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mixiユーザー(id:10857363)

2018年04月12日22:24

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私のベストテン(第8回)

(8) 高坂 研、橋本 哲(Problem Paradise 2016, 1st Pr.)
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Proof Game in 20.5 moves (16+13)

1.b3 Sf6 2.Bb2 Se4 3.Bxg7 Rg8 4.Bb2 Rg3 5.h4 Rf3 6.xf3 f6
7.Bb5 Kf7 8.Bxd7 Sc6 9.Bh3 Qd6 10.Bc1 Qh2 11.g3 e5 12.Bf1
Bh3 13.Bb5 Rd8 14.Ke2 Rd5 15.Qe1 Sd8 16.Bd7 Rb5 17.Kd3 Bb4
18.Kc4 c5 19.Kd5 Bf1 20.Bh3 Bd3 21.Bf1

 並べてもらえばお分かりのように、本作のテーマは「白Bf1によるdouble Rundlauf」だ。これだけのサイズでの同一軌道2回転というのは、私の知る限り前例がない。もし私の作品が一作だけ歴史に残るとすれば、恐らくこれだろう。非力故、代表作と胸を張って言える作品は殆どないのだが、これはその数少ない一つである。

 前にも書いたように、私の好きなプルーフゲームのテーマはswitchbackとRundlaufだ。いずれも駒の運動性を表現していて分かり易いテーマなのだが、他のテーマと同様、何度も繰り返し使われるとどうしても陳腐化してしまう。そこで作家側は、解答者に新鮮な印象を与えるべく表現に様々な工夫を凝らす(例えば、他のテーマと組み合わせたり、意味付けに凝ってみたり)ようになってきている。ここでその全てを扱うことはできないが、「回数を増加させる」という方向に絞っていくつか作例を見てみよう。

(8-a) Michel Caillaud(Messigny 1995, 1st Pr.)
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Proof Game in 16.0 moves (16+13)

1.a3 d5 2.a4 d4 3.a5 d3 4.exd3 Bh3 5.Se2 Kd7 6.Sec3 Ke6
7.Qg4+ Kf6 8.Qc8 Qd5 9.Qxf8 Qf3 10.xf3 Bc8 11.Bh3 h5
12.Bd7 Sh6 13.Ba4 Bh3 14.Qc8 Rd8 15.Qg4 Sg8 16.Qg2 Bc8

 黒Bc8による、駒取りなしでの最遠switchbackの反復。その意味付けの純粋さが、作意順の美しさを際立たせている。名作!

(8-b) 橋本 哲(Problem Paradise 1999)
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Proof Game in 16.0 moves (12+16)

1.h4 a5 2.Rh3 a4 3.Rb3 xb3 4.d3 Rxa2 5.Sd2 Ra8 6.Ra7 b6
7.Rb7 Ra1 8.Sdf3 Rxc1 9.Sh2 Ra1 10.f3 Ra8 11.Qa1 d6
12.Qa7 Sd7 13.Qb8 Ra1+ 14.Kf2 Rxf1+ 15.Kg3 Ra1 16.Kh3 Ra8

 こちらは黒Ra8によるswitchback3往復。難易度は低いが、十分楽しめる内容だと思う。

 Rundlaufの方でいうと、既に紹介済みの(2-a)が「2枚の白Rが同一の軌道を1周する」という画期的な作で、その他に「1枚の白Rが同一の軌道を2周する」というものもある。それが以下の図。

(8-c) Michel Caillaud(StrateGems 2003, 4th Pr.)
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Proof Game in 22.5 moves (16+14)

1.g4 f5 2.g5 Sf6 3.g6 Rg8 4.xh7 g6 5.h8=R Bh6 6.Rh7 Be3
7.Rg7 Bc5 8.d4 Rh8 9.Rg8+ Kf7 10.Kd2 Qf8 11.Kc3 Qh6
12.Kb3 Qh4 13.Bh6 Sc6 14.Bg7 Rh5 15.Rh8 Se5 16.Rh7 Sf3
17.xf3 b6 18.Se2 Bb7 19.Sc1 Rh8 20.Bf8+ Ke8 21.Rg7 R8h6
22.Rg8 Sh7 23.Rh8

 ただ、流石のCaillaudも軌道は最小のものにとどまっている。これをもっと大きくする仕掛けはないものかと試行錯誤した結果生まれたのが、(8)なのである。

 拙作も含め共通しているのは「同じ駒に何度も反復させる」という点で、これが例えば「右上でRがswitchbackし、それから左下でBがswitchbackした」では全然面白くない。何故かというと、それでは発想が足し算だからだ。
 プルーフゲームの発想は、足し算ではなく掛け算でなくてはならない。つまり、「Aをやりました。それからBもやりました」ではなく、「ある効果を得る為に、AとBの両方が必要になる」という仕組みを創造しなくてはならない。(これは、私が橋本氏の諸作品から学んだ最も重要なことだ)
「回数を増加させる」というアイデアは、安易に用いると西欧の悪しき数量絶対主義(多ければ多い程優れているという)に堕してしまう危険性が常にあるのだが、この「掛け算型」の発想を忘れない限り、新たなプルーフゲームの創造へと私たちを導いてくれる一つの手がかりになる筈だ。

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