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2018年10月21日05:04

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中世的国家サウジアラビアの「開明的」皇太子が起こした批判的記者の暗殺事件の残酷さ

 昨年2月、クアラルンプール国際空港に暗殺団を派遣し、義兄の金正男氏を殺害した北朝鮮ならず者集団の金正恩の中東版を見る思いだ。トルコで起こったサウジアラビア人記者暗殺疑惑である。

◎イスタンブールのサウジ総領事館で行方不明になったカショギ氏は
 サウジアラビア政府を批判して、2017年からアメリカに滞在している同国の著名な記者ジャマル・カショギ氏(写真=9月29日のロンドンでのセミナーで講演するカショギ氏。同氏の最後の公の姿となった、59歳)が2日、結婚に必要な書類を受け取るためにトルコ最大都市イスタンブールのサウジアラビア総領事館に入り、その後行方不明になった事件で、世界のメディアは、サウジの事実上の独裁者ムハンマド皇太子(33歳;写真=トランプ大統領と親しく会談するムハンマド皇太子)がトルコに暗殺団を派遣し、カショギ氏は暗殺されたという疑惑の報道を連日、流し続けている。
 それはかなり詳細なもので、暗殺現場に利用され、怒り心頭のトルコ政府がリークしているから、と見られていた。

◎総領事館内で待ち構えるために当日にサウジから派遣された暗殺団
 その間、サウジ政府も同国メディアも、沈黙を守っていたが、高まる国際世論の批判に抗しきれず、実に歯切れの悪い説明を20日夜、国営メディアが報じた。
 カショギ氏がサウジ総領事館に入り、死亡したことを公式に認めたが、総領事館内で尋問の途中に起きた殴り合いの争いの結果で、意図的な殺害ではなかったと主張している。
 この弁明を、西側世界は誰1人、信用しないだろう。
 すでにトルコ政府からのリークで、メディアはカショギ氏が領事館内に入った後のやりとりを館外で待っていた婚約者に同氏が装着していたアイウォッチから詳細に伝えられていたこと、行方不明になった当日2日の朝、サウジから飛来したプライベートジェット機2機に暗殺団と思しき15人が乗っていたこと(4日前の9月28日にカショギ氏は1度、書類受け取りに訪問したが、その日は門前払いされ、2日に再訪するように指示されていたから、暗殺団はそれを待っていたことになる)、その中にムハンマド皇太子の側近の警護役やサウジ内務省高官の法医学者も混じっていたこと、などが、画像などの証拠と共に流されているからだ(写真)。

◎生きながらバラバラにされて
 そうした過程で、カショギ氏が館内に入ってすぐに殴打され、薬物を投与されて眠らされ、生きながらバラバラにされたことが浮き彫りになった。なんと残酷なことだろう。しかしいかにもムスリムのやりそうな事である。
 警護役が現場の指揮者で、法医学者はカショギ氏解体を実行したのだろう。細かく切断された遺体は、その後、いずこかに投棄されたと見られる。

◎憲法も議会もない異様な中世的国家
 西側世界は、いまだに憲法も議会も持たず、国王が絶対的・専制的権力を握る中世的国家のサウジアラビアの異質さをあらためて認識した。
 しかし世界のベストスリーに入る産油国で、世界最大の石油輸出国でもあり、またイラン・イスラム専制体制と対峙し、国交こそ持たないもののイスラエルと関係の悪くないサウジアラビアを、アメリカ初めEUも支援してきた。特にトランプ大統領との親密な関係は、よく知られている。

◎開明派とみなされてきたムハンマド皇太子だが
 そして高齢の現国王から次期国王に指名され、実権を一手に握る若きムハンマド皇太子は、自国の近代化を推し進める開明派ともみなされてきた。
 しかしその一方、隣国イエメンで親イランの対フーシ派軍との内戦に軍事介入して人道的惨事を引き起こし、昨年6月以降、湾岸諸国を巻き込んでイランと親密なカタールを経済封鎖し、さらに昨年11月にはサウジ訪問中のレバノンの首相を一時拘束したり、とやりたい放題の粗暴さを見せる。
 同月にはサウジの最富裕層の王族、閣僚など約200人をホテルに軟禁し、拘束を解く条件として(つまり身代金として)政府へ巨額の支払いを強要もしている。これは、国家の富の不正蓄財を返還させる意味もあったとされているが、やり方が粗暴そのものだ。

◎西側経済界はムハンマド体制に敬遠
 カショギ氏暗殺は、今またサウジアラビアの暗殺も是とする中世的な体制を世界に示した。
 こうした民主主義に反する超法規的暴挙は、西側の経済界が嫌う。
 10月下旬にサウジで開かれる予定の投資会議に、アメリカの著名経済人は相次いで欠席表明した。既にムハンマド皇太子が推進してきたサウジアラムコ株のIPOは無期延期されているうえ、西側経済界から疎遠になると、サウジの近代化は遅れる一方だ。懸案の原油輸出に依存しない経済成長は、画餅に帰する懸念が強まる。

◎ソフトバンク・グループの10兆円ファンドに陰り
 こうした中で、サウジが過半の資金を供出するソフトバンク・グループ(SBG)の10兆円ファンドにも暗雲が漂いだしている。
 IT新興企業が同ファンドを投資を敬遠したりすれば、運用が円滑に進まなくなる。最悪、ムハンマド皇太子が失脚すれば、後継者がファンドの解散を求めるかもしれない。
 SBGは、東京市場でも9日に株価が急落し、1日の高値1万1500円から15日には一時9164円と2300円以上の下げを記録した。
 政商・孫正義氏は、この難局にどう対処するか。見物である。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201810210000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「経済制裁下の北朝鮮ならず者集団、サイバー攻撃でビットコイン窃取やマイニングで核・ミサイル開発の資金稼ぎ;米軍の北朝鮮攻撃準備整う」

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