mixiユーザー(id:10857363)
2016年10月03日23:02
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楽しいレトロプロブレム（53）
(86)Henrik Juel(StrateGems 1998, Com.)
23枚追加配置してillegal clusterを作れ(4+4)
1枚2枚ならともかく、23枚も追加してillegal clusterを構成するにはどうしたらよいのだろうか？追加配置した後の盤面配置は全部で31枚にもなるが、このうちKを除く29枚のうちどの駒を除いても合法になるという条件は、局所的にillegalな局面を作るという方法論では到底達成不可能なように思われるが…。
しかし、parity（偶奇性）に思いが至れば、これらの懸案があっけなく解決できるのだ。
（正解）
この局面がillegal positionであることを確認しよう。白の取られた駒はQのみで、これは原型位置で取られている。Rは2枚とも奇数手動いており、合計で偶数手。Sも2枚合わせて偶数手。Pが2手でKも偶数手だから、白の着手は合計で偶数手である。同様に考えると黒もやはり偶数手であるから、この局面は現在白番ということになる。ところがこの図では、黒の直前の黒の着手が存在しない。よってこれはillegal positionである。
また、この局面から任意の駒を1枚除けば、もう上の推論が成立しなくなることも明らか。よってこれはillegal clusterである。
ところで、Bf1という配置にはどういう意味があるのだろうか？実はこれ、余詰消しなのである！元々はこのBはなく「24枚追加して」という条件設定だったのだが、2007年にDmitrij Baibikovが以下の余詰を指摘した。
（原図の余詰）
この図で直前の手はQf6-e7+しかないが、更にその前の黒の手が存在しない！詳細については各自ご研究ください。それにしても、よくこんな余詰を見つけたものだ。
--------------------------------------------------------
(88)Michel Caillaud(diagrammes 51 05-06/1981, 1st Prize)
#2 Retro-Volage, PRA(10+9)
Retro-Volageというルールの下では、Kを除く全ての駒は実戦初形で次の性質（Volage性）を持っている。
(1)初めて違う色の枡に移動した駒は、その色を変える
(2)一度色が変化すると、このVolage性を失う
例題を見て頂こう。
Laurent Joudon(Rex Multiplex 1983)
#2 Retro-Volage(4+3)
1.Rb4 K--/0-0 2.Rb8/Rg4#
白RがVolage性を持っているかどうかが問題である。このRh4はa1から来たものではないので（a1からh4へは白桝を踏まずには到達できない）、もしVolage性を持っているとすれば、それは成駒である。しかし、黒にcastlingの権利があるならば、成った可能性のある場所はb8しかない。ところがその場合、直前の黒の手はSb8-a6(=w)しかないので、白Rが成駒である可能性はない。よってこの白RはVolage性を持っていないので、g4に移動しても変色しない。
更に、
(3)Volage性を持っているかどうかが不明な駒は、Volage性を持つものとみなす
というのも重要な意味を持つサブルールで、このため奇妙な法則問題が生じる。
V.Liskovec (Rex Multiplex 11, 1985)
#2 Retro-Volage(7+9)
b) PRA
a)の解は1.Re4! fxe4 2.Rxc5#というもの。黒はどちらのRがVolage性を持っているか分からないので、Rを動かすことができないのだ！（もし動かしたRがVolage性を持っていると、self-checkになってしまう）
PRA(Partial Retrograde Analysis)についても説明しておこう。複数の着手可能性があるとき、場合分けをしてそれぞれに対し解を求めるというレトロ解析の形式をPRAと呼ぶ。
従ってb)では、
��)黒Rb6がVolageの場合：1.Ra8! --- 2.Bb8#
��)黒Rb4がVolageの場合：1.Rg1! --- 2.Ra1#
というのがその解答となる。
尚、成駒を使っても、2枚の黒Rが両方ともVolage性を持っている可能性はないことを指摘しておこう。何故なら、a1, c1…などの黒枡でRに成っても、b4やb6へ到達するには少なくとも一度は白枡を踏む必要があるからである。
