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2012年12月04日10:45

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(メモ)日本の核武装 45年前〔1967年〕に「不可能」と結論付けた議論の要諦

12月02日 16:10 提供:NEWSポストセブン
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=125&from=diary&id=2242685


 日本維新の会の石原慎太郎代表の「核兵器保有発言」が注目を集めている。
実は1967年夏、内閣調査室(当時)の外郭団体の主催の研究会で、すでにこの問題が様々な専門家を集めて議論されていた。
私(神田)は研究会メンバーで国際政治学者の蝋山道雄氏(元上智大学名誉教授、故人)に、1999年、当時の研究会についてインタビューしている。
この問題を考える一助とするために、その要旨を紹介したい。(文=フリーライター・神田憲行)

 * * *

 石原慎太郎氏の「核兵器」についての発言は、11月20日に日本外国特派員協会におけるものだった。
いわく「日本は核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいい。これも一つの抑止力になる。持つ、持たないは先の話だ」として、さらに「核を持っていないと発言権が圧倒的にない。北朝鮮は核開発しているから、米国もハラハラする」と語った(毎日新聞11月20日)。

 冒頭の研究会は1967年夏、内調の外郭団体「財団法人・民主主義研究会」の主催で行われ、毎月1回の研究会の他に1968年には軽井沢で合宿も行われている。
研究会メンバーは、永井陽之助(国際政治学者、故人)、垣花秀武(原子核理工学専門家)、前田寿(軍縮問題ジャーナリスト、故人)、関野英夫(軍事評論家、故人)、そして蝋山氏の5人。


研究会参加当時の蝋山氏は国際文化会館調査室長で、ロンドンの「戦略研究所」に留学経験があった。
研究会の結果は、「日本の核政策に関する研究(その1)−独立核戦力創設の技術的・組織的・財政的可能性」と「日本の核政策に関する研究(その2)−独立核戦力の戦略的・外向的・政治的諸問題」という2冊の小冊子にまとめられた。


 私の取材に対し、蝋山氏は、

「我々が達した結論は、日本が核武装することは、国際政治的に多大なマイナスであり、安全保障上の効果も著しく減退するというものだった」

と語った。



当時の掲載誌「SAPIO」(2000年1/26・2/9日号)から要約を引用する。

《まず技術的側面では、当時も今も、我が国が核爆弾の潜在的な製造能力を有していることは間違いない。
もともと核爆弾そのものは理工系の学生程度の知識で作られるもので、材料のプルトニウムさえ手に入ればできる。
当時は再処理工場ができる72年以降は可能と結論したが、現在も技術的に可能だ》

《しかし核爆弾を抑止力を持った「核戦力」とするためには、2つのステップが必要だ。核爆弾の実験と、保有・配備である》

《当時、米ソ中は自国内の砂漠で核実験をし、イギリスはオーストラリアの砂漠、フランスはサハラ砂漠で実験をした。
核爆弾は実験をして世界に存在を知らしめてこそ、抑止力として働くのである。
日本は63年の部分的核実験停止条約を批准しているから、水中か地下以外では実験できない。
離れ小島で地下実験しようものならどんな地殻変動が起きるか予想もできない》

《さらに保有・配備にしても、我が国は国土が狭く、アメリカ、中国のように大陸全土に点綴させるのは難しい。
(中略)核攻撃に耐えられる非脆弱な核ミサイルを地下格納できる場所などない》

 つまり核兵器はただ「持っている」とアナウンスするだけではダメで、実験してミサイルなどの運搬手段も「誇示」することで、初めて抑止力が働く。
これは現在の北朝鮮の長距離ミサイル実験をみても現代にも通じる論理だろう。
そしてそのような示威行為を行う手段が、日本にはないことも変わらない。

 蝋山氏はさらに政治的側面からの議論も紹介する。

《次に核武装することは政治的戦略的に可能か。
核武装論者に共通する論法は、「もし核攻撃を受けたとき、アメリカは自国への報復攻撃を覚悟してまで、我々のために反撃してくれるのか」という「アメリカの核の傘への不信感」である。
実際そう主張して、フランスはNATOから一時脱退して自前の核を装備した。
この議論は今も日本では、「北朝鮮が攻めてきたとき、アメリカは本当に守ってくれるのか」という「安保不信論」に形を変えて存在している》

《私から言わせれば、これは核武装せんがための「理屈」であり、「抑止力」についてまったく理解していないものだと言わざるを得ない》

《というのは、抑止力とはこちらが「実際に反撃する可能性」ではなく、相手に「攻撃させないもの」だからである。
実際に我が国にテポドンが撃ち込まれてから、いくら米軍が反撃してくれても我々にとってなにも有り難くはない。撃たせないことが抑止力の意味なのである》

