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2008年11月01日19:16

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稠密

一般に密集している様、ぎっしり詰まっている様を表す語。数学における用語としては、主に次の二つの文脈で用いられる。
・位相構造における稠密:位相空間 S の部分集合 T が、S において稠密であること
・順序構造における稠密:全順序集合 S が稠密であること
順序集合には標準的な位相構造(順序位相)が付加できるので、上記の二つの文脈は全く関連がないというわけではない。

位相構造を持つ集合(すなわち位相空間)S の部分集合 T が、S において稠密であるとは、T の閉包が S となることをいう。
これは S が距離空間の場合は、S の任意の元 x に対し、T の元の列で x に収束するものが取れることと同値である。
反対に T の補集合 S - T が S において稠密である場合、T は S において疎(nowhere dense)であるという。
また、位相空間は、稠密で高々可算な部分集合を持つとき、可分(separable)であるといわれる。
例えば、実数全体の成す集合 R で通常の位相構造を考えた場合、有理数全体の成す集合 Q は R において稠密である。
さらに、Q は可算集合であるので、R は可分である。対して、整数全体の成す集合 Z は R において疎である。

二個以上元を持つ全順序集合 S の部分集合 T が、S の順序 ≦ に関して稠密であるとは、
x < y を満たす任意の x,y ∈ S に対して、x < m < y となる m ∈ T が存在することをいう。
このとき、S の順序位相に関して T は稠密である。
ただし、一般に逆は成り立たず、S の順序位相に関して T が稠密であったとしても、T は順序 ≦ に関して稠密であるとは限らない。
例えば S が有限集合の場合、その順序は離散位相を定めるが、
S 自身はその位相に関して稠密であるのに対し、順序に関しては稠密ではない。

S が S 自身において稠密であるとき、すなわち x < y を満たす任意の x,y ∈ S に対して、
x < m < y となる m ∈ S が存在するとき、S は稠密集合、または単に稠密であるという。
このとき、S の部分集合 T が順序に関して稠密であることと順序位相に関して稠密であることは同値である。
例えば、有理数全体の成す(加算)集合 Q、実数全体の成す(非加算)集合 R は(通常の大小関係を順序として)ともに稠密である。
これは、二つの実数 x,y (x ≠ y) が与えられたとき、実数 m = (x+y)/2 を考えれば、x < y であるか x > y であるかに関わらず、
m は x と y の間にあり x,y がともに有理数なら m も有理数となることから言える。
これらに対して、整数全体の成す(加算)集合 Z は稠密ではない。
※ 稠密は可算・非可算とは別の概念。

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%A0%E5%AF%86
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Dense_set

稠密性については、(アルキメデスの性質「任意の正数 a,b(a < b)に対して、na > b となる自然数 n が存在する」を用いるなどして)
以下の性質を挙げることができる。

(1) 任意の実数 X に対して、n-1 ≦ X < n となる整数 n が存在する。
X=0 ならば、n=1 。
X>0 ならば、Archimedesの原理より、X < m・1 = m となる自然数 m が存在する。
このような m のうちで最小値を n とすればよい。
X<0 ならば、m-1 ≦ -X < m となる自然数 m が存在するので、-m < X ≦ -m + 1 となる。
そこで、n = -m または n = -m + 1 とおけばよい。

(2) 有理数の任意の開区間は、必ず有理数を含む(有理数の稠密性)。
有理数 a,b(a < b)に対し、(a+b)/2 は有理数なので、a < (a+b)/2 <b となる有理数が存在する。

(3) 実数の任意の開区間は、必ず有理数を含む((2)を実数の場合に拡張したもの)。
実数の任意の開区間として、a < X < b とする。
Archimedesの原理より、m(b-a) > 1 となる自然数 m が存在する。
このとき、(1)により、n-1 ≦ ma < n となる自然数 n が存在する。
よって、a < n/m ≦ a + 1/m < b が成り立ち、有理数 n/m が存在する。

(4) 実数の任意の開区間は、必ず無理数を含む。
実数の任意の開区間として、a < X < b とし、X はすべて有理数と仮定する。
(3)から、a<p<q<b となる有理数 p,q が存在する。よって、r = q-p も有理数である。
任意の無理数 M に対して、(1)から、n-1 ≦ (M-p)/r < n となる整数 n が存在する。
このとき、p ≦ M - r(n-1) < p+r = q より、M - r(n-1) 即ち M が有理数となり、これは矛盾する。
よって、必ず無理数を含む。

ttp://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/archimedes/archimedes.htm

参照(語彙):
閉包
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Closure_(mathematics)

ttp://en.wikipedia.org/wiki/Nowhere_dense_set
可分
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Separable_space
アルキメデスの性質
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%80%A7%E8%B3%AA
ttps://en.wikipedia.org/wiki/Archimedean_property

参照(未来の日記):
開かつ閉集合
ttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1753202842&owner_id=14882521
ススリンの問題
ttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1859098452&owner_id=14882521
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