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2016年10月31日23:00

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楽しいレトロプロブレム(61)

(94)Michel Caillaud(Problem Paradise 1999)
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SHC#26(4+15)

 en passant captureが主題であることは配置から明らか。しかも、例えば以下の図のように、白の直前の着手がPg2-g4しかない局面を構成するのは簡単にできる。

(図1)
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 ところが、この局面でPxg3 e.p.としてしまうと、その瞬間白の直前の着手がなくなってしまい、illegal positionになってしまう。Series Helpでは、局面の合法性を考慮して、黒の連続着手の間も実際には指されることのない直前の白の手を常に用意しておく必要があるのだ。
 しかし、これを解決するのはなかなか難しい。というのは、構成すべき局面は
(1)直前の白の手はPg2-g4しかないが、
(2)en passant captureされた瞬間、別な直前の白の着手が発生する
という条件を満たさなくてはならないからだ。そんなことが果たして可能なのだろうか?

 論理的に考えると、en passant captureの直後にg4が空くことを利用する以外に、(2)を可能にする手段はない。Pg4を取られた後の仮想直前手として動かせる白駒はKb5しかないので、結局「en passant captureをした後だと、ある黒駒がg4に入ることができ、それによって直前の白の着手として白Kの手が可能になる」という局面を構成すれば良いことになる。その「ある黒駒」とは一体どれなのか?では、Caillaudの大構想をご覧あれ。

1.Rf7 2.Bg6 3.c3 4.c2 5.c1=S 6.Sd3 7.Se5 8.Sc6 9.Qd7 10.c4 11.c3
12.c2 13.c1=S 14.Sd3 15.Se5 16.Rd3 17.b3 18.b2 19.b1=S 20.Sd2 21.Sf3

(21.Sf3の局面)
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 黒Se5がキーとなる駒。この黒Sが利いている7枡は全て埋まっているので、この局面の直前の白の着手はPg2-g4しかない。そして、Pxg3 e.p.とした瞬間、ダブルステップに代わる白の直前の手としてKc4-b5という手が確かに生じている(更にその前の黒の手はSg4-e5+だ)。

22.xg3 e.p.! 23.Bh5 24.Kg4 25.Kh4 26.Sg4 hxg3#

 en passant captureの後も、慌ててKg4??とせずに、先にBh5としておくのが大事なところ。最後はSe5を再活用して収束する。
「初形で存在しない黒Sの制御」という独創的な方法でSeries Help Consequent特有のロジックを表現した傑作。ちなみに、本作はFIDE Album 1998-2000にも収録されている。

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(96)Thierry le Gleuher(diagramme 110 07-09/1994)
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Monochrome Chess
盤面の向きを直し、それぞれの文字に色と駒種を割り当てよ。但し、大文字/小文字はそれぞれ白か黒を意味しており、同音の文字には同種の駒が対応している。更に、黒Rh8が取られた場所を確定せよ。

Monochrome Chess:すべての駒は、初形で位置する桝と同色の枡にしか移動できない。
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