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2017年09月09日22:11

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Retros on weekends(26)

(25)Michel Caillaud(Phenix 9 03/1990, 4th Prize)
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最終24手を求めよ (9+15)

 白のなくなった駒はQRBBSSPの7枚で、黒はR1枚のみ(黒Rは1枚成駒である)。このことから、白Pは全て直進していることが分かる。また、最終手は明らかに0-0だ。すると、この局面に至る迄このKとRは不動だったことになるから、黒Ph7は最低でも5枚駒取りをしていることになる。白Bc1はこの成に関与できないので、Pg7xf6と合わせると黒の駒取りはこれで尽きている。

 黒Ph7は4枚駒取りをしてd3に来た後Pd3xPc2-c1=Rと成るのだが、黒Pがd3に辿り着くまでに白Qは取られているので、c1=Rの際のチェックを避ける為に何かd1に遮蔽駒を入れなくてはならない。一番自然なのはSh6を使う筋だが、ひとまずこれで逆算してみることにしよう。

Retract:1.0-0+ Sf5-h6 2.Ph6-h7 Se3-f5 3.Ph5-h6 Sd1-e3 4.Ph4-h5 Rc4-g4 5.Ph3-h4 Rc1-c4 6.Ph2-h3 Pc2-c1=R 7.Pe5-e6 Ka2-a1 8.Pe4-e5 Kb3-a2 9.Pe3-e4 Kc4-b3 10.Pa4-a5 Pd3xPc2 11.???

(図1)
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 ここで何か1手白が戻せれば、11...Pe4xRd3として更なる逆算が可能なのだが…。しかし、いくら探してもそんな手はない。では、d1での遮蔽駒は白駒なのだろうか?
 だがその場合、挟める駒はf6で取られた駒ということになる。この駒を戻すにはPg7xf6とするしかないが、その前にはBf8-g7と戻さなくてはならず、更に黒Kを原型位置に戻しておかねばならない。それから前述の手順に入ることになるが、その前に白の手が尽きるのは明らかだろう。

 万策尽きたように見えるが、散々悩んだ挙句に一つ根本的な思い違いをしていることに気付く。黒Rのunpromotionは、別に最優先事項という訳ではないのだ!「まず成を戻そう」とするから旨くいかないので、白にPの手以外の逆算手を作ってあげ、それからゆっくり黒Rの成を戻してもいいのだ。
 このことが閃けば、本当に急ぐべきなのはf6でのuncaptureであることが見えてくる。作意はこうだ。

Retract:1.0-0+ Kb1-a1 2.e5-e6 Kc2-b1 3.e4-e5 Kd3-c2 4.e3-e4 Ke4-d3 5.a4-a5 Kf5-e4 6.a3-a4 Kg6-f5 7.a2-a3 Sf5-h6 8.h6-h7 Kh7-g6 9.h5-h6 Kg8-h7 10.h4-h5 0-0 11.h3-h4 Bf8-g7 12.h2-h3 g7xRf6

(図2)
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 この後は白Rf6を自陣に戻してから、当初の予定通り黒Sをd1に挟めておいて黒Rの成りを戻せばよい。e8を目指して一目散に駆け戻る黒Kの動きが何ともユーモラスな作品である。

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(26)Luigi Ceriani(L'Italia Scacchistica 1946, 1st Prize)
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黒Kの初手は?(14+10)



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