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2018年08月30日12:45

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『未来のミライ』異議申し立て ※ネタバレ注意

何か引っかかると思っていた『未来のミライ』。ちょっと思いついたので書いておこうと思う。
以下、ネタバレ注意で。

中学生ミライちゃんが未来からやって来る理由。
それは、お父さんが片付け忘れたお雛様をさっさと片付けるため。
そうしないと言い伝えのように自分のお嫁入りが遅れるから。
迷信だとか、そういうことはこの際関係ない。
ミライちゃんを、恋に恋して、好きな人のお嫁さんになることを夢見るお年頃に設定しているのが用意周到なところだけれど、それでは済まないと思うのだ。今現在の映画として。
女の子が婚期を逃さずにお嫁にいくことが大事なのだもの、この映画では。
でも、違うと思うの。
今(映画内現実)よりももっと未来からやって来たミライちゃんは、自分が素早くお嫁にいくためにお雛様を片付けるのでなく、娘がお嫁にいけるようにお雛様を片付けようとする両親に、「みんな、古いなあ。アタシの人生、勝手に決めないでよ!」と異議申し立てをして、お片付けの邪魔をして回るくらいであって欲しいのだ。
なにしろ今は、結婚情報誌ですら「結婚しなくても幸せに暮らせる時代」を謳っているくらいなのだから。

違和感は若き日の、ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんの結婚秘話にもあって。
戦争の負傷から走ることが出来ないひいおじいちゃんはひいおばあちゃんに駆けっこを申し出て、買ったら俺と結婚してくれと言う。ひいおじいちゃんの心に打たれたひいおばあちゃんは…というこの話、とても素敵なエピソードなのだけれど、そしてもしかしたら実話ベースなのかもしれないけれど、これ、煎じつめて言えば、結局、女は勝った者のものになるという、つまり女は戦利品扱いなのね。そんな意識があろうと無かろうと。
ここも、ひいおばあちゃんには是非、わざと負けたりしないで、逆に「あたしが勝ったらあたしと結婚しな」くらい言って欲しいのね。
作中はそんな時代でないとしても、作るのも見るのも「今」なのだから。

結局、細田さんはこの『未来のミライ』で、実は古い価値観の持ち主であるということを露呈してしまったのじゃないかと思う。
動員に比しての評価の低さは、今まで細田監督という人は、女子高生のせつない恋を描いたり(『時をかける少女』)、ゲームを取り入れたり(『サマーウォーズ』)、武闘会をしたり(『バケモノの子』)、シングルマザーに肯定的だったり(『おおかみこどもの雨と雪』)と若者の理解者風だったけれど、実は全然自分たちの側の人じゃないということが分かっちゃったのじゃないの。
これ、杞憂だったり読み違えであればむしろ幸いなのだけれど。どうかしら。
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