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2015年06月08日03:35

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露はらふ寝覚めは秋のむかしにて見はてぬ夢にのこるおもかげ 皇太后宮大夫俊成女

露はらふ寝覚めは秋のむかしにて見はてぬ夢にのこるおもかげ

 皇太后宮大夫俊成女
 被忘恋の心を
 新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1326

「こうして枕の露を払っている悲しい寝覚めは飽かれたこれまで通りの秋の寝覚め、そして今しがた途切れた夢の名残にくっきりと浮かぶあの方の面影よ。」『新日本古典文学大系 11』p.387

建永元年(1206)七月二十八日、院当座歌合。
本歌「夢路にも宿かす人のあらませば寝覚めに露ははらはざらまし」(後撰 恋三 読人しらず)。
露 秋の縁語の露と涙を兼ねる。
夢 艶冶な逢瀬の夢。
「露はらふ」も「のこるおもかげ」も同時であるが、片や昔のままの私、片や思う人に逢っているうれしい私で、その対照を夢うつつに噛みしめる。
「絶えたる後の恋」。

藤原俊成女(ふじわらのとしなりのむすめ 生没年未詳 1171?〜1254?)藤原俊成の孫で養女。新古今入集二十九首。勅撰入集百十六首。 http://bit.ly/XmUklr http://bit.ly/XmUeKJ

俊成女は、隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』と定家による『小倉百人一首』のどちらにも撰入されていない。何故だろう?

『新古今』では、「したもえに思ひ消えなん煙(けぶり)だに跡(あと)なき雲のはてぞかなしき」が巻第十二 恋歌二 巻頭歌で、「かよひこし宿の道芝かれがれにあとなき霜のむすぼほれつつ」が巻十四 恋歌四 巻軸歌という破格の処遇をされているのに。

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