「カピタン」研究（60）

　これからしばらくは、カピタン24号を読んでいこう。今回はまず「幻想詰将棋型録」に行く前に、花沢正純氏による二手指しチェスの紹介を引用します。

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二手指しチェス（Doppelzugschach)　花沢正純

　Hans Klüverという名前と題名にひかれて注文してみたら”二手指しチェス” の解説書でした―プロブレムの本だとばかり思っていたのですが…。しかし、面白そうですので紹介してみます。

規則1、二手指し
　先手（白）の第一手は一手のみ。その後は双方二手ずつ指す。但し、二手指して局面を必ず変化させねばならない（できないときはdraw…規則5を参照）〈例：白の第一手Sc3に対し、黒はSf6-Sg8と指すのは許されない〉。居喰いは局面を変化させるので許される。

規則2、目的
　先に敵の王を取ること。従って王手の絡んだ通常の規則は全て破棄される〈例：王を敵駒の効きに入れることは許される！！〉。

規則3、キャスリング
　普通のチェスと同様許される。但し、王の通過する目に敵駒の利きがあっても、おかまいなしにキャスリングしてよい。

規則4、アンパッサン
　二手のうち第一手目で行わなくてはならない。また、次の状況ではアンパッサンは許されない。
・敵の第一手目がPのダブルステップで、第二手目にそのPを(駒を取るのも含めて)動かしたか、或いはそのPの通過したマス目に他の駒を置いた場合。
　敵がPのダブルステップを2つ行った場合は、もし可能ならば例外的に両方ともアンパッサンで取ってよい。

規則5、ステイルメイト
　指し手がなくなったとき、或いは一手目はさせるが二手目の指し手がない（元の局面に戻してしまう手しかないという状況を含めて）場合、ステイルメイト成立でdraw（引き分け）。


A. Nenad Petrovic

#3 (2+10)　Doppelzugschach

B. Godehard Murkisch

#3 (6+12)　Doppelzugschach

C. Richard Forster

#11 (7+16)　Doppelzugschach


解

A (Qf8,Ke7) (Qh6-xf8+) (Ke6-f5) で、どう応手しても次の手で取れる。
☆1枚しかない攻駒を捨てるとは！

B (Qa1-e5) イ(Pc6,Bxe5) (Rxf3-f5)。
イ(Pc4,Rxe5)なら(Rxf3-f4)。
☆焦点？の捨駒

C (Rd2-g2) (Sxc3-e2) (Rxe2-g2) (Pc3-c2) (Rxc2-g2) (Bb5-e2) (Rxe2-g2)
(Rc6-c2) (Rxc2-g2) (Qxf4-f2) (Rxf2-g2) (Rf5-f2) (Rxf2-g2) (Bxe3-f2)
(Rxf2-g2) (Pe3-e2) (Rxe2-g2) (Se4-d2) (Rxd2-g2)で、次の手で王を取れる。
☆ちょっとした趣向

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　2012年のSake Tourneyのお題だったDouble-step Chessとは、ルールが微妙に異なっている（例えば、Double-step Chessでは必ず同じ駒を2度動かすことになっているが、Doppelzugschachにはそのような縛りはない）。プロパラ58号をお持ちの方は、そういう詳細を比較してみるのも一興かと思う。
　なお、手順表記は現代風に直しておいた。