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2018年10月20日10:02

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極軸望遠鏡考

ビクセンの極軸望遠鏡がディスコンになったそうで、それに伴い極軸望遠鏡に関する考察。
http://reflexions.jp/tenref/orig/2018/10/15/6666/

 ビクセンの極軸望遠鏡の現行品は使ったことはないが、取説を見ただけで「こりゃ使いにくいだろう」と思ってしまった。北極星をサブの基準にして、周囲の暗い星で合わせるのだが、夜空が明るい場所では暗い星は見えないし、暗い場所では星が多く見えるので、どの星に合わせればいいかかなり難しそう、と思った。

 極軸望遠鏡のレチクルパターンは昔から試行錯誤されてきたが、種類としては北極星の時角を合わせるのと、北極星の周囲の星で合わせることで時角計算を不要にしているのに大別されると思う。
 時角を合わせる方法ではレチクルの向きが合っていないと合わせられないわけで、いかにしてレチクルの向き合わせるか、つまりレチクルの水平を出すかが課題だった。最初は架台の水平を出していたが、そのうちレチクルの水平さえ出せればいい事に気がついたのか、極軸望遠鏡に水準器を付け、レチクルの水平を出すようになった。
 時角計算も実際に計算したり星座早見を計算盤の代わりに使う、もしくは専用の計算盤を使ったりしていたが、極軸望遠鏡に計算盤を組み込んだり、さらにはレチクルパターンそのものに計算盤を組み込んだ物が現れ、北極星の時角で合わせるタイプはこれが決定版だと思う。

 一方、北極星をサブの基準にして周囲の星で合わせるタイプは、広い視界が必要で、そうなると倍率を上げられないので、精度が不足するのか、採用例は少なかった。このタイプのいいところは、周囲の星を使うことで時角計算が不要なこと、当然、レチクルの水平を出す必要も無い。また空が暗いところだと北極星と間違えて別の星を入れる恐れがあるが、周りの星を使うことで、間違いを防ぐことができる。反面、冒頭に書いたとおり、暗い星を基準にすることになるから、明るい場所暗い場所で合わせにくいことになる。
 ビクセンのディスコンになった極軸望遠鏡ではスマホアプリが用意されていた。暗い星が見にくい場合、このアプリを使えばレチクルの向きをどうするか見当が付く、というのだが、時角計算できるスマホアプリもあるから、スマホアプリを使うのなら時角計算できる極軸望遠鏡でいいんじゃね? と思ってしまったが。

 あと、どうしても極軸望遠鏡を目で見て合わせる、というのは誤差が入り込む余地がかなりあるように思う。極軸望遠鏡自体、極軸の軸芯に据えられているか、レチクルパターン、その向きは正確か、と考えていくとメーカが言う誤差2〜3分で据え付けられるというのは難しそうに思える。
 電子極軸望遠鏡が画期的なのは電子的に極軸の軸心を割り出すこと、周囲の星を合わせて天の北極を割り出すのだが、この際は視界は広く、精密据付段階では強拡大できるなどで誤差が入る余地が少ないことで、実際に据付精度を測定してみると、誤差30秒と言った数値が出てビックリしたものだが。

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