mixiユーザー(id:10857363)

2016年10月27日22:50

943 view

楽しいレトロプロブレム(60)

(93)Thierry le Gleuher(Probleemblad 06/2001,1st Prize)
フォト
Proof Game in 34.5 moves(14+10)

 なくなった駒は白がP2枚で、黒はSPPPPPの6枚。特に、白には自明成駒が4枚ある。Qg8,Rc1(又はRh2),Bb8,Sa8がそれぞれ成駒だとして手数計算してみると、Qが5+2で7手、Rが7+2+1で8手、Bが5+2+2で9手、Sが5+1で6手、Kが2手、Pが1手で、計35手ちょうど。従って、白P2枚は不動のまま取られていることになる。
 Sa8は、a筋の白Pが直進して成ったに違いない。するとb8で成った白Pは元々d筋にいたもので、これがd2-d4とした後、4枚も駒取りをしていることになる。白にはb3でも駒取りがあり、更に最終手は明らかにxg8=Q+なので、以上で白の駒取りは尽きている。以上の駒取りに、e-h筋の黒Pはそのままでは関与できないので、これらの黒Pはすべて成っていることが分かる。
 いずれも成った後少なくとも1手は動いているので、これだけで6×4=24手。更に、盤面配置を作るのに黒は7手かかるので、計31手。黒の猶予はあと3手しかないので、5枚目の成は不可能だ。これより、黒Pa7とSb8は予想通り不動のまま取られていることが分かる。ここまで局面を解析したら、あとは先手の駒取りの場所(b3,c5,b6,g8)へ最短で成駒を届ける為にはどこで何に成ったらよいかを考えながら、試行錯誤してみればよいだろう。作意順は以下の通り。

1.a4 h5 2.a5 h4 3.Ra4 h3 4.Rb4 hxg2 5.h4 f5 6.h5 f4 7.h6 f3 8.h7 fxe2 9.f4 g5 10.f5 Bh6 11.f6 Kf8 12.f7 Kg7 13.f8=R g4 14.Rf2 g3 15.Sf3 g1=Q 16.Rfh2 Qe3 17.Bh3 Qb3 18.cxb3 g2 19.Qc2 g1=B 20.Qc6 Bb6 21.d4 e5 22.Be3 e4 23.Kd2 e1=S 24.Kc3 Sd3 25.Rc1 Sc5 26.Bg1 e3 27.dxc5 e2 28.cxb6 e1=R 29.bxa7 Re8 30.axb8=B Ra6 31.Be6 Rb6 32.a6 Se7 33.a7 Reg8 34.a8=S Qf8 35.hxg8=Q+

 テーマはBobson task(双方4種成)!!勿論1号局である。単に条件を達成しただけでなく、黒側の成をすべてCeriani-Frolkinで統一したところが素晴らしい。

 プルーフゲームにおけるAUWの例を、あと3作紹介しよう。

(93-a)Michel Caillaud(Europe Echecs 04/1985, 2nd Prize)
フォト
Proof Game in 26.5 moves(14+11)

1.f4 h5 2.f5 h4 3.f6 h3 4.xe7 xg2 5.h4 g5 6.h5 g4 7.Rh4 g3 8.Sh3 g1=B 9.Bg2 Be3 10.Bc6 g2 11.xe3 g1=R+ 12.Kf2 Rg3 13.e4 Rb3 14.axb3 f5 15.Ra6 f4 16.Ba4 f3 17.Kg3 f2 18.Rh6 f1=Q 19.Qd6 Qf7 20.Bf4 Qc4 21.xc4 a5 22.Bb3 a4 23.Qa6 24.a3 Bd6 25.a2 xb1=S 26.Ba2 Sc3 27.xc3

 これがプルーフゲームでAUWを達成した最初の例。1号局にも関わらず、4種成をすべてCeriani-Frolkinで処理し、手順も滑らかで、1号局にありがちなもたつきやぎこちなさは微塵も感じられない。流石はCaillaudだ。

(93-b)Michel Caillaud(Phenix 58 12/1997, 1st Prize)
フォト
Proof Game in 24.5 moves(11+14)

1.a4 c5 2.Ra3 c4 3.Rd3 xd3 4.b4 xe2 5.b5 xf1=S 6.b6 Sg3 7.xa7 b5 8.c4 Bb7 9.c5 Bd5 10.c6 b4 11.c7 Sc6 12.c8=B Qc7 13.Ba6 Rd8 14.a8=Q Sa7 15.Qc6 Sc8 16.Qe6 fxe6 17.Bf1 Kf7 18.d3 Kg6 19.Bh6 xh6 20.a5 Bg7 21.a6 Bd4 22.a7 Sf6 23.a8=R Rhe8 24.Ra1 Ba7 25.hxg3

 今度は、成駒を2枚ずつPronkin(RB)とCeriani-Frolkin(Qs)で処理した例。最初に発生した成駒が一番最後に取られるという構成が面白い。

(93-c)Henrik Juel(Thema Danicum 111 07/2003)
フォト
Proof Game in 13.5 moves (13+13)

1.h4 c5 2.h5 c4 3.h6 c3 4.xg7 xb2 5.c4 h5 6.c5 h4 7.c6 h3 8.c7 h2 9.xd8=S xg1=B 10.Rh4 xa1=Q 11.Rc4 Rh3 12.g4 Rg3 13.Bh3 Sh6 14.xf8=R+

 これはAUWを最短で実現した例。自明成駒を発生させていないところに、作者の矜持を見る。

--------------------------------------------------------

(95)Michel Caillaud, Reto Aschwanden(G.Donati 50th Jubilee Tourney, 2nd Prize)
フォト
Proof Game in 20.0 moves(12+15)
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する