mixiユーザー(id:11672499)

2018年10月24日01:02

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「ググらない」

わたしは四十になる。
雑で個人的な括りではあるが、青年期のイザコザとインターネッツの発達
我が世代が最も、それらの生々しい絡み合いと共に来た、のではないかと思う。
デバイスが、巨大で深遠な電脳に易々と繋がる今
知識の価値は暴落した。
だから、今は「ググらない」。
河川敷の闇に、ふやけたビニ本を枝で捲って畏れ受けた啓示が
今やpornhubのリンクをくりくりクリックするだけでもたらされる。
ぼくは敢えて今ググらない。

ランニングを日課としている。
セックスをスポーツと呼んでいいのなら、セックス以外には犬のクソ程の興味もないわたしが
流れた汗の分だけは酒が飲めると信じて日々走ってる。
今日、女郎蜘蛛に気付いた。
宅地を縫うような狭い一通の路地だが、その端から端まで糸を張り
枯れた笹、萎びた実、鳩の羽毛までをも
晴れた秋空の額縁に捕らえて女郎蜘蛛が、静止していた。
さて、ここでググらない。
ジョロウグモはケイラクフ(?)的な当て字?もあった筈だがむしろそっちが本当か?
この感じるモヤモヤが「知」の深さなんである。更にはジョロウグモの生態もググれたら、この初秋(でいいの?)に巣を張るアレの雌雄にも言及出来れば、交尾してオスを喰うのはカマキリのはずだが、
蜘蛛もそんなんやってなかったっけ?という疑問もあえてググらない。
自室のパソコン、モニタの脇の壁におそろしくちっぽけな、謎の繭玉が夏前からできていた。
脳が死んでいるから、その現象へ何ら疑問も抱かない。
或る夜、pornhubへの集中を乱す影はなにやと見ると
ハナクソのようにちっぽけなクモがチロチロと走っては
繭玉へ潜る。おお、なんだきみは。
何処から来た?ここに食い物はあるのか?
しかしググらぬ。きみの分類学的な立ち位置や
生態を知ったとておれはpornhubを視聴するし
きみは繊維の城に独居する。ググる意味は爽やかなほど、ない。
ずいぶん長く静な繭を暴く意味もない。

手段があるならよく調べ、責任を以て書く礼儀も当然。
だが今日は、肥大した電脳を脇に置き少し、逆らい甘えたくなった。
インターネッツは本当にろくでもない。臍の尾から繋がるような世代が心底うらやましい。
おれは明日もきっと、お決まりのコースを走るはず。
女郎蜘蛛は空に架かり、我が汗をきっと笑ってくれるだろう。
ググらない。
この手と目とで、もう手一杯だ。
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