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2014年11月27日22:29

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第5回音楽大学オーケストラ・フェスティバル 上野学園大学/武蔵野音楽大学/洗足学園音楽大学

(2014年11月24日月・祝 15時 ミューザ川崎シンフォニーホール)

「音楽大学オーケストラ・フェスティバル」の2回目。プログラムは以下の通り。
下野竜也指揮、上野学園大学管弦楽団によるウェーベルン「管弦楽のための5つの小品」とモーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」。
時任康文指揮、武蔵野音楽大学管弦楽団による、バルトーク「管弦楽のための協奏曲」。
秋山和慶指揮、洗足学園音楽大学管弦楽団によるレスピーギ:交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」。

このほかに各大学の演奏前に共演大学からエールを込めた新作のファンファーレの披露もあるので、長時間に及ぶてんこ盛りのコンサートと言える。休憩が2回あった。

下野竜也らしい選曲のウェーベルンは5つの断片からなる5分ほどの曲。ヴァイオリン、ギター、マンドリン、チェレスタ、ハープ、チェロ、コントラバス、打楽器などごく限られた楽器による硬質の音が一瞬の間をもって飛び交う。演奏の良し悪しを言うのが難しいが、下野竜也の指揮は力が抜けた自然なもので、硬質のダイヤモンドのような響きを奏者から引き出していた。
続くモーツァルトのハフナー交響曲は、先日スダーン指揮の桐朋オーケストラで聴いたばかりで比較がしやすいが、両者とも速いテンポの颯爽とした最近のモーツァルト演奏の流れにのっとったものとなっている点が面白かった。第4楽章のティンパニを轟かせる行き方もまったく同じ。ただスダーンは全体に切込みが鋭く劇的だったが、下野竜也はもっと軽やかに舞うような表現という違いはある。

武蔵野音楽大学管弦楽団は16型のフル・オーケストラの偉容で、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの副首席に大学の教授または講師と思しき奏者が加わっていた。後ろの座席から「ルール違反だわね」という会話が聞こえてきたが、それだけ武蔵野音楽大学のこのコンサートにかける意気込みも感じられ、事実集中して取り組む真摯な演奏は力がこもっていた。特に素晴らしかったのは、管弦楽のための協奏曲というタイトル通り各管楽器奏者のソロや重奏で、第2楽章「対の遊び」ではファゴット、クラリネット、フルートの二重奏や三重奏が見事に決まっていた。また第3楽章「悲歌」でのヴァイオリン群の主題に応答するトランペットの緊張感ある響きがなかなかのもので、思わず吹いている女性のトランペット奏者に注目した。第5楽章のトランペットソロも同じように良い出来だった。
全体的に競技会での模範演技のようなミスの少ないまとまりの良い演奏で、思い切った冒険や主張がもう少しあってもいいのではないかとも感じた。しかし、バルトークをこれだけ聴かせてもらえれば、これは過ぎた要求だろう。

最後に出演した秋山和慶指揮、洗足学園音楽大学管弦楽団によるレスピーギ:交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」も16型のフル・オーケストラ。コントラバスは9台あった。
こちらはヴァイオリン群のアンサンブルの乱れなど多少の傷はあるものの、作品自体が持つ音楽の勢いや生命力と、学生たちの力いっぱいの演奏が相乗効果をあげ、また何よりも指揮の秋山和慶の統率力とカリスマ性が発揮され、安易に使いたくないが「感動的」な演奏になった。秋山和慶はあの穏やかな表情から想像もつかないほど、激烈なものを音楽に込める。それが学生たちを鼓舞し、彼らの能力を最大限引き出すものになる。
「ローマの松」終曲の「アッピア街道の松」での全オーケストラの集中は、コンサートでしか体験できないものであり、学生たちが自分たちの壁を突き破った瞬間でもあった。演奏後何人かの学生は泣いていた。

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