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mixiユーザー(id:1817314)

2018年09月14日05:26

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DREAM THEATER、小説、夏空、2017

ちょうど一年前の9月11日、ドリームシアターの武道館公演に行った。
20年ぶりのコンサート、20年ぶりの武道館。どうしても行きたかった。行かなければ後悔すると思った。
ファン達とプログレッシヴ・メタルの音楽そのものが放つような、期待のもやがたちこめるそのアリーナで、生まれて初めてドリームシアターを観た。
ジョン・マイアングのベース、そしてその存在と動きだけで、もう死んでもいいなと思った。
逢えた。そしてどうしようもなく心奪う音楽。
踊り、首を振り、聴き感じ狂い泣き叫び、陶酔し、どうしていいか分からなかった3時間。
それまで数多く武道館にメタルやロックのライヴに行ったが、文句なく一番だと思う。
チケットは今もお財布の中に入れてある。




小説を書いた。70枚から170枚ぐらいのものを、3本。
20年以上書いてきて、詩とエッセイに関してはすらすら書けた。でも小説となるとからきしで、書いても何を言いたいのか分からず、不思議なことにいつも30枚ぴったりで完結してしまっていた。だから諦めていた。それが2017年の夏、突然、それまで食べたものをいきなり「戻すように」、いきなり書けた。なぜ書いたのかは分からない。書いてどうするとも考えていなかった。
「カンバセイション・イン・スペース」
「Gにつける薬」
「灰は灰に、塵は塵に」。
いずれも恋の物語だった。
文學界新人賞、すばる新人賞、文藝新人賞にそれぞれ応募した。単に、編集子でいい、他の誰かに読んで欲しいと思ったから。


草案や走り書きを、暑いベランダで書いた。
真夏は爽快だった。私は書く以外、空ばかり見ていた。1階だったから、空は首を痛めそうになりながら見上げるものだった。空を長時間あんなに見つめたのは、生まれて初めてだった。
空は毎日、すごかった。晴天でも一日として同じではなかった。あの透けるような青をどう表現していいか、私にはその筆力がない。水蒸気の淡い雲を溶かしこみながら、はるかに広がる夏の青。夏でなければあり得ないその天空。雲の動きは一時たりとも見逃せず、また書き、ばかに体が熱いと気づくと正午になっていたりして、慌てて冷房の効いた室内に逃げた。直射日光が向かいの棟によって遮られるとまた出て、書いては見上げた。


1年前、私にはその三つしか愛するものがなかった。
他に関しては考えなかった、というか感じなかった。何も。書くことと音楽と空を見上げることにかまけ続けた。あまり寝ず、食事も喉を通らず、日に1、2度台所で床に座って納豆やめかぶをずるずる食べて終いとした。だからたまにスーパーで買う総菜のローストビーフなんかは、全身が喜びわたるような美味だったけれど。そして、時間を潰し消し去るための習慣の、うまくもない酒。ただ、書くことと音楽と空が、私からかなりの時間、酒を奪った。私が酒に犯し切られずにいま生きられているのは、その三つのおかげだろう。
それ以外、愛するものがなかったのだ。綺麗に洗ったように、まったく。


今、ドリームシアターを聴いている。
ベースをやっていたからなのか、私はよくベーシストに恋をするが、ジョン・マイアング、こんなにも恋したベーシストはいない。東洋の顔立ち。アーモンド型の眼、深い瞳。腰まで届くなめらかな黒髪。自然に隆々とした筋肉。寡黙な人柄。ラフマニノフのような手指。それが紡ぎ出すせつない驚愕。
西洋的にルックスが良い、深く朗々と歌うジェイムズ・ラブリエでも、世界屈指の技巧者、美旋律の生みの親ジョン・ペトルーシでもよかったはずなのに、マイアングでなければならなかった。聴いて、見て、一目惚れだった。


今早朝4時半、空はまだ闇だが、少しグレイの色が含まれる。それでも空は愛おしい。
思えば私は、どんな空も好きだ。毎日、感動しないことはない。私はこの歳になって、3歳児になってしまったのだろうか。ちょっと歩いただけで、草木にいちいちびっくりして、好きになる。どんな草木も。昼顔、朝顔、曼殊沙華、くすんだつつじの葉、百日紅、まだ枯れ残る紫陽花、ニワゼキショウ、ヘクソカズラ、影絵の桜の枝葉、露草、箒草、芝、薔薇、梔子。すべてをいちいちその度ただ好きになる。3歳の時そうだった。それと同様に、毎日毎時間違う空をただ好きだ。


そして書く。あてもなく、ただそうしたいから。指が追っつかないほどに。なぜかは分からない。そうしなければ心と指の息ができないように。指先から私の心がしたたり落ち続け、それをとめることが出来ない。


やはり、愛するものは、変わらない。


しかしやがて空は明るみ、そこで私と、仕事で日焼けした恋人とを繋げるだろう。
今はその想いも、愛している。


2017、刻まれた夏。
そして2018、夏は過ぎ、素晴らしい秋が始まる。
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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 09:16
    大好きなものがあるって素敵なこと。私はBUCK-TICKというバンドが好きで、ライブにも行きます。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 09:41
    > mixiユーザー それっきゃ、ないですけどね。
    「なくすもんがありすぎると人もやっておれん」(『ぼくんち』)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 12:57
    サイベルさんの文章、愛があって好きです♪
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 14:01
    > mixiユーザー それっきゃ、ないですけどね(^-^;
    ちえさんだってそうでしょ(^_-)-☆彼氏さんとのラブラブっぷり、またあげてねー♡
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 19:00
    コメントする言葉が見当たらないのに、何か伝えたいです。
    サイベルさんの夏の空が、圧倒的に、ここにある感じ!素晴らしい文章ありがとうございます。
    この感動に捉えられるのが好きなんです^^*

    あと、「ぼくんち」バイブルです!
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 19:26
    > 蛹さん
    蛹さんって、かのこねえちゃんの香り、しますよとっても。
    綺麗で可愛くて深くて優しくて、哀しいねえちゃん。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 21:19
    > mixiユーザー 

    ありがとうございます、大好きな女性です、花のような。
    だから、笑う!ですね^^*

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 23:21
    > mixiユーザー 
    蛹さんは、お花だよ。
    なんだろな。
    くちなしかな。
    純白に匂う。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 23:26
    > mixiユーザー 
    ニューアルバムきますね。
    FBでインタビュー見ましたが「チューニングを2音下げてるんだ」ということ以外、何一つわからない1時間でした。
    どうして日本語でしゃべってくれないんでしょう。高校中退の私にわかるわけないじゃないですか。
    でもあの公演から一年経つんですね。早いなあ。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月14日 23:38
    > mixiユーザー 
    したいねー!ためさんはギターとアンプとエフェクター持参で。
    ペトちゃんなんですからそれは義務。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2018年09月15日 00:32
    > mixiユーザー じゃあ、新譜出たら新宿集合な。カラオケ館で。
    個人的ミッションは一曲目The Dark Eternal Night、Fasaken歌ってもらって、あとThe Dance Of Eternityフルコーラス。
    私はベースはオジー止まりなんで心だけを持参します。ピアノはある程度OKですがエロハゲにかなうわけないからそれもNG。Through Her Eyesぐらいなら弾けますが。
    一曲目の前に生ビールを許可します。
    ただしアサヒスーパードライの場合、Mr.BIGも弾かなければなりません。ビリー・シーンにもラインして呼んどいて。
    多分来るから。
    酒が進んで指がダメになったら「笑点のテーマ」に流れていいです。あのソロ、意外といいんだ。

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