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2017年02月09日22:21

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「カピタン」研究(75)

2-3 その他(実はこれが本当の妙手)

 驚いてはいけない。これまで挙げた妙手は、チェスプロブレムの立場からは程度の低い妙手なのだ。チェスプロブレムの作者は、もっと深みのあるエレガントな手を「妙手」と評価するのである。
 B.Hearleyによると、「チェスプロブレムの初手は、不利感から解答者が仲々発見できない手が良い手で、この逆は悪手と言える。この意味から、駒取り、王手、後手玉の退路を押さえる手、後手方駒の働きを悪くする手などは何れも好ましくない手である」とされている。彼によると、キーとして優れた手は次の順序である(番号の大きい方がより好ましい)と云う。

(1)捨駒(これが一番初等的な妙手)
(2)後手玉の逃げ道を増やす手
(3)自分の駒を釘付け(pin)して働かなくしてしまう手
(4)釘付けしていた後手玉を解放(un-pin)して動けるようにする手
(5)自玉に王手がかけられるようにする手

(2)以下は捨駒や遠駒と違って直接妙手と感じないが、読んでみると不利感が大きく、容易に指せない手で、こう云った深みのある手を妙手と評価するのがチェスプロブレムの感覚である。詰棋人の作ったチェスプロブレムはほとんどが「追っていく」感じの捨駒的キーが主題で、上記の考え方からは高く評価されない。
(2)〜(5)の作品の例を次に示す。


(G)Samuel Loyd
Detroit Free Press 27/08/1876
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#2 (7+5)

(H)Godfrey F. Heathcote
Norwich Mercury 1907, 1st Prize
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#2 (10+10)

(I)Michael Lipton
Die Schwalbe 1956, 4th Prize
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#2 (9+9)

(J)Gerald Frank Anderson
Il Secolo 1919
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#2 (5+6)

(K)Samuel Loyd
Checkmate 1903, 1st Prize
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#3 (9+13)

(L)Otto B. Wurzburg
American Chess Bulletin 1945, 1st HM
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#3 (4+4)

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