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2017年08月29日06:25

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Old Brown Shoe

MultiTraction修理終わり帰還(今回はイタリア送りではなくICIスポーツの自社工場でのリペアだったとのこと)。
記念撮影および、靴のはなし。

■話の前提:
扁平足がひどい。土踏まず(縦のアーチ)が無いだけでなく、甲部分の横のアーチも無い。
ある時、あまりに、運動するとすぐ足指の付け根を痛めるので、整形外科に見せたら、

「疲れやすいでしょう。立ったり歩ったりするのに向かない足ですね。ハハハ。」

「いやハハハじゃないですよ。どうしろっていうんですか!」
「いい靴履きましょう。ハイカットブーツなんかおススメです。」
「これ(そのとき履いてたGTホーキン的なブーツ)じゃダメなんですか?
 あるいはあれ(そのとき東京医大病院に売りに来てたパラマウントベッド製の短靴)とか。」
「もっとしっかりしたやつじゃないと...」

それまでは「靴なんてどれも一緒だろ」くらいに思っていたのだが、この時以来、登山靴ベースのブーツ...
ちゃんと理解するのは後々のことになるのだが、「"立つ・歩く"をサポートする」性能が第一であり、その履き方・設計思想は、普通の短靴とはもちろんアウトドア指向のブーツや安全靴とも根本から異なる
...を専ら履くようになったのであった。

■KAYLAND(ケイランド) MultiTraction(マルチトラクション) 2002年導入:写真1
ある人いわく「レンジャー用ブーツ(有事の際には走ることも出来る登山靴)」。アルプス公式ガイドだか仏軍国境警備隊だかに採用実績があったとか。
ライト・マウンテニング、ヘビー・トレッキングのどちらでもない。ちょっと工夫すると、なんと単車にも乗れるという万能ブーツ。

シャンクプレートはGFRP製で、体重を乗せれば曲がる。紐通しは4種類を奢り、甲部分はD環ではなくボール滑車(滑玉?)で紐の滑りが非常に良い。アッパーも登山靴に比べれば軟らかいため、ある程度の変形が可能。何故「靴紐が紐であってベルクロテープではいけないのか(靴紐の代わりにベルクロテープなど使うのは安物だけだ)」が、この靴を見るとよく解る。
全体が、ちょうど体重でないと曲げられないくらいの硬さ。これに、A.L.S.(アンクルロックシステム)による?、くるぶし周りの「凸っぱりがアタらず凹みにも張り付く」独特のフィット感(人によるかも知れないが、初日から履きまくっても、靴ズレのクの字も無かった)が加わり、
「立つ、歩く」力をことごこく後押ししてくれる。よく出来たサポーターか、大げさに言うと「パワードスーツ」の様に。
安物の宣伝文句で「軽くて軟らかいから歩き易い!」というのをよく見るが、あれは間違いだと思い知らされる。コイツは重くて硬い、が、履いた途端、飛ぶように歩けるから。
(そもそも、歩く時は、地面を蹴った足は振り子の様に前に繰り出される。重さはあまりストレスにはならないのだ。)
常用していると筋力が衰えそう...それが唯一の欠点。

昔、倉庫だの建設現場だのの日雇いで食い繋いでいた時期、
(貧乏だったので、安物買いの銭失いを何度かした後、思い切って導入したのだった)
もしコイツと出会わなかったら、ツブれていたと思う。マジで。

■GAERNE(ガエルネ) FUGA(フーガ) 2002年(BK)および2007年(BR)導入:写真2
「足指で地面を蹴ってはいけない、ベタ足で歩きなさい」と、件の医者からアドバイスを受けている。
つま先が簡単に曲がってしまう靴はそれをサポートしてくれないし、曲がったとき甲部分を締め付けるので2重に良くない。
(だから逆に、簡単に曲がってしまう靴は甲素材に伸縮性が必要。が、ナントカ流通センターでワゴンに山積みになっているような製品の中にはそういった整合性の無いものも存在する。)
では底だけ硬ければ良いか?否である。極端に例えると、靴下に底板のみ仕込んだらうまく歩けるか、を考えれば解る。底を硬くしたなら、アッパーも靴全体のバランスを取って強化する必要があるのだ。

このFUGAは、レガシー登山靴の流れを汲みつつ、敢えてシャンクプレートやカップを最小限の大きさにし、極力レザーの構成だけで全体のバランスを取ったという意欲作。
http://www.japex.net/gaerne/fuga.html
ある別メーカーの職人さんと話したとき、ちょっとこのFUGAの話をしたら、
「シャンクプレートが無い?そんなの靴じゃない。少なくとも、ウチはそんな造り方など知らない」と、ハナで嘲う感じだったが、
実は2002年、おたくの製品、FUGAと比較のうえ却下してるんだよねオレ。
何故なら当時のその製品、Vibramソールじゃなかったから(でも結局後になって採用)。
キミらが半人前だった頃から、イタリアの職人はもう2世代先のこと考えてたんだよ...と、ちょっとタメ息が出た。

