学校の体育館。
僕は体操着の生徒達に混じり、舞台を凝視していた。
欅坂46の代表曲「サイレントマジョリティー」のパフォーマンス！
しかし、センターは振り付けのミスを連発した――
コンサートへ出発する頃には忘れかけていた、縁起でもない夢の記憶が、最悪の現実に呼び起される。
センター・平手友梨奈が体調不良のため欠席。
熱心なファンであれば、最近の彼女に休養が必要であることは理解できる。しかし、なぜそれが名古屋で、今日なのか……
落胆のなか、mixiの1件の投稿が目に留まる。
「てちが不在で一番不安なのは他のメンバー」
「いつものように。いや、いつも以上の声援を彼女達に送ってあげてほしい」
僕は「(- -)ゝ」とだけ打ち込み返信した。
オープニングはサイリウム禁止。
曲名通り「エキセントリック」な激しいパフォーマンスが、舞台映像・重低音と一つになり胸を打つ。
大きく、キレのある動き。
ダンスを引っ張るのは鈴本美愉、齋藤冬優花か。
アリーナBブロック。全国握手会のミニライブに比べれば かなり近い。思わず、目が潤んだ。
「月曜日の朝、スカートを切られた」
平手のセリフが無かった。
誰かがヒーロー（ヒロイン）になり替わる鮮烈なサプライズは、マンガのようには望めないのか。
それでも、メンバー1人ひとりが自分に出来ること、やるべきことを精一杯こなしているのは痛いほど伝わってきた。
シリアスナンバーを経て、MCで和み、長濱ねるのソロ曲「100年待てば」の歌声が風船のゴンドラから客席に降りそそぐ。
正面スクリーン、アップの笑顔が眩しすぎる。
演劇仕立ての「バレエと少年」では、主役・原田葵にバレエの経験が見て取れる。
平手の穴を埋めるように他のメンバーが個性を発揮し、さらに、ひらがなけやき［注］が存在感を示す。
「ナゴヤ、跳べ―！」
佐々木久美が声を張りあげ、観客を煽る。
「誰よりも高く跳べ！」
メンバーの歌に合わせ、わずかな地を蹴り、皆で跳ぶ。
ダンスのリズムに合わせ、緑のサイリウムが揺れおどる。
絶好のライブナンバーに続いて、本日初のシングル「世界には愛しかない」。
ポエトリーリーディングが印象的な欅流サマーソング。
小林由依が今泉佑唯（休業中）パートを受け持ち、長濱は少し ぎこちないながらも平手パートをこなして持ちセリフへと繋げた。
エース不在のステージを皆で支え合う。
そして、コンサートを見事に仕切ったのは、キャプテン・菅井友香。
締めの挨拶で、最後まで涙をこらえ、平手の想いを代弁し、今後の決意とファンへの謝意をしっかり伝えた。
「皆さんの声援が温かい」、そう何度も繰り返して。
『その日ステージに上がった時の声援は
いつもより大きく感じて、
まるで「大丈夫だよ」って言ってくださっているみたいで
私たちの背中を押してくださいました』
（8月18日付 菅井友香 公式ブログより）
翌朝、職場で笑われる程、声を枯らした甲斐があったと思う。
（文中敬称略）
［注］けやき坂46（ひらがなけやき）は、2015年11月に欅坂46（漢字欅）へ3ヶ月遅れで合流した長濱が中心となり結成された派生グループ
〜セットリスト〜
影ナレ
志田、鈴本
Overture
�� エキセントリック
〜パフォーマンス(エキセントリック)
�� 月曜日の朝、スカートを切られた
〜パフォーマンス
�� 東京タワーはどこから見える？
ダンストラック
�� 語るなら未来を…
MC�� (欅坂46)
�� 永遠の白線
�� 100年待てば
MC�� (けやき坂46)
�� AM1:27
�� バレエと少年
�� 少女には戻れない
�� ここにない足跡
�� 猫の名前
VTR
�� 君をもう探さない
�� 誰よりも高く跳べ！
�� 世界には愛しかない
�� 危なっかしい計画
�� 太陽は見上げる人を選ばない
【アンコール】
MC��
�� 二人セゾン
MC��
�� W-KEYAKIZAKAの詩
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