23枚追加配置してillegal clusterを作れ(4+4)
1枚2枚ならともかく、23枚も追加してillegal clusterを構成するにはどうしたらよいのだろうか？追加配置した後の盤面配置は全部で31枚にもなるが、このうちKを除く29枚のうちどの駒を除いても合法になるという条件は、局所的にillegalな局面を作るという方法論では到底達成不可能なように思われるが…。
しかし、parity（偶奇性）に思いが至れば、これらの懸案があっけなく解決できるのだ。
（正解）
この局面がillegal positionであることを確認しよう。白の取られた駒はQのみで、これは原型位置で取られている。Rは2枚とも奇数手動いており、合計で偶数手。Sも2枚合わせて偶数手。Pが2手でKも偶数手だから、白の着手は合計で偶数手である。同様に考えると黒もやはり偶数手であるから、この局面は現在白番ということになる。ところがこの図では、黒の直前の黒の着手が存在しない。よってこれはillegal positionである。
また、この局面から任意の駒を1枚除けば、もう上の推論が成立しなくなることも明らか。よってこれはillegal clusterである。
ところで、Bf1という配置にはどういう意味があるのだろうか？実はこれ、余詰消しなのである！元々はこのBはなく「24枚追加して」という条件設定だったのだが、2007年にDmitrij Baibikovが以下の余詰を指摘した。
（原図の余詰）
この図で直前の手はQf6-e7+しかないが、更にその前の黒の手が存在しない！詳細については各自ご研究ください。それにしても、よくこんな余詰を見つけたものだ。
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(88)Michel Caillaud(diagrammes 51 05-06/1981, 1st Prize)
#2 Retro-Volage, PRA(10+9)
Retro-Volageというルールの下では、Kを除く全ての駒は実戦初形で次の性質（Volage性）を持っている。
(1)初めて違う色の枡に移動した駒は、その色を変える
(2)一度色が変化すると、このVolage性を失う
例題を見て頂こう。
Laurent Joudon(Rex Multiplex 1983)
#2 Retro-Volage(4+3)
1.Rb4 K--/0-0 2.Rb8/Rg4#
白RがVolage性を持っているかどうかが問題である。このRh4はa1から来たものではないので（a1からh4へは白桝を踏まずには到達できない）、もしVolage性を持っているとすれば、それは成駒である。しかし、黒にcastlingの権利があるならば、成った可能性のある場所はb8しかない。ところがその場合、直前の黒の手はSb8-a6(=w)しかないので、白Rが成駒である可能性はない。よってこの白RはVolage性を持っていないので、g4に移動しても変色しない。
更に、
(3)Volage性を持っているかどうかが不明な駒は、Volage性を持つものとみなす
というのも重要な意味を持つサブルールで、このため奇妙な法則問題が生じる。
V.Liskovec (Rex Multiplex 11, 1985)
#2 Retro-Volage(7+9)
b) PRA
a)の解は1.Re4! fxe4 2.Rxc5#というもの。黒はどちらのRがVolage性を持っているか分からないので、Rを動かすことができないのだ！（もし動かしたRがVolage性を持っていると、self-checkになってしまう）
PRA(Partial Retrograde Analysis)についても説明しておこう。複数の着手可能性があるとき、場合分けをしてそれぞれに対し解を求めるというレトロ解析の形式をPRAと呼ぶ。
従ってb)では、
��)黒Rb6がVolageの場合：1.Ra8! --- 2.Bb8#
��)黒Rb4がVolageの場合：1.Rg1! --- 2.Ra1#
というのがその解答となる。
尚、成駒を使っても、2枚の黒Rが両方ともVolage性を持っている可能性はないことを指摘しておこう。何故なら、a1, c1…などの黒枡でRに成っても、b4やb6へ到達するには少なくとも一度は白枡を踏む必要があるからである。
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