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2017年12月07日04:05

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判決全文から少し突っ込んで観てみる。

この日記前に、取り急ぎざっくりと記したけども、
追って判決全文を読み込んでみたので、その上でもう少し突っ込んでみますかね。

先ず、あらゆる反応を眺めてみて好ましくない傾向に行ってるなと思うことは、
この裁判事案の主旨や内容について、殆どが誤解釈されていて、
そこから変な方に向いてる・・ってのがありますな。
もっとも、その原因はこの結果を受けての報じ方にあり、
その点で読み手に非があるとは決して言えないのも事実だな、とは思う所。

何と言ってもこの事案。高裁では一応外形的に勝訴の格好にあったNHKは、
その内容を不服として尚も控訴し、対するこの個人の側も控訴してたってこと。

その上で。既に指摘している向きが幾つもあるように、この度の最高裁判決では
『両者共に訴えを棄却されている』という点。
書くまでもないけども、判決主文が以下。

〜主文〜
【本件各上告を棄却する。各上告費用は各上告人の負担とする。】

つまり両者共に「敗訴」、あるいは「イーブン」という結果。
なのに、何だかNHKが勝訴したかのような報じられ方になっている・・ってことで。
それ即ち、当事案の最大注目点は、NHKが主張する論旨における最大の
法的関門とされる「「契約の自由」に対する最高裁の判断や如何に・・ってことにあり、
どうしてもそのことに特化された格好で関心事になっていたからでもあると。

一方この事案に特化すると、この個人の側は先ず以って
「既に受信契約をしている人」であり、ある時から放送内容に対する不満等を
理由にして、支払いを拒否していたという背景要件があるということ。

そして最高裁裁定としては、受信契約をしていない人への扱い方等については
特段踏み込んだ言及や、伴う実際の徴収手段を提示したり、その者に対しては
こうあるべき・・といったような広い言及にまでは至ってない・・ってこと。
これは当然の話で、基本的に裁判はあくまで訴えの内容について忠実に、
且つ純粋にその枠内でのみしか考慮されないものなので。

という前提を踏まえた上で・・。

判決から考えられる解釈として先ず一般的に浮上するのは、
「既に受信契約をしている人の、今後の処遇はどう考えればいいのか」と、
「未契約者はこれで強制的に払わねばならなくなるのか」という疑問。

この辺はかねてよりずっと話題や議論の的になって来たものだけど、
結論から言えば『これまでと殆ど変わらない』ということでしょうね。
つまり、論理上「契約済みの人はどうあれ払わなきゃならない」し、
「未契約者は払わなくても済む」ってこと。

というと多少の語弊も生ずるかもしれないので少し精度を上げるとすれば・・
契約済みの人が今後、何らかの理由を基に支払いたくないとすれば、
先ずはテレビ受信機を“放棄”することですかね。俗に言う
「テレビ観るのをやめた」・・という処置を取ること。
そしてNHKに対しその旨申告すれば、原則としてNHKは契約解除せざるを得ないので。
その申告が受領されたことを確認した上で、後の何処かで必要ならまたテレビを持つ。

その時は基本原則として再度また受信契約を求められることにはなるが、
今度は頑なに拒否すればいいってことですね。その際NHKが受信契約義務のことを
面前に出して来た時に「では司法に判断を委ねて下さい」して、
先ずお引き取り願えばいい、と。因みにもしそれ以上集金員が粘ったら躊躇うことなく
110番通報していいわけですね。

つまり、NHKはここまで放送法上の解釈として、
「受信契約の義務=受信料の強制的徴収が可能」だとする論旨と共に、
「通知から二週間経過しても支払いの意思がない場合、契約者の承諾がなくても
NHK側の一方的な徴収が可能だ」・・とのものがあったが、
それは全面的に認められないとし、あくまでも最終判断は司法が認めて
初めて徴収が可能になる、とされたわけで。よって、集金員が強引に
徴収を迫るような行為は、今後益々不可能になったということなりますな。

で、その流れの通りで行けば“基本線としては”、NHKが裁判に訴え出ると
十中八九契約を命じられることにはなるだろうが、重要なことは、
この度の裁判の中にあるもう一つの焦点・・『時効の解釈』というのが
ここで活きて来ると。

テレビを持った時点が受信契約の基点だ・・として来たNHKの主張・・。
採決上でも論理的にそう解釈されることにはなろうものの、
テレビを持った(設置した)ことが客観的に確認出来る明確な機会や条件は、
B-CASの番号を何らかの形でNHKが把握出来た時点・・というのが
実際考えられる要件となるはず。

また今回の判決でも「受信可能な状態であることを確認出来た時点」が
時効の基点である・・との判断がされていることからして、
記事にあるように“論理的には50年でも遡ることが出来る”としても、
実際は「何年何月何日から設置した」とするためのものはB-CASぐらいしかない・・
即ち「地デジ放送開始」以降しか実質的に機能しない、と。

