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2018年10月24日01:25

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振れ取り台とリムセンターゲージ

■振れ取り台とリムセンターゲージ

手組みのホイールを作ったり、完組みホイールの振れ取りの作業をするには、振れ取り台、ホイールセンターゲージ、ニップル回しなどが必要です。完組みホイールが主流なので、フレ取り作業をするには、ニップル回しはホイールのニップルの形状に合わせて用意しておく必要があります。

マヴィックなどアルミの一種のジクラル製の太いスポークを使っていたモデルや、カーボン製の中空スポークを使っていたコンプレッションモデルもあるので、花形の専用ニップル回しの必要なホイールがあります。その他もハブやスポークやニップルやニップルのアイレット(ニップルを止める穴の金具)の構造がオリジナルで、専用ニップル回しやアイレット回しが必要なモデルもあります。

カンパニョーロの旧モデルはニップルがリム内に内蔵されたモデルと、現行モデルはニップルが外に出ているので、ニップル回しは6角穴の差し込み式と、四角いスリットの2種類必要です。コリマとジップのエアロ系のカーボンリムの場合はニップルが内蔵されますから、四角い穴の差し込むタイプのニップル回しが必要で、タイヤを外して振れ取り作業を行います。

四角い断面のアルミニップルも、真鍮製のニップルも角をなめやすいので、ぴったり合うニップル回しを用意する必要があります。パークツールの各サイズのニップル回しやアジャスタブルのニップル回し、カンパニョーロのニップル回し、ホーザンのニップル回し、東畑のニップル回し、VARのニップル回しを用意して、公差のあるニップルの角に合わせて選んで作業しています。

パークツールのアジャスタブルのニップル回しは、1個1個アジャスターを回してニップルの角をなめないように作業したいときに使っていますが、いちいちアジャスターを動かすので作業に時間がかかってしまいます。とにかくカタカタしないニップル回しで作業しないと、ニップルが変形しやすいので後で苦労することになります。 

僕が初めて手に入れた振れ取り台は東畑の鋳造製の重いモデルでした。高校2年の時に廃業したホイール組み屋さんで千円で手に入れたものです。700Cも27インチも、20インチも16インチも組める構造でした。丈夫そうですけど精度はどうだったのかな。ホイールセンターゲージはフランスのVARを手に入れました。

その振れ取り台で自分のランドナーのホイールも、ロードバイクのホイールも組んでいました。当時使ったリムは、マヴィックの650B、スーパーチャンピオンの650B、マヴィックのGEL280、GL330、GP−4、SSCパリールーベ、カンパニョーロのビクトリー、レコードなどの台形断面のパイプリムでした。

アラヤのADX-1、ADX-3、カーボンリムなども使いましたが、軽くて踏み出しは軽いけど、急加速や立ち上がり加速で、SSCやビクトリーやレコードと比較すると剛性不足や強度不足を感じました。32本スポークでテンションを上げ気味に組んでも、クリテリウムを1回走ると振れ取り作業が必要で使用を止めてしまいました。

トライアスロンの決戦ホイールとして注目されて、フェスティナのスポンサーだったジップのカーボンリムも使いましたが、三角形のエアロリムの2辺の肉厚がペーパーの薄くて軽量なリムでしたけど、32本スポークのテンションを上げてもホイールとしての剛性が上がらず、パワーロスしているので進んでくれませんでした。

快適に走るには、軽量でも剛性バランスがいい、パワーロスの少ないホイールが必要なことがわかりました。もちろんタイヤも含めての話ですけどね。カンパニョーロから完成度の高い完組みカーボンリムホイールがリリースされて、手に入るカーボンリムも手組みホイールの素材も限られてきています。

ロードチームやトライアスロン選手のメカニックをするようになって、飛行機で機材を持ち歩くようになって、工具も重さやキュービックが問題になってきました。整備代はアルミのアルチウムになり、振れ取り台もアルチウムのアルミ製、リムセンターゲージは箕浦のアルミを持ち歩くようになりました。

そんなへなちょこな振れ取りの機材でホイールが組めるのか、10分の2mmにリムのフレを調整できるのか、箕浦のアルミのセンターゲージでいいの?と、メカニック仲間からよく言われます。海外レースの飛行機のオーバーチャージを考えるとこれしかありませんでした。

遠征先のはそれしかないんだから、それでやるしかありません。もちろん、もっと剛性のあるどっしりした振れ取り台の方がいいんでしょうけど、集中してやれば大丈夫です。リムのフレもホイールのセンターも10分の2mmを目指して組み上げて、翌日のレースで使っても問題のないホイールを組み上げられます。

ホイールは200本くらいかな、何本組んだかな〜、自分のためには50本くらいかな。完組みホイールは、カンパニーロ、ロバール、フルクラム、ジップ、コリマ、マヴィックなど分解したり組み戻したり、スポーク交換などの修理もずいぶんしたと思います。

アルミリム、カーボンリム、木リムなどいろいろ組みましたけど、もっともショッキングだったのは、ブルザッティの木リムや、ジョバンニのアマンダスポーツの千葉洋三さんが設計した、20mm・20mmの四角い断面の木リムを組んだ時でした。

ブルザッティの木リムで組んだホイールはスポークのテンションが上がらず、剛性も上がりませんでしたから、すぐに倉庫入りとなってしまいました。ジョバンニの木リムもダメだろうなと思いつつ、アマンダオリジナル設計の木リムで前後輪を組んでみました。

木リムは細い板を3段巻きで丸くして接着したものした。36本スポークのタンジェント組みで組み上げました。仮組みの段階でびっくりです、同じ回数ニップルを締めてもリムのフレはcm単位でぐらぐらでした。木リムは部分部分で剛性が違うのでフレが出てしまうんですね。

左右のスポークをニップルを新調に回して引いて、横フレと縦フレを少しずつ修正して行きます。ニップルの1回転以下の締め具合で木リムは大きく変形してしまいます。辛抱強く付き合って縦と横のフレを10分の2mmまで追い込んで、ホイールセンターゲージを当ててセンターのずれをチェックして、10分の2mmまで追い込みます。

カーボンやアルミのリムのホイールなら、ストレスをかけてなじみを出しますが、木リムホイールの場合はバイクに取り付けて実際に走ってストレスをかけて、ニップルと金属ワッシャーと木リム、スポークとハブなどの馴染みをだしてホイールのフレを出して、ニップルを増し締めして振れ取りします。

時間経過とともに、ニップルを支える金属製のワッシャーが木リムへ食い込むので、200km、500kmと走ったら振れ取りして、ホイールを熟成させて行きます。木の振動減衰製が素晴らしく、ホイールとしての剛性も十分でした。前輪は問題なく使えました。

11段用のハブで組んだ後輪ホイールは、36本スポークのタンジェント組みで組みましたが、後輪はスプロケットが収まるので、おちょこ量がありフランジの幅が狭く、左右の剛性バランスの差が大きくて、踏み込むと駆動トルクで変形してパワーロスが大きくて使えませんでした。

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