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2016年08月25日23:09

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楽しいレトロプロブレム(42)

(75)Thierry le Gleuher(Phenix 12/1993, 2nd HM)
フォト
Proof Game in 25.5 moves(11+16)

 なくなった駒は白がRBBSSの5枚で、黒は1枚も取られていない。また、白Bは2枚とも原型位置で取られている。では、これらを取った黒駒は何だろうか?普通に考えるとそれはSの筈だが、手数計算をしてみると最低でも14手かかり、黒の合計手数は25手を上回ってしまう。では、白Bを取った黒駒は何だったのだろう?それがQかRのいずれであっても、先に白Bf1を取りに行くと白Kにチェックがかかってしまう。従って、黒はまず白Bc1を取って白Qを左下から逃がす必要がある。
 ではここで、黒QがBc1-Bf1の順に駒取りをし、Qxf1の瞬間に白はe1に何か遮蔽駒を入れるとしよう。だがこの場合、黒Qは少なくとも12手動いている(d8-d6-a3-a1-xc1-a1-a3-h3-h1-xf1-h1-h3-a3)が、他の黒駒に14手かかるので合計26手となり、手数オーバー。この結果は、黒Qの代わりに黒Rを使っても全く同じである。どうすれば、黒の手数を1手短縮することができるのだろうか?
 ここで「白Kがいなければ」と閃けば、もう解けたも同然。白Kが1段目にいなければ、白Bf1を取った後Qf1-a1-a3と移動することが可能になり、1手短くなるのだ!作意は以下の通り。

1.Sf3 e5 2.Sd4 e4 3.Sc6 dxc6 4.a4 Qd5 5.Ra3 Qa2 6.Rh3 Qxb1 7.Rh6 Qxc1 8.h4 Qa1 9.Qb1 Qa3 10.Qa2 Qh3 11.Qd5 Qxh1 12.Qg5 f5 13.Kd1 Sf6 14.Kc1 Rg8 15.Kb1 Qxf1+ 16.Ka2 Qa1+ 17.Kb3 Be6+ 18.Kc3 Sbd7 19.Kd4 0-0-0 20.Ke3 Bc5+ 21.Kf4 Sf8 22.Kg3 Qa3+ 23.Kh2 Ba2 24.Kg1 Rd5 25.Kf1 S6d7 26.Ke1

 黒Qによってe1を追い出された白Kは反対側を通って初形位置に戻るしかなく、結果としてPの壁の周りを一周することになる。何ともユーモラスなKのRundlaufではないだろうか。

 KのRundlaufをテーマとした作品を、参考までにもう1作挙げておこう。当然ながら、その意味付けは全く異なっている。是非こちらも解図してみて下さい。

(75-a)Michel Caillaud, Markus Ott(feenschach 63,1982, 2nd Prize)
フォト
Proof Game in 24.5 moves(10+15)

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(77)Gianni Donati, Mark Kirtley(Problem Paradise 07-09/1999)
フォト
Proof Game in 16.5 moves(15+12)
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