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2016年10月20日22:57

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楽しいレトロプロブレム(58)

(91)Michel Caillaud(Moutecidis Fougiaxis Prentos JT 12/2006, 2nd Prize)
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Proof Game in 18.5 moves(14+13)

 2枚のRがそれぞれどちらから来たのかはすぐには判然としないが、白の手はいずれにせよ19手ぴったり。よって、なくなった2枚の白Pはどちらも不動のまま取られている。配置から見て、白に直進途中のa筋の黒Pを取る余裕はないので、これが成っていることも分かる。とすれば、取られたのはPb2であり、これよりc3にいるのはd筋のPであることになる。又、白の序はPg3-Bh3-Bf5しかないので、Rを2手でh5に持って行くことは不可能。これからRe5がa筋の、Rh5がh筋のものであることも分かり、これで白の手のアウトラインはほぼ判明した。
 一方、黒のなくなった駒はRSPの3枚。白の序は3手しか余裕がないので、Pe2を取ったのはSb8である。続いて、白の手の流れを止めないようにRa8をc3に捨て、後は成った駒を取ってもらうだけで終了…と思いきや、実はここからが本番である。以下の図を見て頂きたい。

(10.5手目の局面)
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 黒はこの先、成駒を白に取って貰えば終わりなのだが、かといってさっさと捨ててしまうとその後の指し手がなくなってしまう!つまり、黒の成駒はあと7手動いてから取られなければならないのだ。白の後続手段は完全に確定していて、黒が最後に成駒を捨てる場所はh5しかない。ここから一寸考えてみれば黒の最終手がRh3-h5であることが分かり、これで手順の全貌が見えたことになる。同じ動きをQやSでしようとしても、tempo moveが存在しないことを確認して頂きたい。

1.g3 Sc6 2.Bh3 Sd4 3.Bf5 Sxe2 4.Kxe2 a5 5.Kf3 Ra6 6.Kg4 Rc6 7.Qf3 Rc3 8.dxc3 a4 9.Sd2 a3 10.Sb3 xb2 11.a4 b1=R 12.Ba3 Rb2 13.Re1 Rb1 14.Re5 Rd1 15.Se2 Rd6 16.Rd1 Rh6 17.Rd6 Rh3 18.Rh6 Rh5 19.Rxh5

 テンポ目的のR成(promotion with R for tempo move)がテーマの本作、如何だっただろうか。Ceriani-Frolkinも、表現次第ではまだまだ可能性を秘めているようだ。

 ちなみに、同じJubilee Tourneyで1st Prizeを取ったのもCaillaud作。こちらは成ったまま動かずに取られてしまうpassive Ceriani-Frolkinの3連発。(尚、この2作には共通点が殆どないように思えたのでお題を調べてみたところ「成駒がP以外の駒に取られる」というものだった)

(91-a)Michel Caillaud(Moutecidis Fougiaxis Prentos JT 12/2006, 1st Prize)
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Proof Game in 19.5 moves(12+12)

1.b4 h5 2.b5 h4 3.b6 Rh5 4.xa7 Sh6 5.xb8=R Ra5 6.d4 Rag5 7.d5 f5 8.d6 Sf7 9.xe7 d5 10.c4 Kd7 11.e8=R Qf6 12.c5 Bxc5 13.a4 Bb6 14.a5 c5 15.a6 Kc7 16.a7 Bd7 17.a8=B Bxe8 18.Ra7 Kxb8 19.Rb7+ Kxa8 20.Rb8+

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(93)Thierry le Gleuher(Probleemblad 06/2001, 1st Prize)
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Proof Game in 34.5 moves(14+10)
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