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2017年02月23日22:14

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「カピタン」研究(85)

6)逆王手(Cross-Check)

 チェスプロブレムでも「逆王手」の応酬は魅力あるテーマである。逆王手とその切り返しはスリルがあり、大変ポピュラーなテーマである。キーを分かりにくくするし、解答者をハッとさせる効果も大きい。しかし2手問題で逆王手を「メインテーマ」とする場合は、偶発的では駄目で、逆王手の回数とか魅力のある切り返しなど、演出・構成の工夫が必要である。

(G)Comins Mansfield
1935, 2nd Prize
フォト
#2 (9+7)

1.Kf5(2.Bxc5#)
1...Bd4+ 2.Be5#
1...Be3+ 2.Sc5#
1...Bxd6+ 2.Sb5#
1...Rf1+ 2.Sf2#
1...Rd1 2.Sd2#
1...Sd7 2.Qd5#
1...Sc7 2.Qxc7#

 Kf5と、危険地帯にKが出ていくのが皮肉なテーマ。4通りの玉方の王手を華々しく逆王手で切り返す。玉方Ba3とかBf2も王手だが、詰方の狙い2.Bc5を防いでいないので「本手順」にカウントしない。


テーマの組み合わせ(Combination)

 チェスプロブレムの作家は、1題の作品で一つのテーマを表現するだけでは満足しない。そこで先ず試みられるのが「テーマの組み合わせ」である。二つも三つものテーマを一つの作品に盛り込もうとする。たいていのテーマとテーマは理論的に組み合わせが可能であるが、「2手詰」の制約の中でこれをやるのだから驚きである。いくつか例をお目にかけよう。

1)逆王手と半釘付けの組み合わせ(Cross-check+Half-pin)

Half-pinも興味深いテーマである。攻方のR,B,Qなどと受方Kとの間にいる玉方の駒が「動けば王手だぞ」と釘付けされている状態がPinであるが、Half-pinは、間に2枚の玉方駒がいる状態である。この2枚の駒はどちらも自由に動けるが、1枚の駒が他所へ移動してしまうと他の1枚は釘付けになってしまう。2枚の駒のうち1枚は絶えず潜在的に釘付けされているのでHalf-pin(半釘付け)である。Half-pinのテーマは、攻方の狙いを避けて一方の駒が守備に出動すると、他の駒が釘付けになって、それが原因で玉が詰められてしまう(たいていは、その逆も表現する。両者を対照的に表現することにより、テーマの面白さが浮き彫りされる)のをテーマ的に表現したものである。

(H)Giorgio Guidelli
Eco Degli Scacchi 1916-1917, 2nd Prize
フォト
#2(9+10)

1. Kf7(2.Qb8#)
1...e5+ 2.S7d5#
1...Be5+ 2.S7f5#
1...Bxe7 2.Bxf4#
1...Bg5+ 2.S3f5#
1...Ke5 2.Sc4#

Pe6とBf6が攻方Rg6に半釘付けされているテーマの駒。初手、安全地帯からKf7と危険な場所に出てくるのも素晴らしい妙手だが、Pe6やBf6を移動して王手をかけてくるのを、half-pinの泣き所を突いて、逆王手で切り返す。精巧な構成の傑作。
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