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2018年09月22日04:42

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ラスタとして生きるー23 ジャー・ヒロ


 外の郵便受けを見たら、この葉書が入っていた。それは僕の親友の日本人ラスタファリアンの拘置所からの便りだった。

(前略、ヒロさんヨーコさんお元気ですか?久しぶりです。実は正月そうそう逮捕されてしまい、現在、静岡の拘置所にいます。先日、大麻所持で実刑一年の判決を受けたのですが、執行猶予中だったので、合計3年、静岡の塀の内で生活しなければなりません。改めて、日本において大麻とかかわるということが、どれだけ犠牲をともなうのかという事を実感しています。後略)
 葉書を読み、今までに大麻で逮捕された友人、知人達の顔が次々に浮かんだ。原宿トレンチタウンの13年間は大麻取締法と格闘する人々との日々でもあった。或る者は入手先を簡単に白状して直ぐ出てきたが、周りの者達から嫌われた。或る者は、80年代から有名だった大麻専門弁護士の丸井さんと共に大麻の無害性や、日本では古くから大麻吸引の習慣があったことや、現在の法律が充分な合理的根拠なしにアメリカ軍の占領下に強引に成立された異常な法律であることを訴え、裁判で戦った。当時から言われていたことだが、裁判で異議を唱えると、刑が重くなるという現実にも屈することなく戦ったラスタの戦士達。しかし現実世界では生きる上で多大な被害を受けていた。(果たして、大麻を吸うことが、それほどの罰を受けるべき<友人は「大麻事件の容疑者は殺人者並みのひどい扱いを受ける」と言っていた>ような犯罪行為なのか?)という疑問はいつも心の奥底にわだかまっていた。原宿トレンチタウンで出逢った彼等、大麻で逮捕された人々が、ただ一点、大麻を吸ったということ以外、人間としても、子供の親としても、職業人としても善良で有能な素晴らしい人々であることを知っている僕としては、どうしてもこの大麻取締法だけは(最近再び逮捕されたらしい、知人が「悪法でも、法は法として仕方がない」と言っていたが)、自分の体験から、存在すら許せない悪法と信じている。ジャマイカに行けば、誰でも気楽に吸っている、人生の愁いや鬱屈を忘れさせてくれる「神様の贈り物」として、庶民に愛用されている現実を思うと、懲役3年の刑に服すという友人が哀れで仕方がない。

 それでもレゲエの世界に長く関係してきた体験から言えば、全ての刑務所経験者達が、規則正しい生活と運動と粗食によって、精神と肉体の健康を取り戻して社会に復帰することも事実。また大麻以上の強い薬物に溺れた者は、刑務所入りが薬物から脱却する、ほとんど唯一の方法という、もう一つの事実もある。だから何も恐れることはない。特にラスタファリの信仰に生きている葉書をくれた友人にとって、自分の中の神と対峙して、信仰を深める良い体験になると信じている。恐らく聖書を読み、唄を作り、手紙を書き、瞑想しする清らかな生活をすることだろう。信仰生活に入ってからは、彼は、まるでインドのサドゥーのように、私物を持たず、ただ神への信仰を説くだけを使命として生きてきた。そんな彼の信仰の力が深く、清らかに成長して行くような気がする。僕の信条として、「苦しいほど良いこと」があり、楽しむことはそれで終わりだが、苦しみの先には新しい世界が待っている。今回の彼の運命を、僕はそのように受け止めている。 ジャー・ラスタファーライ!

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