たぬきやさんとのお別れ

10月17日（水）晴れのち曇り　「菊花開（13日〜17日）」
午前中は思いがけなくも天気予報が外れて晴れましたので、大車輪で布団を干しシーツと布団カバーまで洗って清々いたしました。

昨日は実に久しぶりに外で友人たちとたくさん飲んだのですが、幸いにも二日酔いにならず朝から家事に専念できました。
やっぱり「佳い飲み」をするとちがうもんですねえ

午後三時から、多摩川の稲田堤にある「たぬきや」さんでお店との惜別の宴を張って盃を重ねていたらいつの間にか薄暗くなり、鉄橋の向こうから夕焼けがみえてきたのには驚きました。

朝から何とも頼りないお天気でいつ雨が降ってきてもおかしくない天気でしたから、はたして開店してるものやらこの目で見るまではまことに不安でした。
土手を越え、店主の和子おかあさんの紅い通勤バイクを見つけたら、おお、やってるう〜って叫んでしまいましたもん。
お店から見える夕焼けともお別れです。
明日は晴れるってことか…

2014年の6月に初めて訪れたのでありますが、その、何とも言えないのほほんとしたお店の雰囲気、というよりラジカルにして開放的な河原茶屋ぶりに魅入られてしまい幾度となく通うようになったのでありました。
そしてこんなご案内と伝説まで掲げてコミュニティまでこさえてしまったのですから、若気の至りとはいえ元気でしたねえ

ー雨さえ降らなければ平日は午後３時くらいから、土日は１２時くらいから夜７時半くらいまでやってるみたいです。
ただし、曇りだからだいじょうぶだろうなんて甘い考えは禁物で、お昼前にオカアサンが”どら、そろそろ仕込みをはじめようかねえ〜”なんて時間に雨が降り始めるとやる気をなくしてしまうみたいですから、気をつけてください。
のんびり当たってくだける精神で行きましょう
あ、電話はないからね
【伝説】
イ.　創業昭和10年の噂

ロ.　かの椎名誠、野田知佑、カヌー犬・ガクの最強チームが多摩川を下る際に寄ったとか、吉田類の主催する句会が密かにおこなわれているとかの都市伝説

ハ. 　さまざまなブログにて、「天国に一番近い酒場」とか「昼酒好きの桃源郷」とか、はては「日本で一番涅槃に近い（かもしれない）川辺の酒リゾート！」なんてまでいわれておりますなあ、「昼過ぎに入ったのに気がつけば夜」、「散歩のついでに犬と一緒に食事が出来るオープンカフェ」、「不定休だから赤いのぼりが見えたら営業中の印」

ニ.　追加伝説　　雨の降る日は対岸で、「つげ義春」が石を並べて売っている。。。

【評判】
”ラフでゆるやかで、ワンコも色々いるわ、独り人生の悲哀を感じさせてくれるオジサンもいるわ、お店の傍で大の字になって寝てる男もいるわ、まあまあ、ほんま、バルザックの小説のごとく機微に富んで楽しゅうございますよう。”（６５歳男性）

９月２１日現在、８月号のdancyuの表紙になりましてから、土日は劇混みで、常連さんはこまっております
くそっ、dancyuめ！（なんて逆恨みしちゃいけないね）


この地は昭和48年まで「菅の渡し」があって渡し舟が行きかっていたところですので、その名残の休憩茶屋なのかもしれません。



かってこよなく愛されていたミーちゃんの思い出のアルバムであります。














ところが先月の25日に、たぬきや仲間から、「たぬきや閉店のお知らせです。10月28日で83年の歴史に幕が下ろされるそうです。」というメッセージが寄せられびっくりしたんであります

https://twitter.com/hondaso/status/1044091910116192256?s=21



店主の青木和子おかあさんの閉店の辞であります。
「閉店するにあたっての理由　近年の気象変動による温暖化に伴う、海水温の上昇・海水位の上昇・スーパー台風・集中豪雨等、対応しきれないため　青木和子」
書き写していて、切なくなってきました。
和子さんとは同年代なので、天候不順や災害が続くと自分の心に与える影響が若い頃とはまるで違うのがわかります。
まして河原での客商売ですからねえ、天候急変で営業が出来なくなって仕入れが無駄になったり、客足が減ったり、大変だったんでしょうねえ。

閉店日が近づけば、また雑誌に載った時みたいな大混雑になりそうですし、ああ、佳き時代はなんて過ぎ去るのが速いのでしょうか。
なんて嘆いてもはじまらないので、mixiのコミュニティで知り合ってマブダチとなった（笑）友人たちと、ようやく昨日お別れの宴を致した次第なんであります。
やはり劇混みで、長い間ビールと食べ物のおあずけにあったりしたけど奥の特等席に座って楽しむことが出来ました。
和子おかあさん、長い間ご苦労様でした、ゆっくりお休みくださいな