微妙な深さのブルッカー、D環+平紐という構成も、デザインと機能(アッパー部のある程度の変形を許容する)の両方を成しており秀逸。
卸したてはちょっとゴツいが、慣らすと形が変わる。
どんな靴でもそうか?否。コイツは"出来上がってから"10年以上履き続けている。内装も、ベロの裏まで全面表皮(牛革)のため、損耗は一切ナシ。アウターソールと紐以外は購入当時のままだ。
BKの方は特に、完全にオレの足の形をしており"ルーズ履き(上まで結ばない)"も可能。この5足の中で「一日中でも履いていられる感」は一番。
多分「適度に柔らかい」からなのだが、足の保護・サポート性能とそれが両立しているものは、なかなか無いと思う。

実は導入当時は、むしろ見た目フツーっぽいのを探していた(派手なMultiTractionだけでは、行ける場所が限られる)。
ライダーブーツを探していたワケじゃなく、そうなったのは結果に過ぎないのだが、結果的に、その後のバイク便時代を通じ、バイク引退した現在に至るまで愛用。
ありとあらゆるところへ、オレを連れて行ってくれた靴である。BKは特に、紐の色でキャラが変わる(赤・パステル黄など)ので適用範囲広し。

■GAERNE(ガエルネ) #145 2004年(BK)および2015年(BR)導入:写真3
FUGAと異なり、つまらないくらい、ベーシックなハイカットブーツ。FUGA同様「ライダーブーツとして、かつ歩く道具としての機能を高次元で達成する事が基本コンセプト」。
最初に買った時は既にGAERNEに信頼があったから、フィッティングせずに通販で取り寄せたのだが、卸したては想像以上にゴツく、正直FUGAより印象は良くなかった。

"ルーズ履き"は不可。少し緩めのサイズを選び、アンクルをホールドして履くことになる。
登山靴と同様の履き方だが、安全靴並のカップが入ってるのでこれは当然の仕様。
(足指関節箇所で簡単に曲がってしまう靴では、トーカップのエッジが甲にアタッて怪我をする。残念ながら安物の安全靴やライディングブーツにはそういった製品も存在する。
カップを入れたなら、ソールは硬くしなければならない。するとアンクルホールドは必須。でなければ、歩いたとき靴が脱げてしまうだろう。)

履き慣らしていくと、別ピースのアンクル部に柔軟性が出てくる。ここからが本領発揮。
"パワードスーツ"MultiTractionを履いた時の軽い高揚感は無いし、FUGAの独特のフィット感とも違うが、
案外、一番何も意識しないというか、力を抜いてというか、安心して歩けるのはコイツである気がしている。ベーシックのベーシックたる所以であろう。
「装甲で守られつつ、アンクル以外は締め付けが無く、足指には開放感さえある」感じ。

都会に適応した鳩じゃないけど、思うに、街ナカって、路面コンディションは決してオンロードじゃなくむしろ岩山なんじゃないかな。
チャリダーのひとは解ってくれるかな。昔のチューブラータイヤのレーサータイプは後のMTBブームで絶滅した、けど、あれは必然であって(多少、段差にぶつけたくらいでリムが傷むようでは使い物にならない)。

街中で似たブーツを見かけることは多いが、
FUGA同様に裏まで全面表皮(牛革:ただしコイツはベロの裏のみバックスキン)のこの靴とは、
それらは「似て非なるモノ」だ。


黒系・茶系を日替わりで、それぞれ正副2足(ソール交換等修理時のバックアップ)という運用体制。
(今はさすがに、KAYLANDは平日の出番はほとんど無い)

全足、SIDAS Conformable Multi+(熱成型インナー)入り。件の整形外科で言われた話をしたところ、ICIスポーツの店員が勧めてくれ、それ以来オレの中では標準装備。

ソックスはPAINE(パイネ)「ダグロンウールパイル」を使用。これも、素人さんたちが知らない、よい靴を履くための不可欠なアンダーウェア。肌触りをよくする以外に、隙間から湿気を外に出す重要な機能がある。
(薄手のナイロンやコットンの靴下にはその機能が無いのでNG)

男の子でヨカッタですホントに。ヒールとか履かないし、靴ズレには無縁だし(そもそも新しいの買わないし)。
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