結果としては「テレビが自宅にあって、尚且つ受信出来る状態にあることを、
NHKが確認されることが条件である」・・ということですな。

よって、契約を法的に求められた時に、例えばテレビを持った時期がその時点より
数年前だったとしても、遡ってNHKがそれを確認することが無理だった場合・・
というか、実際は「自己申告」に委ねられる他ないわけでもあるので、
結果的に司法によって命ぜられた時点から受信料の支払い義務が生ずることになると。
なので、それ以前に未納だったとする時期はカウントしようがないため、
申し込み契約の項目にある「受信機設置の時期」の欄を『不明』にすれば鉄板・・
ってことになると。

あるいは、その再度の契約を前にしても尚払いたくなければ、
司法からの命令が来た時点・・というよりは提訴する旨の通告が来た時点で
再び「テレビを放棄」すれば、たとえ裁判所からの命令が出たとしてもその時点では
受信機がない状態なので「支払い義務が消滅した」ことになるわけですね。

「放棄」というのはどういう格好でもいいでしょう。廃棄するでもいいし、
誰かに譲渡したり売ったりしてもいい。あるいは知り合いの誰かに
一旦預かってもらっててもいいと。
面倒だけども、裁定通り素直に読む限りはそうすることが十分可能ってことでしょう。

他方「未契約者のままで来た人」の場合。
こちらの場合も基本線としては今まで通り契約を拒否すればいい、と。
で、契約済みの人の場合と同じように、もし司法からの催促が来ることを確認すれば
同様の手段を取ればいいわけですね。なので、どちらの場合も外形的には
これまでと殆ど変わらない、ってことになりましょう。

でもって、どちらの場合にも直面することが理論上考えられる「司法からの催促」。
実際問題、よく挙げられる数字としての「未契約者数がおよそ900万世帯」
というものに対し、では900万全部・・とまでいかなくとも、その半分程度の
450万件でもいいから提訴する・・なんてことは不可能でしょう。

一方で、現在までNHKが司法の場に持っていった件数はおよそ100件程度・・
と言われてるが、その数字だけ単純に見ても、今後もし今まで以上に提訴へ
加速するとしても、せいぜい2倍もいけば手一杯・・いやそこまでも
出来ないだろうことは、なんたって訴訟費用自体が莫大になる事考えれば
答えは自ずと出たようなもの。

なのでもし今後積極的に出るとしても、せいぜいが企業や経営店舗、団体などの
「取れる」所に特化して・・ってことになるだろうなと。
あるいはその際の世間の空気や反応を観つつ、個人へランダムに的を定め提訴しては
また反応と徴収の割合とを眺め効果を観る・・ってことでしょう。

そんなこんなで、実質上懸念が生じる我々一般の契約や支払い場面については、
今までと変わらない状態が続く・・と解釈していいでしょうな。
ただ支払わないとする場合に注意しなきゃいけないのは、
上記のように何らかの形で「B-CAS」の番号をNHK側に通知しないこと、ですかね。

あるいは、ケーブルテレビ等での契約をされてる人は、そのリストが
NHK側に照会されてしまうことが事実上明らかになってるため、
受信契約の基点・・即ち受信可能な状態が客観的に示されるものとして
解釈・採用されることは考えられるので、CS等を契約していて、
尚且つNHKと未契約にある人は今後益々要警戒しておかねばならなくなった・・
ってことは言えるでしょうね。

それはそうと・・。

本訴訟の個人の側にあるように、この件の反応多くに「NHKの姿勢」や
「放送内容についての不満」等々を絡めて論ぜられてる傾向があるけども・・。

しかしそれはそれで「別次元の話」であって、ここはやはり司法判決にもあるように、
放送の概念や伴うNHKの役割としての前提論からすれば、その不満や実情を理由にして
支払わないことを正当化するには、論理的にあまりに苦しい言い訳になるでしょうね。
つまり「混ぜこぜ」の論理構成になってしまい、支払わないための理由付けとしては
かえって不利を簡単に招いてしまう、と。とりわけ既に契約済みで支払いをしていた
履歴のある人が、ある時を境にそれを拒否する場合は尚更。

そんな遠回りなことをするよりも、この度の最高裁裁定を素直に読み込んだ上で、
契約と支払いの建付け、また「契約の基点」という裁定要件を取り込んだ対応を
淡々と行う方が遥かに合理的・・ってことになりましょうねぇ。

ともあれ、『合憲判断』が今後どのような裾野への広がり方をするか・・
こちらの動向に関心を持ちつつ、良からぬ方へ拡大解釈するかのような動きが
見えた時にはすかさず批判する・・という論陣を世論にてどう構築するか、
ってことが重要になると思うし、それはつまり「NHKがこの採決をどう巧みに
“悪用するか”」について目を光らせておくべきだ、ということになると。

当然、それを担保するのは他でもない「政治」なので、
予算承認や事業報告にあたる国会内での、各政治家らの動向こそが鍵になる・・
だからこそ、益々日常の政治をちゃんと監視することが我々には求められるし、
間違ってもそこに「偏向だから」だの「つまらない番組ばかりだから」だの、
「観たい番組がない」だのという薄っぺらい論理は、放送法や憲法上の建付けからして、
少なくとも現行上契約を拒否する理由には程遠い・・ということを
踏まえておかねばならんでしょう。

■「理不尽な判決」=受信料徴収強化を懸念−男性側弁護団
(時事通信社 - 12月06日 19:30)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=4892218
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