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2016年11月10日23:06

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楽しいレトロプロブレム(64)

(97)橋本 哲(StrateGems 2010, 3rd HM)
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Proof Game in 24.5 moves(14+14)

 なくなった駒は白黒ともP2枚ずつ。また、白側の駒取りはh筋で、そして黒側の駒取りはf6であったことがすぐ分かる。これより、少なくとも1枚黒Pは成っていることが明らかだ。それが成った場所はb1かd1のいずれかで、これで黒側の駒取りは尽きている。ということは、成った黒Pはc筋のものであり、同じ筋の白Pは1枚駒取りをして成っているのだ。これで白側の駒取りも尽きているので、e筋の白Pも直進して成っていることになる。

 続いては手数計算。黒Bが不動だとすると、黒の盤面配置を作るには18手かかる。そうすると、残り6手ではb1で発生した成駒をh3に捨てることは不可能。よってBc8は動いている。しかし、これがスイッチバックしているとしても総手数は同じ。従って、この黒Bは初形位置で配置されていたものではないのだ。オリジナルのBはh3に捨て、そしてb1で成ったBをc8に戻していたのだ!これなら、配置を作るのに16手で済み、Bc8を捨てるのに1手、そしてPがBに成ってc8に戻るのに7手で24手ちょうど。以上でもう、手順のアウトラインは掴めた。あとは実際に盤面に並べて試行錯誤してみればよい。

1.Sc3 d5 2.Se4 Bh3 3.Sf6+ exf6 4.c4 Bd6 5.c5 Bf4 6.c6 Qd6 7.xb7 c5 8.e4 c4 9.e5 c3 10.e6 c2 11.e7 Kd7 12.e8=S Se7 13.Sc7 Rc8 14.Sb5 Rc3 15.Sa3 Kc7 16.Sb1 xb1=B 17.xh3 Bf5 18.h4 Bc8 19.h3 Sd7 20.b8=S a5 21.Sc6 Rb8 22.Sd4 Rb4 23.Sc2 Rd4 24.Sa3 Qb4 25.Sb1

 作者の狙いは勿論Hashimoto theme。最初に白が成Sをb1に戻すのは、黒が成Bをc8に戻す為。即ち「Pronkinの為のPronkin」となっている。今回加えた新たな工夫は白側が再度成Sをb1に戻すこと(Pronkinの反復)だが、これにより更に重層的な構造を持つ作品に仕上がっている。

 しかし、StrateGemsでのInformal Tourneyでの評価は3rd HMと予想外に低い。選者の論評を読むと、先行作として以下の作を挙げ「S2枚のPronkinは既にあり、更にBのPronkinを加えたからと言って高評価はできない」と、まるで的外れなことが書いてある。

(97-a)Unto Heinonen(Thema Danicum 84 10/1996, 2nd Prize)
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Proof Game in 23.0 moves(15+13)

1.b4 a5 2.b5 Sa6 3.bxa6 b6 4.a7 Ba6 5.d4 Bd3 6.exd3 h5 7.Qf3 h4 8.Qb7 h3 9.d5 hxg2 10.Sh3 g1=S 11.Bg2 Se2 12.Rg1 Sd4 13.Bh1 Sc6 14.Rg5 Sb8 15.Rh5 g5 16.axb8=S g4 17.Bg5 g3 18.Sd2 g2 19.Rb1 g1=S 20.Rb4 Se2 21.Rf4 Sd4 22.Sa6 Sc6 23.Sb4 Sb8

 こちらは自明成駒もあるし、勿論Hashimoto themeにもなっていない。(97)の方が仕上がり具合は遥かに上だと思うのだが…。

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(99)Dmitro W. Pronkin, Andrej N. Frolkin(Die Schwalbe 117 06/1989, Prize)
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Proof Game in 57.5 moves(14+14)
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