《だから検証しなくてはならないのは「アメリカの意思」ではなく、敵国(仮に言えば当時は中ソ、今は北朝鮮)がアメリカの核の傘を十分に意識しているかどうか、つまり、抑止する側とされる側相互間の心理作用が重要なのであって、実は傘の下にいる者がどう思うかはさほど重要な要素ではない。
そして現に他国からの攻撃が戦後50年以上に渡ってない以上、核の抑止力は十分に機能しているといえる》

《また開発には莫大な政治的エネルギーが必要だ。
まずアメリカが強い不信感を持つ。
彼らの伝統的な太平洋戦略はこの周辺に自らと肩を並べる強大な国を作らないことである。
日本と中国を天秤にかけつつ両者の肩を押さえていく。
だから日本が軍国主義をむき出しにした際は蒋介石を援助し、中国共産化のあとは日本を後押しした》

《当時は、日本が核兵器を持てば、アメリカをかえって中国の側に追いやるという結論だった》

《さらに、世界中の国も敵に回す可能性も指摘された。
アメリカの反対を押しのけても、核を開発するためには核実験禁止条約など関連条約から次々と脱退しなくてはならない。
それがもたらす四面楚歌の状態は第1次世界大戦後の国際連盟脱退の比ではない。
他の核保有国はすべて日本を仮想敵と見なし、カナダやオーストラリアといった国も日本に厳しい視線を浴びせるだろう。
議論した68年は終戦からまだ20数年しかたっておらず、侵略国から変異した日本の政治が誰からも信用されていたわけではない。
そこで核武装すれば「またか」という舌打ちは当然あるだろう、と予想した》


 石原氏は北朝鮮が核を持つからこそ国際社会に発言権があるかの如く語っているが、ここでの分析は核兵器保有が国際社会からの孤立を招く、ということだった。

 蝋山道雄氏が私に重ねて強調していた。

「情緒的な平和主義的イデオロギーから日本の核兵器保有を反対しているのではなく、国際政治のリアリズムからの反対論なんです」

 古い議論と切り捨てずに、核兵器問題を考える一助になるのではないだろうか。




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[註]

★蝋山道雄(ろうやま みちお、1928-2009)
日本の国際政治学者、上智大学名誉教授。
群馬県出身。父は政治学者の蝋山政道。
東京高等師範学校附属中学校、東京大学を卒業。
国際文化会館調査室長を務め、上智大学外国語学部・同国際関係研究所で長く教鞭をとった。
「現実主義」の論客として論壇で活躍する。
1960年代末、内閣調査室が委託した核兵器開発の可能性検討を行なう学者グループの中心となり、日本の独自核武装について否定的な報告をまとめた(日本の核武装論#冷戦中の核武装論参照)。
1970年には菊地昌典、西川潤らとともに、公明党の提唱した日中国交正常化国民協議会の代表世話人となり、民間から中国との国交正常化を推進した。
国交正常化直前の1972年7月に北京を訪問している。
その後も国民協議会の後身である日中友好学術交流協議会による学術交流や、1987年に設立されたアジア教育文化交流協会理事長として、留学生支援などを行なった。
「なぜ中国を承認すべきか」(『中央公論』1971年2月号)で第7回吉野作造賞を受賞。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9D%8B%E5%B1%B1%E9%81%93%E9%9B%84
日本核武装論批判の立場から≪メールマガジン「オルタ」35号(2006.11.20)特集;北朝鮮の核実験と日本の対応を考える≫
http://www.alter-magazine.jp/backno/backno_35.htm#3



