(17)Thomas Volet(Probleemblad 03-04/2000, 1st Prize)
b3で取られた駒は何か?(13+10)
なくなった駒は白がQRBの3枚で、黒はQRRSSPの6枚。白側の駒取りはa3とb3の白Pによるものが各1枚で、白Pd6によるものが4枚(これはh2から来ている)。一方、黒はPb6とPg6でそれぞれ1枚、それにe6でも1枚駒取りがあることが分かる。以上より、どちらの駒取りも全てPによるものであることが判明した。
だが、Pxa3とする前にはBとRを戻す必要があるし、Pxb3とする前に黒Kを脱出させないとillegal positionになってしまう。よって、白はすぐにuncaptureする訳にはいかない。では、黒側はどうだろうか。黒Pe6が駒取りをしているとすればその前にBc8を戻す必要があるし、駒取りをしていないとすれば今度はBf8(及びR)を戻す必要がある。従って、これもまたすぐに戻せる駒ではない。
残ったのはb6とg6であり、桝目の色からb6で取られたのは白Bに確定。しかし、g6で白Rの取りを戻したとしても、この白Rをa1に運ぶのは不可能だ。局面をほぐすには、いずれかのBを初形位置に戻す必要があるのだが…。
ここで、c筋の黒Pが成っていることに気付くのが重要である。この成を戻して黒Pをc4迄下げた瞬間、Ba6の利きが遮断されるので白Sb5が解放できるではないか!この事実が手掛かりとなり、もつれていた論理の糸が徐々にほどけてくる。
勿論、成りを戻すのは黒Bh2である。これをc1に届ける為に、黒はb6でまず白Bをuncaptureする。そしてPc4-c3としたときには、以下のような図になっている筈だ。
(図1)
ここから、Sc7-b5 Ph7-h6 Sd5-c7 Pf7xRg6 Sb4-d5 Pc5-c4 Sd3-b4+と戻して次図。
(図2)
更に、Bc2-d1 Ra1-g1 Bd1-c2 Bc1-b2 Ke1-e2 Sb4-d3+ Be2-d1 Pb2xRa3と戻せば、以下のような局面を得る。
(図3)
ここまでくれば、この後の局面のほぐし方はもうお分かりだろう。黒R/Bをそれぞれa8/c8に戻してPd7xQe6とすれば、これでやっと白Kに自由が生まれ、同時に黒Kをd3経由で解放することも可能になる。
(図4)
この局面に至って、漸く作者の設問に答えることが可能になる。白Pd6が4枚目の駒取りをしてからやっと黒Pe5と指したのだから、この白Pが黒Rを取ることは不可能。従って、b3で取られた駒は初形でh8にいた黒Rである!
いかにもレトロらしい、息の長いロジックの連鎖。1st Prizeも納得の、重厚な構成の作品であった。
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(18)Michel Caillaud(StrateGems 2002, 3rd Quick Composing Tourney, Prize)
Proof Game in 17.5 moves(14+14)
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