mixiユーザー(id:19186368)

2018年10月15日23:00

694 view

姑を思い出して涙

姑母を医療介護入院(今は医療制度が変わったので無い)させて数日後、見舞いに行ったら、泣きそうな表情で私に訴えた。

「お願いだよ。どこでもいいから、触っておくれよ。」

居宅介護なら、日に何回ものトイレ介助、着替えにマッサージ、低体温による睡眠障害、成長期の息子達より手間が掛かった。その人がベッドから動けなくなっていた。
充分に看護されているが、食事は自分で出来るので、排泄介助以外では誰も構ってくれない。
「まぁ、おかあさん、寂しいの?」
「寂しいよ!」
私は姑の頬を撫で、細くなってもう歩けない両足をマッサージした。
「誰かが触ってくれるだけでいい」と思えるほど寂しいなんて、その時まで想像できなかった。老いの寂しさを知らなかった。

この人はずっと寂しかったのだ。
寂しさは人を狂わす…何も感じなくなっていく。
本当は他人の私ではなく、息子や孫に手を握って貰ったり痛む背中を撫でて貰いたかったはず。
その後は、次男である夫の名前を忘れ、疎遠になった義兄の名前と私の名前だけを憶えていた。夫は母親に忘れられたショックで、見舞いするだけになり、私もいつ終わるか自宅から見える義母の病室を見る度、憂鬱になった。
臨終の時、義母の手を握っていたのは、私だった。
自分の身に置き換えれば、その手が自分の息子であったなら、どんなに嬉しかったろうか。

皺だらけの乾いて硬くなった肌でも、温もりを求めていると、やがて誰もが知るだろう。
かつては当たり前のように、異性や子どもを抱き温めていたのに、誰にも見返られなくなる。
そういう日々が私にも、きっと訪れる。




■診察後いつも患者をぎゅっ 島の医師「ハグしていい?」
(朝日新聞デジタル - 10月15日 16:52)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5332164


*沢山のご訪問をいただき、ありがとうございます。

姑母は生前、唯一の趣味が短歌で、言葉の表現力が豊かな人でした。
認知が危うくなり、文字も書けなくなったのを悲しんでおりましたから、こうして彼女の言葉を多くの人に読んでいただくことが出来て、感無量です。
私は良い嫁ではありませんでしたが、あの言葉を思い出す度、涙が出ます。
33 14

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年10月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   

最近の日記

もっと見る