。

その成城石井は赤坂アークヒルズのアーク森ビルだ。赤坂東急プラザの目と鼻の先。途中で、『陳麻婆豆腐』の店員さんの1人が歩くのを見かけた。なぜなんだろう?

わたしはあとで知ることになるのだが、アーク森ビルにも、『陳麻婆豆腐』の支店があるのだった。アーク森ビルの駐車場は、成城石井で3,000円の買い物をすると1時間分無料になるし、超過しても15分で200円だから赤坂東急プラザより安い。成城石井は価格帯が強気なので、何気なく日用食料品の買い物をしても、3,000円くらいはあっという間に達成できる。

成城石井の前には、スターバックスコーヒー(の中でも高級感高めな店舗)が広がっていて、「スターバックス リザーブ(アールマーク)」という希少なコーヒー豆を飲んだり買ったりできるそう。1階フロアに撒き散らされる香りはとっても強い。

しかしわたしは隣のディーンアンドデルーカで持ち帰りのコーヒーを買い求めたんだけれど。なぜそうしたかといえば、変わった飲み物を見つけてみたくてそのお店に入り、やはり無難なエスプレッソに落ち着いたというところ。

このようにして、赤坂のマップや駐車場事情がわかったところで、麻婆豆腐の満足感も高く、コーヒーや食料品も調達でき、揚々と帰途に着いたのだった。
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