★永井陽之助(1924- 2008)
日本の政治学者。学位は法学博士(北海道大学)、東京工業大学・青山学院大学名誉教授。東京大学では堀豊彦に師事。
当初は政治意識の研究など、政治学・政治理論研究にその重点を置いていたが、ハーヴァード大学での在外研究中にキューバ危機という米ソ二大国間のパワー・ポリティクスを目の当たりにし、強い衝撃を受ける。
一方で、依然として日本国内ではそのような権力政治的要素を等閑視し、イデオロギーに規定される形で国際問題についての硬直化した議論が行なわれていることに不満を感じたことから、国際政治に関する研究・評論を開始、『中央公論』1965年5月号に発表した「米国の戦争観と毛沢東の挑戦」で論壇にデビューする。
同時期に論壇に登場した高坂正堯とともに、現実主義の立場から日本外交を論じた。
核時代の権力政治という状況への注目から、いわゆる非武装中立主義だけでなくタカ派に対しても批判的であり、1980年代前半の米ソが厳しい対立状態にあった「新冷戦」期には、岡崎久彦らを軍事力を行使可能な手段として過大視する「軍事的リアリスト」として批判、一方で軽武装・経済重視の戦後日本外交を「吉田ドクトリン」と名づけ高く評価し、岡崎との間に「政治的リアリスト―軍事的リアリスト」論争を展開した。
永井の評論活動は三島由紀夫、福田恒存などからも高い評価を受けていた。
1967年、「日本外交における拘束と選択」(『中央公論』掲載、『平和の代償』収録)で第2回吉野作造賞を受賞。
1984年、『文藝春秋』に連載した『現代と戦略』で文藝春秋読者賞を受賞。
1984年から1986年まで日本国際政治学会理事長を務めた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E4%BA%95%E9%99%BD%E4%B9%8B%E5%8A%A9
http://mixi.jp/view_community.pl?id=4540136
http://mixi.jp/search_review.pl?submit=result&type=rev&keyword=%B1%CA%B0%E6%CD%DB%C7%B7%BD%F5&category_id=1&sort=




★垣花秀武(かきばな ひでたけ、1920- )
日本の核化学者、評論家。 東京出身。東京帝国大学理学部卒。
東京工業大学助教授、1958年教授。
77年国際原子力機関次長。
80年名古屋大学教授、同プラズマ研究所長。
84年定年退官、上智大学教授。
ウラン採取法を開発。
またカトリック信徒で、キリスト教思想を研究、森有正と交流し文明論についても発言する。
日本海水学会会長。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9E%A3%E8%8A%B1%E7%A7%80%E6%AD%A6



■原発への攻撃、極秘に被害予測 1984年に外務省


原発への攻撃3つのシナリオと被害予測
 外務省が1984年、日本国内の原発が攻撃を受けた場合の被害予測を極秘に研究していたことがわかった。
原子炉や格納容器が破壊された場合に加え、東京電力福島第一原発の事故と同じ全電源喪失も想定。
大量の放射性物質が流出して最大1万8千人が急性死亡するという報告書を作成したが、反原発運動の拡大を恐れて公表しなかった。

 欧米諸国は原発テロを想定した研究や訓練を実施しているが、日本政府による原発攻撃シナリオの研究が判明したのは初めて。

 81年にイスラエルがイラクの研究用原子炉施設を爆撃した事件を受け、外務省が財団法人日本国際問題研究所(当時の理事長・中川融元国連大使)に想定される原発への攻撃や被害予測の研究を委託。
84年2月にまとめたB5判63ページの報告書を朝日新聞が入手した。

 報告書は
(1)送電線や原発内の電気系統を破壊され、全電源を喪失
(2)格納容器が大型爆弾で爆撃され、全電源や冷却機能を喪失
(3)命中精度の高い誘導型爆弾で格納容器だけでなく原子炉自体が破壊――の3段階に分けて研究。
特定の原発は想定せず、日本の原発周辺の人口分布とよく似た米国の原発安全性評価リポートを参考に、(2)のケースについて放射性物質の放出量を今回の事故の100倍以上大きく想定。
様々な気象条件のもとで死者や患者数などの被害予測を算出した。

 緊急避難しなければ平均3600人、最大1万8千人が急性死亡すると予測。
住めなくなる地域は平均で周囲30キロ圏内、最大で87キロ圏内とした。
(3)の場合は「さらに過酷な事態になる恐れが大きい」と記した。

 ところが、外務省の担当課長は報告書に「反原発運動への影響を勘案」するとして部外秘扱いにすると明記。
50部限定で省内のみに配り、首相官邸や原子力委員会にも提出せず、原発施設の改善や警備の強化に活用されることはなかった。

 当時、外務省国際連合局審議官としてかかわった遠藤哲也氏は「報告書はあくまで外務省として参考にしたもので、原子力施設に何か対策を講じたわけではなかった」と話す。
外務省軍備管理軍縮課は「調査は委託したが、すでに関連資料はなく、詳しい事情は分からない」としている。
二ノ方寿・東工大教授(原子炉安全工学)は「日本では反対運動につながることを恐れ、テロで過酷事故が起こることはあり得ないとされた。
攻撃もリスクの一つとして認め、危険性や対策について国民に説明すべきだ」と話す。(鈴木拓也)

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201107300615.html


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【引き継ぎメモ】覚え書き 〜点と線〜
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1859218487&owner_id=12258289
★全体公開中のおもな日記・記事
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1835282742&owner_id=12258289


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http://www.youtube.com/watch?v=-0cFzZt4mc4







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