身にとまる思ひををぎの上葉(うはば)にてこの比(ごろ)かなし夕暮の空
前大僧正慈円
題しらず
新古今和歌集 巻第三 秋歌上 352
「秋の訪れとともに身の内に留まって離れないこの物思いはまさしく荻の上葉を吹く風の音を聞くようで、この頃は悲しくてならない。夕暮の空に向かう時。」『新日本古典文学大系 11』p.115
拾玉集[慈円の家集]「左将軍女房八人に百首詠ませて披講の夜、五首会ありけるを安成に代りて」、建久六年(1195)二月。
左将軍(大将)は藤原良経。安成は藤原氏、文章博士。当時三十七歳。
参考「秋はなほ夕まぐれこそただならね荻の上風萩の下露」(和漢朗詠集「秋興」藤原義孝)。
「荻」の歌。
慈円(じえん 1155-1225)平安時代末期から鎌倉時代初期の天台宗の僧。藤原兼実の弟。
千載集初出。新古今入集九十二首(西行に次ぐ第二位)。勅撰入集二百六十九首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では僧正遍昭と番えられている。
小倉百人一首 95 「おほけなくうき世の民におほふかなわが立つ杣に墨染の袖」
http://bit.ly/WUEMmA
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