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2016年11月14日23:00

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楽しいレトロプロブレム(65)

(98)橋本 哲(Problem Paradise 2009)
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白Kを加えてから白のみ連続して17手指し、黒をstalemateにせよ
Variables 0+16

 覆面駒16枚を前にして途方に暮れそうになるが、まずは出題図から分かることを列挙しておこう。取られた黒駒は1枚もなく、特にa-b筋の黒Pは成っているので、この中に黒Pは最高でも6枚までしかない。また、白Kは黒Qを初手で取るしかない。
 更に配置をよく見ていると、白Kが上部の覆面駒を取りつくした後、15.Kg4 16.Kg3 17.Kf2と進めば、h1とh2の覆面駒がそれぞれK/Pだと証明できることに気付く。つまり、作者の設定した問題は「白Kが14手連続して駒取りすることが可能な黒駒の配置は何か?」だ。

 しばらく試行錯誤しているうちに、このパズルの規則が見えてくる筈。それは次のようなものだ。
(1)f5,g5,h5のいずれかからスタートして、出題図の×に順に黒駒を追加していく。
(2)ある黒駒を追加したら、次はその枡に隣接する枡に追加する。
(3)追加される黒駒は、まだ追加していない×地点へ利きを持ってはならない。(既に追加された黒駒への利きはあってもよい)

 これらの条件を満たせば、白Kで取り尽くすことができることは明らか。では、実際にこのような配置を探してみることにしよう。

(A)14.Kxf5の場合

 f5に追加できるのは黒Pしかなく、次はe5,e6,g5のいずれかに黒Pを追加するよりない。

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(A-1)Pe5を追加すると、その次はPe6しかなくここで終了。

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(A-2)Pe6を追加すると、その次はRe5(Pe5)しかなくここで終了。

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(A-3)Pg5を追加すると、その次はPh5/Ph6の2通りあるが、

・Ph5-Ph6-Pg6で終了(Ph5-Pg6-Ph6も同じ)

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・Ph5-Pg6-Ph7-Rh6で終了

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・Ph6-Rh5-Pg6-Ph7で終了

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と、いずれも逆算はすぐ行き詰まる。


(B)14.Kxg5の場合

 対称性により、(A)と同様解がないことが分かる。


(C)14.Kxh5の場合

 h5に追加できるのも黒Pしかなく、次もg5に黒Pを追加するよりない。更にその次はPf5とPh6の2択だが、Ph6は(A-1)と同形でダメ。よって、ここもPf5しかない。

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 さて、ここから(A-2)と同様にPe6-Re5としてみよう。すると先程とは違ってPe6-Sg7という逆算が可能になっているではないか!

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 ここまでくれば、後は手なりで解けるだろう。正解は以下のような図である。

(正解図)
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(solution) add wKd7
1.Kxe7 2.Kxf8 3.Kxg8 4.Kxf7 5.Kxg6 6.Kxh7 7.Kxh6 8.Kxg7 9.Kxf6 10.Kxe5 11.Kxe6 12.Kxf5 13.Kxg5 14.Kxh5 15.Kg4 16.Kg3 17.Kf2=

 覆面駒とレトロを組み合わせた、独創的なパズル。流石は世界のHashimotoの作だ!

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(100)Rene J. Millour(Rio 2009 Sake Tourney, Special Prize)
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H#2 (9+7)
Invisibles 2+8

Invisible:盤上に存在するが、姿の見えない駒。その駒種と位置の両方が確定した瞬間に、その透明駒は透明性を失って普通の駒となる。駒取りやメイトは、証明なしでは主張できない。

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