たっちゃんという男（前編）

記念すべきGod 最後の新人。

それが、たっちゃん。

俺と同い年で、ガチのホームレス。

まずは個別に歩が飛んで結愛と和が飛んで２人は捕獲したけど和がまた飛んで瑠離子が飛んでアイジが飛んで、その後樹璃を筆頭に結愛と銀とＡＬＥと庵が集団飛び。

合計９人も飛んだ伝説の事件。

これを経験した経営者の俺は、もう怖いもんなんかあらへん。

その時に店長の紅亜以外で唯一残ったのが、このたっちゃん。

まぁ残ったというか行く場所がなかっただけなんやけどな。

たっちゃんが面接に来た時は、とにかく衝撃やった。

それまでネタでホームレスっぽいって言われてた奴はたくさんおったけど、見るからにガチの奴が来たからな。

公衆トイレは、雨風をしのげる最高の寝床だと誇らしげに語ってたわ。

紅亜筆頭にみんなが雇うのを反対してたんやけど、またもや面白そうやからって理由で俺が雇ってん。

結果的に集団飛び直後の店長以外で唯一残った奴で、雑務とか雑務とか雑務とかでいろいろ使えたわ。

俺は全てを見抜いていて、この為に雇ってん。

嘘やけど。

たっちゃんに前職について聞いたら





たっちゃん「万引きして逮捕されてました。」





って言われてん。

いや、それ前職？

とにかく会話が出来ひんねん。

将来の夢を聞いたら





たっちゃん「ホークリフトの仕事がしたいです。」





って言われてん。

あぁ、フォークリフトね。

その仕事をバカにするわけじゃないけど、別に将来の夢にせんでも。

それを聞いた紅亜が





紅亜「じゃあなんでお前は今ここにおるねん！嘘でもいいからホストで売れたいとか言えよ！」





と怒られて

再び将来の夢を聞いたら





たっちゃん「ホークリフトの仕事がしたいです。」





って答えて

紅亜にどつかれてたわ。

数日後。

たっちゃんが仕事中に逃亡して、外で隠れてサボっててん。

それが見付かって紅亜にブチギレられてん。

店に戻ってもただカウンターに立ってるだけで、全く働かへんねん。

再び紅亜に怒られてん。

そして俺の席にヘルプにつけたんやけど、もちろん全く喋らへんねん。

俺の客が気を使って、なんか飲んでいいよってたっちゃんに言ってん。

こんな奴に高いお金を払って飲ます価値ないのに、神様みたいな客やねん。

するとたっちゃんは





たっちゃん「いらないです。」





断りよってん。

当然ブチギレた紅亜にどつき回されて、「お前はさっきから何がしたいねん！」って言われてん。

すると










たっちゃん「ホークリフトの仕事がしたいです。」





って答えてん。

いや、もういいよ。

フォークリフトの仕事、勝手にしたら？